プロローグ
2月22日『ニャンニャンニャン』、です!
「シャーロット。貴様との婚約を破棄する!!」
「……!」
───王宮の大広間。
王家主催の盛大な建国記念日のパーティー。王国中の貴族が集まっているのかと思う程の人々の前で、それは起こった。
貴族達は突然目の前で起こったこの国の王子エドワルドとその婚約者である公爵令嬢シャーロットの婚約破棄の騒動に釘付けになった。
エドワルドの隣では、シャーロットの義妹ミシェルがほくそ笑む。
「理由はシャーロット、お前が妹ミシェルを虐め……って、おぉいッ!?」
エドワルド王子が悦に入り話の続きを語る最中に……、いや、むしろ『婚約破棄』と聞いてすぐにシャーロットは扉に向かって走り出していた。
「……な! おい待てッ、ちゃんと話を聞けシャーロット! ……ここからが私の見せ場だというのに……、おい! シャーロット! このまま逃げればお前の罪を認めた事になるぞ!!」
……しかしエドワルドの声などもうシャーロットは聞いちゃあいなかった。
いや、それどころではない。早くしないと間に合わない。
ふんわりとしたドレスの裾を持ち、シャーロットは精一杯走る。……ああ、このヒールは本当に走りにくい。脱いでしまいたいがそんな時間も惜しいし、何より令嬢が人前で靴を脱ぐなど恥ずべき行為。
既に人前で全速力で走る事自体が『令嬢として恥ずべき行為』ではあるのだが、今はそんな事は言っていられない。とにかく時間がない。今は何よりスピード重視なのだ。
「ちっ! シャーロットを捕まえろ! あの女は罪を認めたのだ! 既に犯罪者だと考えよ!」
いったい何の罪だと呆れる人々には気付かず、王子は近くに控える衛兵達にまるで止まる様子のないシャーロットを捕えるよう命じた。
王子の婚約者でありこの国の筆頭公爵家の令嬢でもある女性を捕えろという命令に衛兵達は戸惑いつつも仕方なく動き出した。
しかしそれに気付いたシャーロットは広間の出口から出る事を諦めすぐ近くのベランダへと飛び出した。
それを衛兵達は慌てて追いかけたが……。
「! ご令嬢……っ!」
シャーロットは、そのベランダから身を投げた。
「キャ───ッ」
「なんという事だ! 公爵令嬢がベランダから落ちた!」
「早くお助けしろ!」
貴族達はこの余りの出来事に叫びと怒号の阿鼻叫喚、貴婦人達は青ざめ失神し会場内は大騒ぎとなった。そして衛兵や紳士達はベランダや階下に向かった。
「ご令嬢はどこだッ!?」
「この辺りのはずだ! 探せ! ……ん?」
「いらしたのか!?」
ガサッ……「ニャアォ……」
「……なんだ、猫か……!」
「おい、もっとちゃんと探せ! あの高さから落ちたなら怪我をされているはずだ……」
───しかし人々がどんなに探しても、シャーロットは見つからなかった。
お読みいただきありがとうございます!
…はい、おそらくご想像通りかと…




