1人目
僕の日常をそのまま文章に起こしてます。
ノンフィクション。
そんな訳あるか笑
って思いながら、テキトーに読んでくれれば嬉しいです。
家にある硝子と言えば、
ベッドの横の窓と二つのコップくらいだ。
若者の一人暮らしなど、そんなものだ。
ソファーは僕が着た後の服を乱雑に着飾り、
床には一面に咲き乱れるビニール袋。
そんなものなのだ。
ベッドの横の硝子からは、
母親のような陽射しが布団を剥がす。
「やめてくれ、夜勤明けなんだ。」
一人で、地球何倍分もの母親に答えるが、
ちっとも聞いてくれやしない。
僕は大学生五年生だ。
過去経験した義務教育の中で、
五年と言う、キリの良い数字は経験していない。
人間の母親から離れ、
このビニール畑に引っ越してきて、
五年経ったのである。
とは言っても、引っ越した当初は、
非常に美しいフローリング畑だったのだが。
友達は、皆就職やら、
それぞれの事情で地方に散り散りになり、
残ったのは僕と、同じアパートに住む、
友達以上恋人未満の野郎どもだ。
僕のアパートは少し変わっていて、
新居者には洗礼が下される。
単純明快、「吐くまで飲ます」。
今、野郎どもは僕を入れて7人。
僕が、こうなるとも知らず、
脳内クラブミュージックハーレム状態で大学に入学した当初は、
このアパートには僕一人だった。
しかしその一年後、良い意味でも悪い意味でも、
今の僕を形作る基礎となる人物が、
入居してくるのだ。
学校をサボり、家で両親への罪悪感と共に、
覚えたての煙草で
大人っぽい自分に酔いしれていた昼下がり。
インターホンが蝉の鳴き声に混じり、
僕の鼓膜を揺さぶった。
大方、同級生か販売か、
どちらにしても大人の僕を見せてやろうと、
意気揚々とドアを開ける。
まず目に飛び込んできたのは、
ライオン顔負けの黄金の髪の毛だった。
次いで、幾つも銀色を散りばめた耳。
僕の、予想を見事に外した脳と目が大忙しで、
何とか現実に戻れた頃、
今度は耳をフル稼働させる事になった。
「今暇?引っ越してきたから遊びにおいでよ!」