産後クライシス
次男を産んだ後の夏の終わり。
主人が言いました。
『ああー、すごい肩と腰が張ってる。マッサージしてほしい感じだよね』
……それ、産後十日目のウチに言う……?
むしろ、逆じゃねえ……?!
怒った様子の私に、そ、そういう意味で言ったんじゃない、とあわてて言い直す主人。
じゃあ、どういう意味やねん。
ーー産後というのは、このように些細な事にまでイライラするものです。ーー
『あー、今オレ、女の子がいたら浮気しちゃうかも』(主人)
……妻が妊娠中または産後の男性は浮気率が高いと聞きますが、それか?
『そんな相手おるんかい』
『わかんない。街中で必死に誠意を尽くして声かければ、だれか相手してくれるかも』
『……お店、行ったら?』
『いや。……そこまではいい』
出た! そこまではいい!
中途半端やな。四十路過ぎてからハマんなや。
『前に、ランジェリーパブに一回連れてってもらったんちゃうんかい』
『…………ぐふふふふふ』
君の悪い笑い声をたてる主人。
とっても楽しい思い出を思い出したようです。
『あれぐらい、胸があったらいいよね』
じゃかあしいわ!
今、Aカップ以下の女子は数が減ってるんやぞ。B〜Dカップ女子はその辺にゴロゴロおるんじゃ。Hカップ以上並の希少価値やねんぞ。絶滅危惧種に指定して、ワシントン条約で保護してくれてもええぐらいなんじゃ!
ありがたがりやがれ! 崇めろ!そしてひれ伏せ!
『罪悪感とか感じたん、そのとき』
『いや。だってお金払ったもん』
じゃあ、行って来いや!ーー
何かにつけて、ムカムカむかむか。
いつもなら気にならないことも、果てまたどうにもならないことまでムカムカするのです。
どうして、今年の夏はすぐ終わって最近無かったはずの秋が来たんや! 夏に産んだメリットが無いやないか! とか。(夏場は赤ん坊を裸で転がしといても風邪をひく心配がないから & 授乳が寒くない)
なんで、退院したてであと一週間は安静にするのが望ましいウチが動いてご飯作らなあかんねん! とか。(母が実家の祖母の介護が急に入り、忙しくなったので。全部無視して、弁当や惣菜を主人に買ってこさせても良かったのですが、そういう時に限って冷蔵庫には豊富な食材と夏の終わりの家庭菜園で採れたアホほどの野菜があったりします。それを無視して腐らせることなんて私には到底)
『ご飯作らなくても、カップラーメン食っときゃいいじゃん』
気を遣って言ったのであろう主人の言葉に、そんなんでいい母乳が出るかー! とまたイラッとしたり。
やっと家事を母にお願い出来るようになった三週間後に、さあゆっくり身体を休めてやるぜ! と勇んで横になっても、身体はほぼ回復してるので今更寝てるのもなんだか苦痛でイライラしたり。(産後三週間目というのは、寝起き生活から普段の生活に戻しましょうね、という時期です。でも、なんか悔しいので根性で横になってました・笑 休息を取り戻したくて。意味無かったんですけど)
※私は一人目を産んだ時に産後一週間で学校に戻ったので、仕事も勉強もしなくてもいい、子供のことだけに集中してりゃいい産後三週間というものにとても憧れているのです。でも、二人目も三人目のときも、これがいつも上手くいかない。産後すぐの時に限っていつも来ない仕事の緊急事例が来たりします。
主人に少しでも身体を触られると、キーッとなったり。
ジャイ子が保育所に預けられなくて(理由はまた後ほど)なんで一番必要な時に預けられへんねん! とか。
もう、ムカムカむかむか。
今回は悪露が長い期間赤いままで、ちょっと肥立ちが悪かったせいもありますが。
産後の急激なホルモンバランスの変化は、身体や精神にとてつもない影響を与えるようです。自分でも、普段の自分とは違うことが分かります。
調べると、授乳ホルモンであるプロラクチンは好戦的な気持ちを司るんですって。
『ごめん。授乳ホルモンが、イライラホルモンらしいわ。あんまり気にせんといて』(←先に言っておきます)
そう言った私に主人は
『うん、◯◯、更年期になったらこんなかんじかな、と思ったよ』
と。
やはり、私の態度の変化は凄まじかったようです。
産後の女性というのはどうにもならないほどイライラするものなのです。
奥さんが急変しても、大目に見てやってくださいね、ダンナさん。