王子様の親友
放課後、流星君と話さなきゃって思ったら相馬君が来た。
話があるって呼び出されて……
人のいない廊下で。
「お前に嫌われたって流星が泣いてうざい」
え、流星君泣いてるの?
嫌いとかそういうことじゃないって言ったのに。
って言うか、今日一日のことなのに……
「ただ考えたかっただけだよ」
「またあれか。流星君可愛そう、か?」
「うん……」
だって、たとえ、私が流星君に釣り合おうと努力しても無駄だって思うんだ。
「そりゃあ、あいつは可愛そうなやつだよ。話聞けば聞くほどそう思う」
相馬君は私より流星君を知ってるんだろう。
「イケメンすぎて変なトラブルに巻き込まれることもしばしば。変な女に付き纏われたり、男に迫られたこともあるって言うし、最近まで本当の友達が全然できなかったって、俺、泣かれたぜ?」
流星君にそんなことがあったなんて知らなかった。
表面的なことしか話さなくて互いのことなんて知らない。
きっと、私の深い部分を知られたら好きになってもらえないって思うから。
「気を許した女には裏切られて、失望してばっかり。やっと運命の相手に出会えたと思ったらイケメンすぎるから付き合えないとかいう話に……」
「誤解、とは言い切れない」
なんか相馬君が話をねじ曲げてる気がするけど、でも、ネコちゃん先輩にもそう思われただろうし……
「卑屈になる必要なんてねぇだろ。見る目は人それぞれ、俺は案外お前達、お似合いだと思うけどな。それこそ、入り込めないって思うぐらいには」
そんなまさか。
「だって、流星君と釣り合うような可愛い子はいっぱいいるよ」
私じゃなくてもいいと思うのに、何で流星君は私なんかにキスしたんだろう。
思い返してみて、嫌だったわけじゃないけど……
あの時の流星君はなんか強引だったなぁ。思い出すと顔が熱くなる。
相馬君が溜息を吐いた。
「大体、あいつにしてみれば、お前との初対面なんて涎垂らして寝言言ってたところだろ?」
「涎垂らしてない! ……と思う」
そうだ。私は寝てて起こされて……
「すげー不細工な顔だったかもしれねぇじゃん」
相馬君が笑った。
「な、なんて失礼な!」
その可能性無きにしも非ずだけど……!
でも、ひどい。確かに元が可愛くないけど。ひどい。
「お前は自分が何か言われるより、自分のせいで流星が何か言われるのが嫌なんだろ?」
だって、そう流星君にはもっと相応しい人がいる。
ちゃんとそれを言おうと思う。
それでも私がいいって言うなら、ちゃんと聞きたいから。
「でも、流星はそんなの気にしねぇ。あいつもあいつで、お前が何か言われるのが嫌なんだろうな」
何で、流星君が私にこだわるのか。
私が考えたってそんなことわかるわけがないんだ。
「私、ちゃんと流星君と話すって決めたんだ」
怖いけど、本当は怖いけど。
でも、ネコちゃん先輩にも言われたから。
ぶつかって、どっちが砕ける科分からないけど。
「よし、いい子だ」
相馬君に頭を撫でられて、頑張らなきゃって思う。
バンリにも相馬君にも心配かけてるから。
「って、俺は余計だったな。流星に会いに行こうって思ってたんだろ?」
「そうだけど、でも、相馬君、ありがとうね」
だって、怖くて、教室に行く前に引き返してたかもしれない。
「流星君、まだ教室にいるの?」
「いや、保健室。具合悪くなってな」
保健室?
「私のせい?」
「ねぇとは言えねぇな……」
「そっか……」
私のせいで流星君を苦しめてるなんてやだなぁ。
「責めるつもりはねぇよ。その辺、お互い様だろ。お前だって悩んでる。あいつの場合、仕事とかはしゃぎすぎとかが余計なだけだ」
流星君は私とは違う。その意識は簡単には消えない。
「じゃあ、俺は教室で待ってるから。流星迎えに行ってくれよ」
そう言って、相馬君は行っちゃった。
私も行かなきゃ。
具合が悪いならぶつかっちゃいけないような……でも、行かなきゃ、始まらないよね?




