異次元からの声
こんばんは。
ペースが落ちていますけど、書きたいこと
書きたお時間に書いています。
営利なし!
気ままに続けています。
お付き合い、感謝します。
※
この世界にいる時間は短い。
一刻の猶予もないからこそ、よりあざやかに見える世界もあるのだと納得した。
一瞬が、ーーこの1秒が、自分ができることができる唯一の時間だ。
『兄様! サナレス兄様、戻ってよ!!』
彼女が呼んでいる。自分の魂はすぐにでも元いた世界に戻ろうとして落ち着かないけれど、橙子との約束を守らなければならないと、サナレスは思っていた。
一方、異世界で目覚めないサナレスを呼び続けているリンフィーナは、不安に胸がはち切れそうだった。
「冥府からアセスは戻ってくれた。だから冥府に行っても戻れるって前例があるってこと。戻れないなんて、絶対ないよね?」
「そのはずです」
彼女の側にいる漆黒の髪とその瞳の青年は、疲労と眠気で崩れ落ちそうになる彼女の体を支えていた。
「サナレスは帰られるはずです。リンフィーナ、少し休みましょう」
心労で泣き疲れ、意識を失う他、リンフィーナはサナレスの意識にしがみついていた。
戻らないサナレスは糸の切れた風船だ。
サナレスに関しては常にそういうリスクがある人だと認識している。妹として親密な関係だった時でさえ、サナレスは普通とは違うのだ。掴み切れない殿上人だと思う。
リンフィーナが唯一自信を持ってサナレスの性質を語れるとすれば、サナレスは知的好奇心が旺盛で、未知であることに関して何かしら強く心惹かれるらしい。サナレスは、見たこともないものに強烈に惹かれてしまうところがあった。
だから冥府に行って、異世界に転生までしてしまったらしいサナレスの魂を、おそらくはもう随分慣れてしまったこの世(現世界)、つまりサナレスにとっては面倒ごとばかりで、何の真新しさもない、こっちの世界に戻ってくれるだろうかという焦りがあった。
でも信じている。
サナレスはこちらに戻ると言った。
思えばずっと、リンフィーナはサナレスの言葉を信じていた。
それなのに叫んでしまう。
気持ちのまま、名前を呼んでしまっている自分が、情けない。
「サナレスが今、ここに戻らないなら。それ相当の理由があるということです」
アセスの方がよほどサナレスを理解していて、リンフィーナは情けなくて苦しくなる。
嗚咽を漏らしながら、感情を抑えようとしたら全身が震えてしまい、アセスはただ背中を撫でてくれていた。
偽りの神々シリーズ紹介
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」
「異世界で勝ち組になる取説」
シリーズの8作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
異世界未来ストーリー
「十G都市」ーレシピが全てー




