三世代育児
私の家には、祖母、母、私の三人の女がいます。(あと、ジャイ子)
戦争を生き抜いた世代。団塊世代。そして子供時代にバブルが弾け、ゆとり教育が行われる直前の、なんとも中途半端な省エネ世代。
それぞれの時代に主流だった育児法を皆が正しいと信じているものですから、我が家の育児はたびたび混乱を招きます。
例えば、次男が泣いて私が抱っこしようものなら。
「抱っこ癖がついたら、かなん。あんまりすぐに抱っこせんとき」(祖母)
『抱っこ癖』!
死語になりつつある単語です。
今は親子の信頼関係を確立するために、泣いたらどんどん抱っこしましょう、と言われていますのに。
また。
「乳よく出るさかい、お餅、ようさん食べ」
ひー。
祖母の時は食事も質素でしたから、確かにお餅は乳をよく出すための素晴らしい食べ物だったのでしょう。しかし、今ではお餅は授乳中、避けたほうがよい食べ物とされています。
飽食の現代。普通の食事にお餅を更に食べようものなら、即座にうつ乳(お乳が詰まること)を起こすこと間違いなし。
そして、授乳したあとに次男が少しでもぐずろうものなら、今度は。
「母乳、足りてへんのちゃうんか? もったいぶらんとミルク足してあげや」(母)
出た! ミルク至上主義!
団塊世代は、母乳よりミルクが推奨されたという、まさかの世代です。私もミルクで育ちました。
赤ちゃんには母乳がやっぱり一番、というのが現在です。できるだけミルクに頼らず母乳で頑張って、と産院では指導されるものですから、ことあるごとにミルクやれ、と繰り返し言われますと私としてはイライラします。
母乳が出せない=ダメなおかあさん、なんて言われてるようにも感じるのです。
いやいや、体重計で測ったら母乳の量はちゃんと出てるし!
母の世代というのは、スポック先生の育児論が少し残っていたり、妊娠中の悪阻なんてのはただの甘えだと一刀両断されたスパルタ時代でもありました。(私の妊娠中の悪阻に関しましても、母には『根性がない』からだと、度々言われました)
今回の子(次男)はほぼ母乳だけで今のところいってますが、上二人の子は混合乳(母乳+ミルク)でした。学校や仕事に行ってましたので、しばらくしてミルクオンリーになりましたが。
母乳派とミルク派、いろいろご意見があると思いますがね。
結局、子供はどっちを選んでも普通に育ちますから。そこまで気にしなくても良いと思うのですけど。
最近では、母乳育児で育てた子は、脚気になることもある、なんてお話も聞きますね。
とりあえず混合乳で育てとけば間違いないだろう、と私は軽く考えておりますが。(一番、手間がかかるパターンですけどね)
育児には正解や間違いというのは厳密には無いのではないかなあ、と思います。
例えば、団塊世代である私の父の子供時代はですよ。
農村の繁忙期の時期なんてのは、動き回る乳児の脚に紐をくくりつけて柱や木に縛り、家やあぜ道に放置していたのが当たり前だったわけです。
いまならば虐待の範疇で大問題ですが、そうやって成長した私の父や近所のおっちゃんらを見ると、特に問題なく普通のおっちゃんに育っているわけですし。
現在でも、日々育児法は進化しているわけでして。
乳児の沐浴にしかり。
長男のときには、耳を押さえて水が入らないようにと沐浴指導を受けましたが、ジャイ子の時にはそれはNG。(鼓膜に負担をかけるからだそうです。水が入っても、どうせ乾くから問題なしだと)
出産後の入院中も。
長男のときには、助産師さんがきれいに毎日息子の身体を洗ってくださいましたが。
二人目のジャイ子のときには、ドライテクニックという方法で身体を拭いてくださるのが主でした。(今では、赤ちゃんが産まれてくるときに身体に纏っている胎脂を、無理に落とさないのですって。お肌の保護や保湿効果がある素晴らしい自然の贈り物なんだそうです)
次男の時には。
授乳あとのげっぷ出しの指導が以前とは変わっていました。
上二人の時には、肩に乗せて背中を叩いてましたが。それだと、赤ちゃんの顔が見えないため、今は膝の上に座らせてげっぷを出すようにと教えてもらいました。
たった7年間の間に、三人の子それぞれの指導が異なっているのです。
これからも、年々、育児方法は変わっていくのでしょうね。