表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
154/185

草笛

 五月の田植えの時期のことです。

 子供たちを外で遊ばせているときに、私の姉がタンポポの茎を笛にして鳴らしました。


 ブィー。


 のどかな初夏の太陽の下、素朴な振動音が響きます。

 私と主人も姉にならってタンポポの茎を適度な長さに千切り、口に入れました。

 先を少し噛んで、息を吹きます。


 ……私も主人も鳴らない。


 あれえ? おかしいなあ。

 子供の時、散々吹き鳴らしたのに。

 もう一度新しい茎でチャレンジ。

 少し、唇で挟む力を込めて。


 ビー。

 鳴りました。

 ああ、思い出しました。この感覚。

 主人にコツを教えますが鳴りません。

 少し、優越感。


 次に私と姉は、田んぼの中に生えている草をとりました。なんていう草かなあ。

 麦笛と同じ要領で、中の茎を引っ張って抜き出し、残った茎を葉を折り返して口に挟みます。


 ピー。


 姉も私も、澄んだ音色が出ました。

 主人も真似しますが、鳴らない。


「あれ、なんで鳴らないんだ」


 次々に何本も千切っては四苦八苦していますが、全く鳴りません。


 ふふ、主人に勝った。

 些細なことですが、猛烈に優越感を感じる私。


 昔はいろんな草笛に挑戦したなあ。

 椿の葉を丸めたやつとか。あれは、大きなラッパのような音がします。

 ほおずきには、何回も挑戦しましたが、出来た試しがありません。

 笛を作る前段階で、ほおずきの実を長時間揉んで柔らかくしますよね。私はあの段階でいつも飽きてしまって、放り投げてしまうのです。


 今度、ジャイ子と共にほおずきの笛に挑戦してみようかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ