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婚約破棄されたので、猫になりました。  作者: 本見りん


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3/14

まさかの婚約破棄


 ───パーティーに行く前から、少しおかしな感じはしていた。


 公爵家に王宮からの迎えが来ていつもなら一応は王宮の入り口で待っているはずのエドワルドは居なかった。……ちなみに両親と義妹は別の馬車で王宮(ここ)に来ている。

 不審に思いながらも侍従に着いて行くとパーティーが開かれる大広間に直接案内された。……いつもなら別室に案内されるのに。


 そして父と義母を見かけたが、義妹はおらず義母はどこか挙動不審。


 極め付けは、その義妹と共に現れた婚約者エドワルド王子。と、その側近達。


 そして彼らはシャーロットを見付けると、不敵な笑顔を見せて寄ってきた。


 ───あ、コレはヤバいのかも。


 そして、王子は口を開いた。





 シャーロットは何かを言おうとする目の前の王子を見つつ友人である魔女の言葉を思い出していた。


 ……彼女はなんて言ってた? ……そう、5分で猫、だったわ。


 そう考えていると、王子から例の言葉を投げ付けられたのだ。



「……!」



 ───やっぱり馬鹿だった!!

 早く、動かないと!!



 その時シャーロットが考えたのは、魔法が発動するまでに人目のない所へ行く事、だった。

 人前で猫に変身するなんて、『オルコット公爵令嬢シャーロット』の名に汚点が付いてしまう。


 だから、シャーロットはすぐに動いた。

 真っ先に扉に向かって走り出したが、普段走るなんて事はしない上に何せドレスにヒールでは走りづらい事この上ない。

 それに途中から衛兵が道を塞ごうと動き出した。


 仕方なくシャーロットは近くの窓に行きベランダに出る事に成功する。

 そして下を覗くが……。


 結構な高さだ。これ、死にはしなくても普通にすごい怪我をする。

 周囲を見渡すと、ちょうど近くに飛び乗るのにいい感じの木があった。後ろからは衛兵の近付く音。


 ……行くしかない!


 しかし柵がある。運動神経は良い方……だと思う。ドレスのまま1メートル少しの柵になんとか足を掛けようとして───バランスを崩して落ちた。



 ───ッ! 落ちる!!



「ッご令嬢!!」


「キャー!!」



 ベランダ付近から人々の叫び声が聞こえる。


 ……しかし、シャーロットは地面に華麗に着地した!



 ───ふう。良かった~。意外にいけたわね。ふふ。なんだか身体が軽い気がするわー。

 ……ん??



 立っている筈なのに、視点が随分と低い。というか低過ぎる。私いったいどうなって……。



 思わず手を見る。


 白いふさふさの可愛い前脚。



 ……コレって、まるで猫の足……。くるりと手のひらを見ると、ピンクの可愛い肉球。


 ───本当の本当に、魔女(ブレンダ)の言ってた猫になってるーーッ!!



 シャーロットが大混乱していると、周囲が騒がしくなって来た。おそらく彼女(シャーロット)を探しに来たのだろう。


 驚いて思わず身体が植え込みに当たりガサリと音を立ててしまった。



「いらしたのか!?」



 衛兵が物音がした茂みを掻き分けた。しかしそこには……。



 ガサッ……「ニャアォ……(ち、違いますよ~)」


「……なんだ、猫か」



 衛兵達は猫のシャーロットを見て行ってしまった。


 シャーロットはホッとしたものの、自分が人の言葉を喋れない事に気付き絶望する。



「ニャア、ニャニャア! ニャニャアニャウニャ~! ニャウニャウ、ニャア! ニャ、ニャニャアニャニャ……。ニャー! ニャアニャニャニャアニャアー!(ちょっと、ブレンダ! 私これからどうしたらいいのよ~!! 言葉も話せないし、詰んでる! ええと、確かこの魔法を解くには私を愛する人のキス……。無いわー! ブレンダ御伽話の読み過ぎよ!)」



 ニャアニャア叫んでからシャーロットは落胆し、落ち込んでペシャリと座り込んだ。

 しかしここでこうしていても仕方ない。なんとか気を取り直してのろのろと立ち上がりトボトボ歩き出した。


 暫く歩くと一階の部屋の一室に開かれた窓を見つける。ちょうど飛び上がって乗れるスペースもある。



 ……こうなったら思い切ってこの姿で王宮内の人々の様子を探ってみますか! 王宮内は大体分かっているのだし、何とかなるでしょ!



 そして思い切ってジャンプ! ヒラリと軽やかに窓枠に着地した。



 ……乗れた! 良かった~! この身体はすごく身が軽いわ!



 少し気分も上がり部屋に入り込む。ここは貴族の休憩室のようだ。ベッドもあるし、部屋の隅には鏡台があった。

 シャーロットはヒラリと鏡台の前の椅子に乗る。そして鏡を覗き込んだ。


 そこには一匹の白い猫が居た。



 ……うわぁ、可愛いッ! 

 ……というか私なのよね、これ……。


 その可愛い猫の姿を見て一瞬バァっと目を輝かせるが、すぐ自分が本当に猫になってしまった事実に我に返って凹む。


 ……どうしよう、本当に……。



 シャーロットは途方に暮れた。



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