結婚披露宴
同じ球団の若手選手たちのために、主力選手たちが動く。二軍の寮に、こんな貼り紙をした。
――結婚披露宴の費用、半額を負担します。
いくらプロ野球選手とはいえ、若手選手の多くは、懐事情が厳しい。
そんな中、先輩たちからのサプライズだ。披露宴の費用、その半額を負担してくれるなんて、これは嬉しい。
今年のシーズンオフに結婚披露宴をしよう、そう思っていた若手選手たちは喜んだ。
それぞれの相手にすぐさま許可を求める。
「日時と場所を、自分たちで決めることはできないけど、それでもいいかな?」
と尋ねた。
そして、シーズンオフになった。
今日は十二月の大安吉日だ。
この日、五組の結婚披露宴が行われる。すべて同じホテルだ。これから五組連続である。
ホテルのロビーでは、主力選手たちがニコニコしていた。
去年や一昨年は大変だった。若手選手たちの結婚披露宴への出席で、シーズンオフの大安吉日がほぼ潰れてしまったのだ。
で、ある結婚披露宴のあとに、主力選手の一人がぼやいた。
「全員が同じ日に同じ場所で、結婚披露宴をしてくれたら、ものすごく楽なのに」
「それだ!」
他の主力選手たちも賛同した。
全員が思い浮かべる。
――もしも若手選手たちが同じ日に同じ場所で、結婚披露宴をしてくれたら・・・・・・。
「その日は大変かもしれないが、たった一日で済むぞ!」
そんなわけで、今年は動いた。あの貼り紙である。
五組の結婚披露宴、その費用の半分を負担したので、そこそこの出費になった。
が、シーズンオフの自由な時間がかなり増えることを考えれば、それほど高いとは思わない。
ここまで楽ちんだとわかった以上、
「来年も同じ手でいこう!」
あの貼り紙、美談のように見えて実は、そんな理由があったのだ。
しかし、理由はどうあれ、
「先輩方、本当にありがとうございます。来シーズンは一軍で活躍できるようにがんばります」
若手選手たちは感謝していた。
そして、翌年のシーズンオフ。
主力選手たちは青ざめていた。
今年はなんと、二〇組である。
「これ、結婚詐欺とか混ざっていないか?」
主力選手の一人がぼやいた。
次回は「記念試合」のお話です。




