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婚約破棄されたので、猫になりました。  作者: 本見りん


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夢は、本当だった



「ニャ!? ニャアオ!(どうって!? クラレンス様とはなにもないわ!)」



 先程のクラレンスとのやり取りを見られての発言だと思ったシャーロットは必死になってブレンダに弁明した。



「……私は昨日の王家の馬鹿親子の話合いの感想を聞こうと思ったんだがね」



「ニャ!! ……ニャニャーオ(え!! ……あの夢はやっぱりブレンダだったのね)」



 自分の勘違いが恥ずかし過ぎて、目を逸らしながらシャーロット猫は言った。



「ふーん。……まあシャーロットが快適に暮らしてるなら何よりだよ。

……そう、昨日は夢形式にしてみたんだ。シャーロットはあの時寝ていたし、ちょうど王妃の猫が近くに居たからそれを媒体にしてね」


「……ニャアン(……やっぱりそうだっのね)」



 やはり、昨日の夢はブレンダが魔法で見せてくれたものだった。という事は、エドワルドもそうだが国王夫妻のシャーロットに対しての不当な言動は本当だった。

 そう分かると国王夫妻にまで裏切られていた事実に、悲しいような恨めしいような……。そんな複雑な思いで胸が痛む。


 その様子を痛ましいものを見るようにしながらも、ブレンダは言葉を続けた。



「……昨日のは王族共の本音だね。何代か前から鬱陶しいとは思っていたが、そろそろおイタを躾直してやらないといけないかねぇ。……とりあえず、この国の貴族の良心次第ではあるけれども……」



 ブレンダはどこか底知れない仄暗い眼をここには居ない王族に向けて言った。



「ニャア、ニャアン……。ニャニャアオ。ニャオーン。ニャニャアーオ(やっぱり、アレが陛下達の本音なのよね……。だけど私は絶対に陛下達の思い通りになってあげるつもりはないわ。そしてエドワルド殿下とは絶対に結婚なんてしない)」



 シャーロットはもう国王達に従うつもりはなかった。……今までだって、随分と我慢してきたのだ。


 母が亡くなりその悲しみの最中しかもまだ喪中であるのに出された王命での婚約から始まり、不誠実身勝手な婚約者エドワルド。

 そして今回の決定的な彼の不貞とこちらに冤罪をかけての婚約破棄と公爵家乗っ取りの企て。


 ───何もかも。ずっとずっと、我慢してきた。


 だけどこんな状況になった今。もう我慢は辞めにして良いでしょう?


 シャーロット猫はそんな強い思いでブレンダを見た。……ブレンダはしっかりと頷く。



「……ニャニャオーン?(……じゃあ私を人間に戻してくれる?)」



 シャーロットは、今回当然公爵令嬢シャーロットに戻って彼らの目の前に出て行くべきだと考えてそう言った。───しかし。



「───いや、まだだ」


「ッニャッ!?(ッどうして!?)」



 シャーロット猫はブワッと毛を逆立ててブレンダを見た。



「まだ時期尚早だ。……この際、全部膿を出し切ってしまいたいからね」


「……ニャア?(……膿?)」



 シャーロット猫が問いかけると、ブレンダは不敵に笑った。



「───だから、もう少しの間シャーロットは私の可愛い子猫ちゃんでいておくれ」



 そう言ってシャーロット猫を抱き上げ、その身体に顔を埋めた。



「───ああ、確かに。これは癒されるね。暫くは楽しませてもらうよ」


「ニャ! ニャオーン! ナー!(ブレンダ! そんな事言って猫が好きなだけでしょう! もう!)」



 シャーロット猫は最初暴れたものの、魔法も実際の力も強いブレンダに諦めて気の済むまでされるがまま猫吸いをされた。



「はぁ……これはたまらないねぇ。

……おや、あちらさんはそろそろ始まりそうだね。ではシャーロット。一緒にこの国の貴族の良心を確かめようじゃないか」



 ハッとシャーロット猫が顔を上げると、そこには王国の重鎮と呼ばれる人々と王族達が集まる部屋がブレンダの魔法によって映し出されていた。



 ◇



 国王の下、国の行く末を決める重要な会議が開かれる広間には国王を始めとする王族、国の重鎮達が集められていた。


 会議の面々は普段の国政の会議とほぼ変わらない。

 しかしいつもと決定的に違うのは今日の議題は政治的なものではなく、罪を問う審議。……先日の建国記念パーティーで起こった『エドワルド王子による婚約破棄と婚約者の失踪、そしてその公爵令嬢に冤罪をかけ爵位の簒奪を企てた反逆罪』についての審議であるという事。


 

 『王族による爵位の簒奪』。

 ───それは許されざる行為。

 たとえそれが王家の者だったとしても。……いや、王家の者だからこそ貴族はそれを許さないのだ。


 貴族が王家に忠誠を誓い尽くすのは、王家が貴族を保護し守るから。その王家が守らないどころかそれを簒奪する行為は、王家が貴族を蔑ろにしてその忠誠を失うという事。

 先日のパーティーの、あの日の出来事を実際に見て知っている貴族達の目は厳しかった。



「───それでは、今から先日の建国記念パーティーにおける婚約破棄騒動についての審議を始める」



 宰相が始まりの言葉を告げ、国王夫妻は覚悟を決めエドワルドはただ恐怖に震えた。




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