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運命プリンス  作者:
9/11

なぜか険しい道のり

 なぜか保健室までの道のりは険しかった。

 大した距離じゃなかったはずなのに、今はやたら遠くに感じる。

 呼び止められて連れてかれて、目の前には怖いお姉さん方三人。先輩かな?

 メイクとか凄くしてるような綺麗な……やっぱり怖い人達。



「あんた、大して可愛くもないくせに流星と付き合ってるって?」


 一際けばい人が言った。

 流星君のこと、呼び捨てにしてるけど、別に親しいわけじゃないと思う。

 一方的なファン。そんな感じ。多分。


「生意気なのよ。どんな手使ったか知らないけど、別れなさいよ」

「それは保証できませんよ」


 今から流星君を迎えに行って、どうなるかはわからない。

 流星君から別れようと言ってくれるかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

 だって、別れろって言われて、「はい、そうするつもりです」とは言えない。

 別れたいわけじゃないんだ。


「これを流星に見せたらどうなるかしらね?」


 突き付けられるのはケータイの画面。

 相馬君と私、さっきの頭を撫でられてるところ。

 これが絶妙な角度で……全然、気付かなかったなぁって。

 何て言うか、お見事?


「別に構いませんよ。やましいことがあったわけじゃないですし」


 それで流星君の本音が聞けるかもしれないし。

 相馬君だってはっきり否定してくれるはず。

 あれは妹にするみたいな……多分、そんな感じだった。相馬君なりの応援だと私は思ったけど。


「痛い目に遭わないとわからないの?」


 手が首元に伸びてきた。

 薄い色のマニキュアに彩られた長い爪、こんな風にはできないなぁって。

 そんな手首を掴むのは小さな手、ネイルなんかしてないし、お化粧もしてないような可愛い女の子が先輩達を睨んでた。


「そういうのって、脅迫じゃないんですかね?」

「あんたには関係ないでしょ!」

「でも、見ちゃったんですよねぇ……」


 困ったように女の子が肩を竦めて……


「痛っ……何するのよ?」

「とりあえず、この手は離しましょうよ」


 平然と先輩の腕を捻り上げて、私の襟から外させる。そして、ぱっと手を離す。

 先輩は彼女を殴ろうとしたんだろうけど、さっと避けた。


「虎が出るか、猫が出るか、城が出るか……ちょっと試してみます?」


 ケータイ片手に不敵な感じで、ちょっとかっこいいなぁって思ったりして。

 ネコちゃん先輩もかっこいいけど。

 そう私は可愛い女の子になれなくても良いから、こういうかっこいい女の子になりたかったんだ。


「思い出した! 白虎の女だ!」

「チッ……」


 白虎?

 よくわからないけど、先輩方は顔を見合わせて、舌打ちしたりしていなくなって……助かったのかな?



「篠木林檎ちゃん、でいいんだよね?」


 先輩達の後ろ姿を見送って、女の子が聞いてくる。


「そうだけど……」

「私、あなたのこと、一方的に知ってるから放っておけなくて」


 何で、私の名前知ってるのかな?

 やっぱり、噂で知られちゃってるのかな?


「私は二年F組の玉城楓(たまきかえで)


 たまき、さん?

 あれ、たまき、って聞いたような聞かなかったような……


「えっと、ありがとう」

「私が勝手にしたことだから」


 助けてとは言ってない。でも、助かったから。


「生徒会の結城天真君の幼馴染みで寧々子先輩とも話すから、あなたのこと聞いてるの」

「それともう一つ、あなたが付き合ってる男の子の友達と、その、付き合ってて」

「と、友達って相馬君、じゃないよね」


 だって、相馬君に彼女がいるなんて聞いてないし、この前赤い糸が繋がってなかったとか……

 いや、違う。この子ネコちゃん先輩が言ってた子だ。

 南城会長が生徒会長に入れたがってた玉にお城の玉城さんで、南城会長と結城先輩が可愛がってたっていう子。

 不良と付き合ってる……それがびゃっこさん? 不良と流星君が友達?


「流星君とクラス一緒になって、最近なぜか凄く懐かれたと思ったら、今日は泣きつかれてうぜぇって愚痴ってるの」


 聞いたことないけど、流星君怖い者知らずだし、ありえなくない。


「なんか迷惑かけてるみたいでごめんなさい……」


 知らないところで迷惑かけてたなんて思わなかった。


「私達だって結構周りに迷惑かけたし、現在進行形でかけてそうだし……だから、頑張ってね」


 玉城さんは私の肩を叩いて、去っていく。

 そうだ。流星君のところに行かないと……


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