長男の思い出
「きゃあ、Mちゃん、ゾンビなの? 私、怖いわ」
「大丈夫よ、Rちゃん。怖くないわ。私、可愛いゾンビよ。一緒にトイレに行きましょう」
長女を保育園に迎えに行ったとき、年中クラスの少女たち二人が、黄色い声をあげながら私の横を駆けぬけて行きました。
……どういう、世界設定なんでしょう?
バイオハザード的な?
(普段から疑問なのですが、どうしておままごとをする際、関西の子供たちは標準語になるのか)
長女も二歳になりまして。
最近ではもう、意思の疎通がラクに出来るほど話せるようになりました。
ウチの子たち、長男も長女も口だけは早い。
だいたい子供は、足が早いか(立って歩けるようになること)口が早いか(言葉を話せるようになること)のどっちかになると言われますが、本当にそう思います。ウチの子たち二人は、どっちも寝返りは7ヶ月目からでして、歩くまでが遅かったですねえ。(身体のデカさも関係してると思いますが。デカい子は身体が重すぎて運動発達が遅め)
ほとんど私とだけの二人暮らしで、会話も少なかったと思うのですが、ペラペラと最初から口達者だった長男。
保育所の先生から聞いた話にはびっくりしたことがいっぱいありましたねえ。
一番驚いたのは。
お迎えに行ったある日、先生が一言。
「☆☆ーのママさんは、パチンコ好きなの?」
なんですと?
「いえ……なんでですか?」
訳が分からず聞く私。
「今日、おままごとのとき、☆☆ーが……」
ーーお買い物バックを肩にかけて、先生の元へきた長男。
『お金、貸してくださーい』(長男)
『はーい、何円ですかー?』(先生)
『10万円でーす』
『ええ? 10万円ですか?(びっくりしながら)何するんですかー?』
『パチンコでーす』ーー
ということがあったんですって……。
……どんだけギャンブル好きの母親だと思われたんだ、私。
誤解のないようにいいますが、私、ギャンブルなんて一切したことがないですからね!
宝くじぐらいですよ。
競馬には興味がありますが、行ったことない。パチンコなんて、一度もしたことないのに!
だいたい、私の娯楽なんてほんとにささやかなもので。
男と酒ぐらいなのに!(しかもその男はほとんど家に居ない)
ゲームもタバコもしませんし。
あまりの理不尽さに悔しくなりましたが、子供が言ったことです、仕方がない。
それにしても、どこでその言葉、単語を覚えたのか。
私もダンナもパチンコなんて言ったことないぞ? いや、10万円なんて、普段の会話に出てくるわけがありません。
保育所の先生? お友達?
テレビかなあ? いや、でもテレビはEテレの番組オンリーやけどなあ。
謎は深まるばかりでしたが、解けることはありませんでした。
恐るべし、子供の吸収力。