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となりのトトロ

 ジャイ子が家の前のあぜ道でしゃがみこみ、じっと前を見つめておりました。

 う◯こ?と私が聞くと、ちゃう! と否定。


「トトロ、探してるの」


 ああ!

 めいちゃんのマネか!


 最近、私の姉がプレゼントしてくれた隣のトトロのDVDにべた惚れなジャイ子。

 めいちゃんが、トトロを探して床下や野原をじっと覗き込む場面がありますよね。ジャイ子はあれを真似て、トトロを見つけ出そうとしているのです。


 他にもドングリを集めまくったり(子供はどうしてドングリにあんなに心惹かれるのでしょうね)、めいちゃんの真似で足をペンペンと振ってつっかけを脱ぎ飛ばしたり、さつきちゃんの真似でいきなり靴を脱いでは裸足でわざとらしく、息急き切って走り出したりします。(外の道路でするのでガラス等を踏まないかと気が気でない)

 めいちゃん、さつきちゃんになりきり、リアルでも隣のトトロを楽しんでおります。


 ジャイ子は本当にマックロクロスケやトトロが存在すると思っているのですよね。


 小さい子供はトトロのような不思議な生き物を見たり、幽霊や精霊などを見たりする力があると言われますね。

 私はあれは本当ではないかと思います。

 なぜなら私は幼い頃、お地蔵さんとお話しが出来たからです。


 ……引かないでくださいね。

 皆さんの中でも似たような経験をされた方はおられるはずです。

 ぬいぐるみや人形が頭の中に話しかけてきたり、自転車や傘が応えてきたり。


 あるでしょう? あったはずです。

 ない方は忘れてるだけです、きっと。


 近所に小さな祠がありまして。

 前を通り過ぎるたびにその中のお地蔵さんに手を合わせていた私ですが。

 彼と会話していました。頭の中で。(その時の私は保育所の年中〜年長ぐらいだったと思います)


 おかあさんに怒られたとか、お姉ちゃんとケンカしたとか、今日は◯◯ちゃんは病院に行ってるから遊べない、とか。話題はそんなものだったと思います。

 それに対して彼は相槌をうったり、アドバイス的なものをくれるわけです。(お地蔵さんだから?)

 キャラとしては、おじいさんではなく、お兄さん。いつも穏やかに私の話を聞いて応えてくれました。受け答えの内容から察するに大人の思考をお持ちでしたが、声は可愛い子供のような声でした。

 そうそう、それにね、彼は標準語だったのです。関西弁ではなく。


 彼以外にも会話相手はおりまして。

 例えば、傘は高校生ぐらいのお姉さんで、自転車は中学生ぐらいの元気なお兄さんだったと思っております。

 自転車の語尾はたまに、〜ぜ、だったと記憶してます。こちらは二人とも関西弁。

 しっかりキャラが立っているでしょう?

 これは、保育園児だった私が自分の頭で考えたにしては上出来すぎやしないかと思うのですよ。


 それに会話もテンポよく自然なのですよ。

 私が話し終えてから、やっと彼が口を開く、というのではなく。

 スピーディーなのです。

 私が話してる最中に遮ったり、私の言葉の語尾に重ねて話し出す、といったようなこともあったのです。

 話が長引いたときには、私が切り上げて帰ろうとすると、彼は引き止め、それでも帰ろうとすると私の背中に向かって声を投げかけたこともありました。(また、明日も来てね! 待ってるよ! みたいなかんじだったと思う)


 ……コレ、絶対、会話でしょう?

 私が一人で考えてるとは思えない、絶対!


 お地蔵さんの前で長い時間過ごす事が多い私に、両親や近所の人は奇妙に思い、話しかけてくれましたが、私は彼との会話について話すことはありませんでした。

 子供心に、これは二人だけの秘密だ、というようなことを感じていたからです。


 小学校に上がったあたりから、いつの間にかお地蔵さんの声は聞こえなくなり、傘や自転車とも会話出来なくなってしまったのですが。


 心理学等ではコレは幼児期特有の症状、みたいな言葉で片付けられるのかもしれません。

 しかし、私はきっと、あの頃の子供の力というのはホンモノだと思うのです。

 感受性が強く、大人では感じられないことを感じられる時期だと思うのです。


 ですから、お地蔵さんと私の会話は決して私の想像ではなく、ホンモノだったと信じています。





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