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婚約破棄されたので、猫になりました。  作者: 本見りん


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18/28

愚かな王子と国王夫妻


「───私は騙されただけなんです! あの女に!」



 ───愚かな男はそう叫んだ。





 ……王太子レイモンドは午前中、友人でもある近衛騎士団長クラレンスに相談がてら今の調査状況の確認に行った。

 彼を呼び出しても良かったが、今の王族用の王宮は揺れているし王太子のフロアには可愛い一歳になったばかりの王子もいる。出来の悪い叔父の話を息子の前でしたくはないしゆっくり話が出来そうもないので彼の元へ赴いた。


 クラレンスに話を聞くと、やはりというか捜査は何も進展はしていなかった。

 ……弟が婚約破棄を突き付けたシャーロット オルコット公爵令嬢の行方は杳として知れない。



 ───シャーロット嬢は、実は4年ほど前まではレイモンドの婚約者候補だった。とは言っても婚約を希望していたのは王家側で、オルコット公爵家の一人娘であり正当な後継者であるシャーロット嬢が王家に嫁いでくれるはずはなかった。


 まあレイモンドとしても弟と同じ7歳下のシャーロット嬢は可愛い妹のような存在だが女性として好いているという訳ではなく、その後出会った隣国の王女メリンダと恋に落ちたので話が流れた事を大して気にはしていなかった。


 ……事態が動いたのは3年前。レイモンドが恋を実らせメリンダと結婚した暫く後に、オルコット公爵夫人が亡くなった。


 レイモンドも幼い頃から良くしてくれた夫人の死に深い悲しみを覚えていたのだが……。


 その後まさか国王である我が父が夫人の喪も明けぬ公爵家に、エドワルドとシャーロット嬢の婚約を王命で捩じ込むとは思わなかった。



 当時もレイモンドは随分国王を問い詰めたのだが、『お前だけが好いた王女と結婚し、王位を継ぐというのでは何も持たぬエドワルドが可哀想ではないか』と押し切られたのだ。……不甲斐ない自分を責めた。



 ───しかし今。

 無理を通してせっかく与えられた『公爵家の婿』の座を、正統な後継者であるシャーロット嬢を貶め冤罪をかけて簒奪しようとしたエドワルドをレイモンドは決して許せない。


 しかもその愚かな行いを、貴族や近隣の国々の大使達も集まるようなパーティーで行うという蛮行。王族としての自覚もまったくない。

 これから王家はエドワルドの為に堕ちた、信頼の回復に全力を尽くさなければならなくなった。


 そしてその前に、その原因を作った諸悪の根源であるエドワルドの処分はレイモンドの中では絶対だ。



 年がいってからの子エドワルドに国王夫妻である両親は同情的だが、今回だけは譲れない。

 この対応を誤れば貴族達の信頼は揺らぎ、王家の益々の信頼失墜は免れない。しかもこの話が我が国のおかしな噂となって国外に流れてしまう前に彼の速やかな処分も一緒に発表しなければ収まりは悪いだろう。




 ───そして今。

 私の前には愚かな男と、その罪をなんとか軽くしてやろうと模索するその両親がいた。



「……騙された? 何を騙されたというのだ?」



 両親は当てにはならない為、レイモンドが彼に問う。



「ああ兄上! あの女……ミシェルは私にシャーロットに普段から貶められていると、そう言って縋りつき……婚約破棄をして自分と一緒になってくれと、自分は公爵に愛された今の夫人との娘だから一緒に公爵家を継いで欲しいと、そう嘘を付いて私を騙したのだ!」



 話を聞いてもらえる! とばかりに目を潤ませ必死でエドワルドは主張してきた。


 レイモンドは冷めた目で弟エドワルドを見た。



「……ああなんという事でしょう! 可哀想に、エドワルド……! ねぇ貴方、ここはシャーロットさえ見つけて許すと言わせれば、あのパーティでの出来事は全て婚約者同志の痴話喧嘩、という事に出来るのではないの!?」



 王妃は涙ながらに国王に訴えた。



「う、うむ……。しかしだな、あれ程の事を無かった事にするには難しい。いやだが……、シャーロットに改めて人々の前でアレは自分がやらかした事だと言わせたら、エドワルドの責任は……」



「───ッ!!

あなた方は、この王国を潰したいのですか!!」



 国王夫妻の余りの愚かさに、レイモンドはブチ切れた。



「……そんな、大袈裟な……」



 それでも気の抜けた発言をする国王に、まだ分からないのかとレイモンドは苛立ちを募らせる。



「大袈裟ではありません!

今すぐもう一度、あの規模のパーティーを開いて同じメンバーの前で訂正する? そんな事が可能とでも? そしてそれを貴族達が信じるとでも思っているのですか? この国の貴族の信頼度は王家よりもオルコット公爵家の方が高いのですよ!?」



「……だから、シャーロットに訂正してもらうのではないの! 今更婚約者が居なくなってはあの娘も困るでしょう!?」



 王妃もまだ分かってはいないらしい。



「───誰が自分に冤罪をかけ、家の乗っ取りをしようとした愚かな男の為に罪を被るというのですか? そもそもこの婚約は王家にのみ有利なもの。それに筆頭公爵家になら婿に入りたいという者は幾らでも居るでしょう! オルコット公爵も婚約破棄に向けて話をされていたのではないのですか!?」



「む…………ッ」



 国王はそう唸って黙り込んだ。




 オルコット公爵の意向を無視して進められる話ではないのに、国王は我が子可愛さにすっかりその事が抜けていたらしい。



 レイモンドは心の中で大きなため息を吐いた。





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