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運命プリンス  作者:
7/11

ネコちゃん先輩に相談

「なるほど」


 一通り話して、ネコちゃん先輩が頷く。


「ネコちゃん先輩だったら、どうするの?」


 ネコちゃん先輩は迷いのない人だと思う。


「大事なのは、林檎ちゃんがどうしたいかってことよ」

「うん……」


 わかってる。それはわかってるんだけど……そのどうしたいかがさっぱりわからなくて、ネコちゃん先輩に話したら何か見えるかなって。


「私ね、ずっと王子様を待ってたよ? でも、自分の身の丈に合った人が良かったっていうか……」

「天城君では合わない?」

「だって、流星君は本当に王子様みたいなイケメンでモデルで世界が違うもん」


 特別じゃなくて良かったの。

 ただ運命の人に会いたかっただけなの。

 高望みしてないつもりだったの。

 でも、流星君は本物の王子様すぎて人違いじゃないか……


「よく理想が高すぎる人がいるわね。イケメンじゃないから無理ってはねのけられる男の子がいる」


 うん、私はそうなりたくなかった。


「でも、逆もまた酷ね。イケメンすぎるから無理なんて」


 だって、イケメンからすれば、私なんかふるいにかけて落ちる方だと思うし……

 流星君がちょっとおかしいって言うのも失礼な気がするけど。


「大体、他人を自分の定規で測るのって私は少し失礼な気もするわね」

「そうかもしれないけど……」

「大丈夫。林檎ちゃんの考えてることはわかってるつもり」


 ネコちゃん先輩が頭を撫でてくれる。


「顔だけで判断してるんじゃないよ。だって、流星君は仕事があって、人生の勝ち組みたいな人だよ?」

「そうなるまでに、たくさん苦悩してきたんでしょうね」

「折角、今、成功してるのに私のせいで流星君の価値を下げたくない」


 私のせいで流星君の趣味が悪いとか言われるのやだよ。


「あなたはそうやって、天城君のことを想ってるのね」


 私が流星君を?

 ううん、違う。だって、流星君を好きにならないようにって思うの。

 流星君の赤い糸が間違いだったってわかるまで。


「でもね、それは林檎ちゃんが一人で悩むことじゃないと思うのね」


 ネコちゃん先輩はお姉さんみたいで、お母さんみたいで……


「彼の本当の想いを聞いてないでしょう?」


 どうなんだろう。

 流星君はこのまま別れたくないって言う。嫌わないでって言う。

 縋るみたいな目で私を見る。


「彼が何を考えてるかわからないなら、直球で聞いてみればいいのよ。全力でぶつかって、彼か、あるいはあなたの方が砕けちゃったらそれまでね」


 聞けないから困ってるなんて言い訳は通用しない。私が怖いだけ。


「王子様がイケメンモデルだろうと彼が本気で林檎ちゃんを好きなら関係ない。余計なもの取っ払って林檎ちゃんが彼を好きかどうか、それが重要なのよ」


 うん、ネコちゃん先輩が言いたいことはわかる気がする。

 私はちゃんと流星君を見てない。多分、見ることから逃げている。


「南城なんか見た目の支持率は馬鹿みたいに高いのに、中身があれだからなかなか彼女ができないのよね」


 ネコちゃん先輩は容赦ない。

 南城会長は穏やかで優しそうなそうなイケメン。

 あの人も王子様みたいってみんなが言ってるけど、私の王子様じゃないなぁって思った。絶対ありえない。

 胡散臭いとか腹黒とか言われてたりして、キングって呼ばれることもあるくらい。


「しかも、地味に失恋したし」

「えっ、あの、南城会長がですか?」


 考えられないなぁ……南城会長が振られるなんて。

 ネコちゃん先輩もそれ以上教えてくれなさそうだけど。


「結城は生徒会に入ってから南城のお守りでおじいちゃんみたいになったし」


 結城先輩は生徒会一の常識人。

 私としてはネコちゃん先輩が一番まともだと思ってたんだけど。

 だって、結城先輩、ネコちゃん先輩に面倒なこと押し付けてるし。


「その南城と結城が可愛がってた女の子は今不良とラブラブだし」


 そ、それは何て言うか……二人がその子のことを好きだったら、ダメージがあるんだろうな、って。


「でも、その不良の彼も見た目は完全に不良だし、人を殴って停学になったこともあるし、荒れて煙草吸ったりしてたけど、本当はもの凄く純情だったり、思いやりの心のある人ね」


 人は見かけによらない、ってことかな?


「彼を見てて、私は一目惚れって本当にあるのね、って思ったの。恋が人を変える」


 一目惚れ……流星君は私の何に引かれたんだろう?

 私は流星君を悪い方向に変えてしまいそうで怖いのに。


「たまたまあなたの愛を求める人がイケメンすぎただけよ。でも、その顔が全てを偽りにするわけじゃない。惑わされる心が偽るのよ」


 そうなのかな?

 流星君は本当に私なんかの愛がほしいのかな?


「本当の彼を見てあげて」

「うん……ちゃんと流星君と話してみる」


 付き合うのだって、流されて、試しに……って感じだったし。

 こうやって避け続けてるわけにはいかないんだろうなぁ…


「だから、ネコちゃん先輩の新しい写真が欲しいなぁ」


 私はいつもネコちゃん先輩の写真を手帳に持ち歩いてる。写真部の部長さんから貰った隠し撮り。

 本当は買ったんだけど、ネコちゃん先輩が取り締まって、全部、回収になった。でも、私はどうしてもって言って貰った。


「それとこれは別の話よ。私なんかの写真よりずっと良い物があるでしょう?」

「うー、だって、ネコちゃん先輩好きなんだもん」


 何でかわからないけど、凄く好き。私の憧れ。

 ネコちゃん先輩みたいだったら、自分に自信が持てたのかな?


「いつか本当の好きがわかるといいわね」

「ありがとう、ネコちゃん先輩」


 ちょっとすっきりした気がする。やっぱりネコちゃん先輩は偉大!

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