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運命プリンス  作者:
2/11

親友と王子様と友達

 あれから私は頭痛も忘れて教室に駆け込んだ。案の定気持ち悪くなった。

 幸い、次は移動教室じゃないけど、もしかしたら、保健室に逆戻りかも。

 でも、そんなの気にしてられなかった。


「林檎、あんた、息切らしてどうしたの!? まさか、高城(たかしろ)、あの野郎……! よりによって、あたしの林檎に手を出すなんて、淫行で訴えてやる!」


 目当ての親友を見付けた途端、これだった。

 保健室のおっさんと言うと怒る自称お兄さんな養護教諭高城俊也(としや)を一方的に敵視してるんだから。


「ち、違う、違うから!」


 否定するのも大変。まずいものが出ちゃうんじゃないかって感じ。


「バンリ、お願い! 放課後付き合って!」


 妄想が暴走して止められなくなる前に私は早口に言い切った。

 篠原万里(しのはらまり)、私の親友はクールビューティーで姉御肌で周囲からは私の保護者と思われてる。

 紛れもない女性でありながらバンリと呼ばれたがって、少し暴力的というかそこらの男子には負けないと言うか、男性的な面もある。

 私が厄介な頼み事をできるとしたらバンリしかいない。


「あんたがお願いなんて珍しいわね」

「わけは聞かないでお願い! 私を助けて!」


 今は落ち着いて話せそうにない。

 でも、私はバンリに用事がないことを願うしかなかった。


「わかった」

「いいの?」

「何も用ないから」


 バンリははっきり物を言うタイプだから用があったら、きっぱりお断りされる。

 ほっとしたら、なんか力が抜けた。


「それより、あんた大丈夫なの? 保健室戻ったら?」


 それは、さっきのことを思い出して嫌だった。とにかく今の私は混乱してる。


「あんた、やっぱり高城に……」


 バンリからゴゴゴゴゴ……って効果音が聞こえそうなほどだった。

 黒いオーラが出てる。やばい。


「違う、本当に違うって言うか、先生全然関係ないから!」


 濡れ衣なんかかけたら、それこそあのおっさ……お兄さんは何するかわからないけど。

 でも、それ以上話すことはできなかった。チャイムが鳴ったから。


「やばくなったら、ちゃんと保健室行きなさいよ。いいわね?」


 私は頷く。バンリに頼んだら良くなっちゃったみたい。

 ごめん、バンリ。今の内に心の中で謝罪しておく。多分、かなり厄介なことに巻き込むから。



 結局、私の体調はお昼を食べたら完全に回復して、バンリは昼休みでさえ追及しないでくれた。

 知らない王子様系イケメンにキスされて、私の王子様発言されたなんて言えなかった。

 そして、問題の放課後、ホームルームが終わって、急に教室が騒がしくなった。女子がキャーキャー言ってる。

 その視線の先にいるのは、やっぱり、あの王子様野郎(仮)で。

 目が合うなり真っ直ぐ私のところに来たりして。


「迎えにきたよ、林檎ちゃん」


 ニッコリ微笑まれた瞬間、私は殺意を感じた。

 そして、隣からの視線も痛い。


「林檎、あんたの頼みって、こいつが関係あるわけ?」

「う、うん……」


 バンリは今にもキレそうだった。


「何で、天城流星(あまぎりゅうせい)が……」

「知ってるの?」

「知ってるも何も、この通り超有名人だけど、あんた、まさか、知らないで関わったわけ?」


 バンリの目がちょっと怖くて泣きたくなった。

 私だって、関わりたくて関わったわけじゃないもん!



「流星、とりあえず出ろ」


 そんな男子の声が聞こえたと思って、そっちを見てちょっとビックリした。

 連れてくる親友って……


相馬(そうま)君?」


 よっ、と彼は笑う。

 相馬(かける)君、一年の時、委員会が一緒で意気投合した男子。


「あ、俺の親友の駈ね」


 それを聞いたら、何かほっとした。バンリがいて、相馬君もいる。凄く心強くなった気分。


「いいから行くぞ。どうせ、お前がついてくるんだろ? 篠原」

「相馬、あんたでいいから説明しなさいよ」


 バンリが厳しい眼差しを送るけど、相馬君は肩を竦めて背中を向けた。

 周りの状況がまずかった。みんな、注目してる。相馬君は早く脱出しようって言うんだろう。

 それからはちょっと早足で約束のカフェに向かった。道中、すれ違う女性の視線がずっとアマギ君とやらに注がれていたから。

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