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荒井討伐隊発足

「え・・・と・・・転校生の現世 可憐-うつつよ かれん-と言います

とっても歓迎してくれてありがとう

少し心細いですがよろしくお願いします」


ぺこり、と頭を下げる




男子達のむさ苦しい大歓声と口笛、いつの間にか戻って来ていた雄大は何故かクラスメイトと社交ダンスを踊っていた



そしてそれに比例して女子達の凍えるような冷たい目が男子達に注がれる




なんとゆう異空間



そんな中、僕だけは彼女から目を逸らす事が出来なかった



雰囲気、背丈、見た目、声、喋り方


夢に出てくる女の子とあまりにも似ている・・・いや、同じなのだ


同一人物、としか思えない程に・・・



不意に目が合った



恥ずかしそうに反らされた



・・・まあ・・・そうだよな・・・


いくらなんでも夢の中に出てくる女の子と同一人物だなんてな・・・

どっかのファンタジーか



そう思い直す事にして机に座り直す



「先生、私はどこに座ればいいですか?」



「あん?あ〜・・・

ん〜・・・

そうだな・・・

よし、荒井、てめぇが面倒みてやれ」




・・・what?



「おい、こら、そこの荒井の隣の俺の教え子T!

席を窓際の1番後ろにしてやるからさっさとその席を空けろ

15秒以内にやらねぇと小倉百人一首全部丸暗記するまで補習すっからな

ほらスタート」


文句すら言えず必死の形相で荷物をまとめて新たな席へと駆けるクラスメイトT


「ふん、14秒55か」



かなり危なかったな



「よし、現世は荒井の隣だ

荒井!

ちゃんと面倒みろよ

じゃねぇとしばくぞコラ」


なんて横暴な・・・



しかしながら気になるのは男子の目だ


先程まであんなにどんちゃん騒ぎをしていたくせに一瞬で僕に殺気の帯びた冷たい視線を突き刺してくる



・・・バキッ



あるクラスメイトのシャーペンが折れた音であった・・


よくみると何人かハサミを逆手に持って俺を狙っている


そして・・・


「よし、まあもうめんどいしこれでHRを終わる

号令!」




担任が教室からでていった瞬間・・・




「おっしゃああああああ!

男子諸君!



我等が反逆者、荒井亮を捕らえろぉぉぉぉ!」



まずい!



とっさに教室から抜け出し逃げる



「おい!ターゲットが逃げたぞ!


三班にわけて探し出すぞ!」


「「おぅ!!!」」









・・・ふう、ここまでくれば大丈夫だろう


今いるのは体育館の舞台袖


さっきから廊下で怒号と凄まじい足音が聞こえているのが恐ろしい



・・・まずいな

そろそろ授業が始まってしまう



抜け出して戻るか・・・




舞台袖から出た瞬間・・・



「動くな・・・」



妙に渋い声の頭にバンダナを巻いた男子生徒に背後からホールドアップを命じられた



「ちっ・・・」



仕方なく応じる



フリをして振り向き様に胸倉を掴んで引き倒す!



はずだったが妙に訓練めいた動きで腕を逆に取られ、逆に地面に引き倒された



衝撃が背中を襲い軽く息が詰まる



そのまま上にのしかかられ、腕を首に押さえつけて身動きがとれないようにしてきた



くそっ!



その時僕は気付いた



自分の膝を立てた位置に調度奴の急所がある



迷わず思い切り膝を立てた


メリッ・・・と膝がめり込み

男子生徒が「ぐ・・・ふ・・・」といいながら崩れ落ちる



今のうちに逃げよう・・・



「ま・・・待ってくれ・・・」


男子生徒に呼び止められる


「一つだけ・・・・言わせてくれ・・・」



「なんだ?」



両腕を俺に向け人差し指を僕に向け、親指を立てる





「・・・いいSENSEだ・・・」





それっきり彼は動かなくなった



とりあえず教室に帰ってきた





ふぅ、なんとか間に合った

しかし男子共はどこまで探しに行ったんだ?


残ってる男子は翔くらいしかいない



「翔、野郎達はどこまでいったんだ?」



「ん?あぁ、亮でしたか

お帰りなさい

ああ、荒井討伐隊、でしたっけ?

彼らは学校の階段、保健室下足室、職員室、トイレ、それらに続く道の要所に見張りを立ててましたよ」



荒井討伐隊・・・


僕、討伐されるのかい?



「あー、ちなみに見つかったらどうなる?」


「ただでは済みませんね」


「何人くらいメンバーがいるんだ?」



「確認したのは

僕と亮以外の男子クラスメイト28人と他クラスからの援軍やスパイを入れて総勢50人前後かと、

まだまだ増えそうですがね」




・・・うちのどの部活よりも人数いるじゃねぇか


なんだよこの大規模部隊は・・・




そうこうしていると男子達がぞろぞろと帰ってくる



とっさに翔のそばの壁にしゃがみ様子を伺う



-ったく・・・荒井の野郎はどこ隠れてやがったんだよ-



-わかんねぇよ

逃げ足は無茶苦茶早かったんだよなぁ-



-しかもまだ居ねぇとこみたらまだ逃げてるみたいだしな-



-ははは!無駄だよ!

もう時間の問題だな!-



-まあ確かにな!

なんせ全学年、全クラスの一部男子が俺らの味方だ

全員は流石に無理だったがな-



-まあ仕方ないよ

まあ今回は追跡より味方集めるに力を入れて正解だったな

おっと、荒井討伐隊隊長?

そうですよね-



-ははは、敬語はよしてくれ、同級生じゃないか-




・・・始業まであと5分か・・・


くそっ、焦って帰ってきたのが仇になったな・・・




いきなりガラッ、と扉を開き男子生徒が慌てて駆け込んできた



・・・あれは、下級生か



「た、大変だ!

隊長!隊長はいるか!」



「なんだ!騒々しい!

本部であることをわきまえろ!」



本部?

ああ、荒井討伐隊本部?


・・・まじで?



「も、申し訳ありません!」



「まあいいじゃないか

君、名前と階級は?」



既に階級まで出来てたのか・・・



しかし、さっきから気になってたんだが隊長の声に聞き覚えがあるな・・・



「一年生統括班班長、門倉です!

土屋隊長!」



・・・土屋?


土・・・屋



・・・雄大、貴様か・・・



後で死ぬほど鳩尾に叩き込んでやる




「門倉君な、で?

そんなに焦ってどうしたんだい?」



「じ・・・実は・・・

一年生暗躍班、コードネーム、全裸の蛇が・・・










やられました・・・」



突如、先程まで談笑を楽しんでいた男子達が静まり返る



「な・・・なん・・・だ・・と?」

雄大も驚きを隠せないようだ



「おい、それは誰にだ!?いや、全裸の蛇は無事なのか!?」



「わかりません・・・

恐らくターゲットに返り討ちを受けたのではないかと思われます・・・

気絶していただけで・・・

今は保健室に・・・」




「馬鹿なっ!

あの全裸の蛇だぞ!

・・・くそっ!

おい、今から現場に行くぞ

門倉君、案内してくれ

どこだ?」



「了解しました!

体育館舞台袖です!」



「・・・体育館か・・・

ちっ、運よく包囲していない所を突かれたか・・・

諸君!

行くぞ!」




雄大を先頭に男子達が出ていく



・・・始業開始まであと一分もないんだが・・・




「すごいですね・・・」



「ああ、やばいな・・・

そういや、現世さんは?」



「ん?自分の席で女子から質問攻めですね

ほら、」



確かに、女子の群れは俺の席を巻き込んでキャイキャイと騒ぎ立てていた



キーンコーンカーンコーン


ガラッ


「よ〜っし、授業始めるぞ〜」




教科担当が入ってくる



「・・・?

これは・・・一体何があったんだ?


なあ、荒井?」



「全裸の蛇のお見舞いに行きました」

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