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事故

 救急車が来て、私は運ばれました。救急隊員の方が準備していた入院セットを一緒に運んでくださいました。

 外に出ると、近所の方が集まっていて、心配そうに私を見ているのと目が合いました。

「おっちゃん、私いっしょに乗っていくで」

 近所のお姉さんが名乗り出てくださいました。

 目撃者の父は警察の事情聴取のために残らなければならなかったからです。(母と子供たち二人は最初の救急車に乗った)

 乗り込んだ救急車の中で、救急車に乗るのこれで3回目だなあ、とぼんやりと思いました。

 一回目は長男の高熱のとき(熱中症だと思ったらただの風邪)、二回目はぎっくり腰。

 発車した車の中で、赤ちゃんにちゃんと酸素を送らな、と私は思い、深呼吸を心がけました。

 一緒に乗ってくださったお姉さんが、私の携帯から、私の姉、主人に電話をかけてくれました。

 三人とも、近所の方から電話がかかってきたのでかなり驚いたそうです。

 また胎動を感じました。私は安心しました。

 病院につき、産科病棟に運ばれ、さっそくエコー。

 このとき恥骨がかなり痛く、やっと歩けるくらいでした。

 エコーで見ると、赤ちゃんは元気でまったく問題なし。安心しました。

 そのまま内診台に乗り、内診してもらいましたが。

『あまり、中が濡れてる気配はないね』

 先生がリトマス紙みたいなものを見せてくださいました。

『羊水だと、この紙が青くなるんです。でも、白いままでしょ』


 ということは。

『すみません。失禁やったんですね。私、勘違いして』

『いえ、普通でもどっちか分からない方の方が多いですよ、気にせずに。事故に遭った時点で、すぐに来てもらわなあかんから』


 勘違いで恥ずかしかったですが、破水ではなく赤ちゃんも無事で良かったと思いました。整形外科の先生がいらっしゃって診察してくださいました。(偶然ですが、以前、ぎっくり腰でお世話になったのと同じ先生でした。縁があるね、と少し雑談)打撲と擦傷だけでした。

 そのまま、経過観察のために入院しましたが。姉からメールが来ていて、長女は元気、という報告でしたから、私はすっかりみんなが軽症で済んだのだと思いこんでいました。母と長男は、打撲と擦り傷で済んだため、そのまま帰宅したそうです。


 その夜は眠れませんでした。

 主人と電話で話しました。

『なんで一人とかじゃなくて、家族全員なの?』

 主人もショックを受けた様子。

 みんなが軽症なら下船せずそのまま乗らなければならないと。下船できるにしても港に着くのは三日後だからそれからになると。

 そんなことを話して切ると、神戸に住む下の姉から電話がかかってきました。

『なんでそんなことになるん? 妊婦と子供と高齢者って、最悪の取り合わせやで。みんな死んでたら、連日ワイドショーやで』

 本当にそうだと思いました。

 夏休みの悲劇として、お盆中テレビで流れてたかもしれないな。

 ぞっとしました。

 死人が出なかったのは奇跡かもしれないと。長女は下敷きになりましたが、あとの三人は車と車の間に挟まれず、よく外に弾き飛ばされたな、と思いました。後ろを向いてお尻を突き出していた体勢も良かったかもしれません。前を向いていたなら、お腹を強打していたかもしれません。


 やっぱり、厄年やったからかな。

 いや、厄除け祈願していたからこれだけで済んだのかも、と思ったり。

 昔、手相で九死に一生を得る相(感情線と頭脳線の間に四角スクエアがある)です、て言われたけど、このことかな。当たったな。

 ああ、それにしても本当にみんなたいしたことなくて良かった。神様とか守護霊さんとかいはるなら、ありがとうございました!

 盆が近いし、ご先祖様が護ってくれはったんやろうか。


 また。

 ジャイ子、怖かったやろうな。

 あんな小さいのに大きい車の下敷きになって。かわいそうに。トラウマにならへんやろうか。それでも、目の上に車が乗り上げたり(タイヤが乗り上げたのは肩と顔のこめかみまで)、胸やお腹に乗り上げなかったのは奇跡だったかも。

 などと悶々考えておりました。








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