表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/50

入れ替われば、国際ライセンスとって運転も可能

こんばんは。

更新頻度は減っていますが、これ至高の楽しみの活動なので。死ぬまで続けます。

もう更新なくなったら、死んだと思ってください。


これ、こんな感じで書いている人、死んだときの連絡やっぱりしたいと思いますが、このあたりの制度ってどうなんだろ??

(あ、まだそこまで死ぬ確率高い年齢ではないです。サナレスの世界を確認したいから100歳くらいまで、頑張りたい)


お付き合いよろしくお願いします。

         ※


 パリの安全な地区で個室を取ったら、確かに高額だったので、橙子が眉根を寄せる意味がわかった。

『じゃあ、これ使えばいい』

 サナレスは橙子のスーツケースの中から、日本円の札束を取り出した。

 橙子が驚愕したのは言うまでもない。


「サナレス!! あなたーー!」

『君が受け取らなかった手切れ金、ガネーシャに回収してもらった』

「それにしても多いでしょ!?」

『君に見つかるといけないと思って、ガネーシャに投資させて3倍にしておいた』

「はぁ!?」

 橙子は面食らっていた。


『ちょっと使ったけどね。金なんてあって困らないだろ?』

「そんなーー!」

『これで完全に君は、あの男と手切れたんだ』

 サナレスは自分が下した決断を、橙子に対して発言した。その声がかなり低く重くなってしまったとしても、橙子には知らせたかった。生まれてくる子供の将来を考えたとしても、2人の関係は良くないと判断していた。


 非難されるとは思ったけれど、橙子は予想外の反応をしてきた。

「よかった!! 私も手切れ金受け取らなかったこと、ちょっと後悔してた」

 橙子の素直な笑顔を見てサナレスも破顔した。

『ガネーシャ使って学力だけのくそ男からは取れるだけ取ったし、それを今まで運用しておいたよ』

「運用ってーー。時間短い……」

『日本では安く仕入れられて、ミャンマーでは高く売れる商品があるから、それ輸入したら小遣い稼げるよって、ガネーシャ商会に教えておいた。神様が投資先なんて渡航費浮くし、神様も儲かるし、一石二鳥だろ?』


 パリの宿屋の小さな一室、6畳もないスペースで、サナレスはお飾りとばかりに置かれている椅子に腰を下ろした。

 この頃はすぐに橙子の身体から抜け出してしまう。そして橙子自身をつかの間操ることも容易になっている。


 ガネーシャは「わいと出会ったことで神化が進んだ」とかふざけたことを言っていた。


「サナレスーーあなたって……、ほんと今日みた彫刻みたい。ううん、それよりも黄金比率よね。イスや机が小さく見える……。よく私の中に入ってたもんよ」

 橙子は大の字でシングルベットに横になりながら、感心したようにこっちをみてくる。


 サナレスがこっそり増やした資金もベットの上に載せたのだが、橙子はサナレスを凝視していた。


『私が居た国は軍があって、私は王族に使える軍隊長だったからな。そりゃ身体も鍛えてきたよ』

 まともに応えてみたものの、橙子は違う角度で自分をみている。

 そして一言彼女が口にしたのは、サナレスの首の角度を地面に急降下させた。


「なんか、同じ人間じゃないよね」

 橙子の率直さは、サナレスを悩ませる。

「三次元キャラだは、ううん。三次元とか俳優レベルじゃないから、アニメの二次元キャラみたい。早くにサナレスをホストにしたら、私がホステスするより、もっと儲かったでしょ? 早く姿見せなさいよ」

 ーー。

 なんの八つ当たりか分からないが、枕を投げつけられた。


『ーーそもそも。君にしか見えないから商売にならないよ』

「そうなの!? 勿体無い」

 橙子にかかったら、自分は動物園のパンダみたいなものなのだろうと苦笑する。


『パンダより稼いだからいいだろ?』

「もっと前から稼げたよね?」

 橙子の守銭奴ぶりを忘れていた。恨みがましい視線は、彼女が一人暮らしを始めて、どれだけお金に執着してきたかを知っていたので、背筋がゾッとした。


 橙子はブツブツ何か金勘定を口にしていたのだけれど、サナレスがベット脇に乗せた現金に納得して、これ以上何も言わなかった。


 心底、橙子の性格を予測して、彼女の資産を増やしておいてよかったと、サナレスは自分の過去の行動を賞賛した。


『あとさ、ガネーシャに国際ライセンスも用意させたんで、明日はレンタカーで地方に行けるよ。橙子が鉄道ってのならそれでもいいけど、レンタカーするってのも楽でいいよね?』

 電車と車、どっちがお腹の子によくないのか、サナレスには分からなかったので、橙子に選択肢を委ねてみた。


 橙子はポンと手を打った。

「じゃあ国鉄じゃなく車がいいかな。正直アンボワーズについてから、タクシーとか拾えない可能性あるし、歩いて10キロから30キロ歩く計画だったから」

 サナレスは彼女の計画の甘さに、彼女らしいと項垂れた。

『ではレンタカー予約できる、ここから一番近いところも調べてある』

「なんかサナレスって執事みたい」


『なんとでも……』


 本心でサナレスは応えていた。

 便利に使われようが何だろうが、橙子の人生にサナレスは関わってしまった。例え1秒先に橙子と別れたとしても、橙子が生命を終えるまで、サナレスは彼女に幸せでいてほしいと思ってしまったのだ。


 それは彼女が背を向けた親兄弟、親族についても、100年以上を生きたサナレスには、尊いものに思えてしまった。彼女を取り巻く、彼女を心配する生き霊というのか、それはサナレスの行動を左右している。そして橙子自身の、頼りなくも大人になろうとして無理を重ね、ーーそれでいて幼子のように頼りない魂を見放せない。


『リン……』

 同じような幼い魂、妹として育てた彼女の名前を呼んでしまいそうになった。


 そうすると橙子は微笑んだ。

 悲しそうだった。泣きそうなへの字口の口角を無理やり上げて、こちらを見ていた。


 別れが近づいていた。

 それはサナレスも橙子も自覚していた。


「せっかくだから、最新の車借りよう!」

『ああ』

「車に名前つけてさ、モンサンミッシェルまで行く?」

『いいね』

 サナレスは応えた。


 もう時間はない。

 橙子が落ち着いた地で出産するまで、サナレスはこの世に滞在したかった。けれどサナレスが本来いるべき世界は、もう悠長な時間がない。


 夜毎現れる、リンフィーナとアセスの胸像は、単にサナレスの安否だけを案ずるものでない様子だった。

 この世で橙子のことが気になるのと、自分が生きるべき世界が気になるのと、魂が二分割されそうになり、このところサナレスは眠れずにいた。常に何かを考えている、日中もその状態だったので、簡単に橙子と入れ替わることができていた。


 橙子が運転し始めれば、私が意識を入れ替わろう。

 サナレスは次の日一日の予定を頭に入れた。


偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「異世界で勝ち組になる取説」

シリーズの8作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ