春の目覚め
横浜に住んでおりましたとき。
まとまった休みの時には長男を連れて実家に帰省していた私です。
長男が二歳のときに、実家の近所に住む同じ歳の男の子の家に遊びに行きました。
しばらくは和やかにみんなで遊んでいたのですが、その男の子が急に駄々をこねはじめましてね。
そしたら、その子のお母さんが。
「お前は、ホンマに……!」
と、叱りながらその子を仰向けに引き倒し、脚を持ち上げると。
その子の股間に自らの足を割り入れ。
「うらああああ〜……」
と、股間に足裏を当てて、振動を与え始めたのです。
ぐずっていた子も、うへへへ、と笑って観念し、すぐに大人しくなりました。
私はコレを見て、おお! と。
コレはいい! 私も早速、マネさせてもらおう! と心に決めました。
主人にも聞きましたが、男性の皆さん。
ああされると、男性は自然に笑いが込み上げてくるものらしいですね。
そういえば、昔、小学生のときにクラスの男子がお互いにアレをしてたような……ああ、やってた、確かにやってました!
それからは、長男が聞かん坊になるたびにその行為を繰り返し、大人しくさせていた私ですが。
長男も成長するにつれて、聞き分けもよくなってきましたんで、その行為をすることはほとんど無くなっていたのです。
それが、去年のことでしたかね。
来年は小学生になろうかというのに、珍しく些細なことで駄々を捏ね始めた長男に。
私は久しぶりにその行為を行ったわけです。
すると、長男は笑い出すわけでもなく、怒ったままで、効き目はありませんでした。
あれれ、成長したら効かないのかな、と思ってあきらめたのですが。
その日の夜です。
隣の布団の長男が、目を開けてじっとしたまま宙を見つめているのです。
ああ、何か言いたいんだな、と分かりましたので聞いてみました。
「あのな、お母さん。今日、☆☆怒ったときに、足入れてブルブル、てしたやろ」
「うん」
「☆☆、怒ってたけどな、実はあれ、ちょっと気持ち良かってん」
「……」
「また今度、やってほしいねん」
……うん、ごめんなさい。
お母さんが悪かった。
お母さん、もう二度とアレ、せんとくわ。