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あらためまして、自己紹介

こんばんは。

楽しく書いています。


明後日からは投稿できるの?

海外から、このサイト投稿できるの!??!

それは疑問です。


        ※


 行動力という強さを神の力で与えても、燈子には何の変化も起こらなかった。

 ただ彼女は、地方の進学先を選ぶと考えていた選択肢を、日本国内に広げていた。


「女の一人暮らしなんて危ないんやないの?」

 親戚が彼女を心配した。


 厳格な父は「お前のやりたいことは和歌山にないってことやな」と勝手に決めてしまったし、母は燈子の決断に右往左往している。

「……うん!! 他府県に進学する人多いもんね。燈子だって、自由に選びたいよね。お母さんも応援するよ」


 燈子の家族全員が、燈子はもう和歌山にとうぶん帰らないものだと考えて、別れを大袈裟に演出しているらしかった。


 田舎者が都会に出るという一連の儀式みたいなものを目の当たりにして、私は吐息をついていた。

 同じ言葉を話す、同じ国の中を行き来するのに、どうしてそれほどの社交辞令じみた別れが必要なのかと笑えてくる。何だかあっちの世界での貴族の仰々しさすら感じてしまう。


 日本という国はかなり治安のいい国なのに、物々しい。


『この国の国民はかなり過保護なんだな……』

 消極的な燈子を常日頃見ていてもそう感じたので、私は治安が安定すればするほど、国民は弱くなるのかもしれないと、妙に納得してしまっていた。

 

 周りの儀式的なものとは別に、燈子はただ逃げたかっただけだ。


 誰も気づかない。

 小さな家に家族として住んでいる母親ですら、燈子の気持ちに気が付いていなかった。


 いじめってのはエスカレートしていた。

 燈子が反抗しないからだ。


『いい加減に抵抗しろ! 今日のは行き過ぎだ』


 私はずっと燈子に語りかけていた。

 橙子のいつもの格好は、制服に黒いパーカーというありふれた格好だったけれど、この日の燈子はパーカーを目深に被って俯いていた。


 燈子の家は決して裕福ではなかった。ただ田舎の気やすさで、家の中にその家が暮らしていくためのお金を、母が管理する引き出しにしまっていた。


 燈子をいじめていたのは、同年代の三年生だけではなかった。そいつらが率いる1、2年生も燈子をいじめるグループに所属していて、10名程度の女子と、それらの男に絡まれていた。


「お金必要だって言わなかった?」

 同級生の女はそう言って、燈子の頬を張った。その瞬間、私は神の力で燈子を

取り巻くこいつらを何とかしてやりたいと思ってしまったくらいだ。


 でも。

 その時、初めて彼女の声が聞こえた。


『もうすぐ、この街を出ていく。だからーー、なんてない。私はあいつらの言いなりにならない』

 なんてないはずはなかった。

 何の力もない少女が、大勢に取り囲まれて、威圧感を感じないはずはないし、振り上げられる拳に、怯えないはずはなかった。


 現に私は知っていた。

 燈子が母親が一月の家計に充てる現金を置いている引き出しの前で、少しだけ考えてしまっていたが、良心に従って手をつけなかったこと。そして今日丸腰で殴られてしまっていることを、ーー知っていたのだ。


『お前は頑張った。だから私に助けを求めよ!』


『あなた、バカなの? 逃げるが勝ちって言葉知らない?』


 それが初めて、燈子と会話を交わした瞬間だった。


 ボコボコに殴られた顔を黒いフードで隠して、血で滲んだ口元を引き結びながら、自室に引き篭もる彼女は、不器用に強くて、ーー魅力的だった。


『そうだよな。……人は死ぬくらいなら逃げたっていいんだ』

 物理的に、いじめという現実がさらに悪化して殺されるくらいなら、ーーそれに家族が信じているしっかりした燈子が作り出した像があり、そんな彼女を未来永劫殺すくらいなら、嘘も方便なんだろう。


『おまえ……私の言葉、っていうか私の存在、ずっと前から気がついていたんだな?』

 そしてガン無視してきたようだ。


『ええ』

 燈子ははっきりと答えてきた。

『必要ありますか? 自分の中で変な声が聞こえていて、それに応える意味って何ですか?』

『応えるくらい普通しない? というか驚いて反応ぐらいするだろう?』

『反応したら、余計にうるさくなりそうだったので。事実、かなりうるさくなったし……』

 私は黙った。


 彼女の主張はそもそも正しい。

 私が彼女であれば、合理性だけでそう考えて、彼女のように振る舞っていたかもしれないと理解したので、納得してしまう。


『だがーー。私がいて、その声が聞こえるという現象は、現実だ。無視し続けたところで、何も変わらない』

『ですね。あなた名前は?』

『サナレス』

 燈子は私の名前を認識したようで、『ではこれからは、少しだけ貴方に話しかけます』と宣言した。


偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「異世界で勝組になる取説」

シリーズの9作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

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