台風情報を見ながら
台風の時には家の中で、こんな練習をしている。
まず、テレビをつけて、チャンネルを台風情報に合わせるのだ。
現場からの中継では、ものすごい勢いの風が吹いている。
その映像を見ながら、素振りをする俺。ふんっ、ふんっ、ふんっ!
強い風に負けることなくバットをふる、そんなイメージのトレーニングだ。この練習で力強いスイングを身につけてやる。
テレビの前で真剣にバットをふっていると、
「何それ、台風を消すおまじない?」
家族がニヤニヤしながら言ってくる。
外野の声を無視して、バットをふり続ける俺。
すると、すぐ近所で「ガッシャーン」と、窓ガラスの割れる音がした。
家族の視線が一斉に集まってくる。いや、俺じゃないです。バットはふっているけれど、別にボールを打っているわけじゃないので。まったくの偶然だ。
俺は気を取り直して、素振りを再開する。
その直後だ。またしても近所で「ガッシャーン」と音がした。さっきよりも近い。
もちろん、俺のせいではない。外は暴風域だ。たぶん道ばたの何かが飛んでいって、窓ガラスに激突したのだろう。
にもかかわらず、今の音に対して、
「まだまだ飛距離が足りんね。瞬間最大風速で補整されているんだから、もっと飛ばそう!」
無茶苦茶なことを、家族が言ってくる。
こんなことが続いたのでは集中できない。俺は素振りをあきらめた。
早く台風が過ぎ去ってくれればいいのに。
そうすれば、外で練習できるのにな。
次回は「チアリーディング」のお話です。




