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神様でも実体化する努力をしよう

こんばんは。

本日も楽しみで続きを書いています。

お付き合いいただいているかた、長編シリーズです。

書きたいように書いているので、読んで頂けるだけで感謝。感想、反応、感謝が複利で膨れ上がります。

         ※


「ちょっと!! 気持ち悪いのよ。サナレスのことは幼少期から受け入れているけど、何で姿形もない人の声が、私の頭の中に聞こえてくるのよ!!」

 橙子は精霊とか、この世界の理とは違う世界のモノの声に慣れていなかった。


『落ち着いて。ちょっと取り憑いてきただけだ』

「取り憑いたって何!? 私何かに憑依されたってこと??」

 そういった後、パニック状態になった橙子は本音をポロッと口にした。


「自分の人格の中に、サナレスがいるだけでも、本当に変人なのかもとか、狂っちゃったのかもって自答自問してきたんだよ。もう1人いたら、人格障害確定なんだってば!」

『だから落ち着いて。君は病気じゃない。私は確かにここにいるしーー』

 橙子は周囲を見渡しながら、首を振ってうずくまってしまった。ここまで自分が彼女を追い詰めてきたのだろうかと思うと、サナレスはかける言葉が見つからない。


 少し狼狽えるサナレスに対して、どこからともなく現れた声の主は、声高々に笑っていた。

『うっわぁぁ。お姉ちゃん、小さいなぁ』

 その言葉に共感する部分はあっても、サナレスは渋面になった。


『目に見えないものが信じられないんやったら、見えるようにしたるわ。そこの神もどきの兄ちゃんも、もっと姉ちゃんに信じられる形に、姿を現してやったらええやん』

 すごい関西弁だった。

 出身地和歌山である橙子にとっては、ずいぶん懐かしい方言だ。


 橙子は顔を上げた。

 方言。そんな言葉と共に、橙子の前には、赤毛の、腹の突き出た小さな男が短い足を組んで座っていた。


『わいは、インド周辺の神やで。人間からはガネーシャとか呼ばれとるけどな、元々はアキって名前やねん』

「こわっ! やっぱり日本の名前とか持ってるし、私の妄想、ついにここまで進んじゃったってことだよね……」

 病院に行くべきかもしれないと、橙子は自分の正気を疑ってはいたが、サナレスは橙子がおかしいわけではないと状況判断していた。


『ほら、あんさんも姿、見せときや。姉さん、怖がるやろ』

『怖がられているのは、お前だよ、おっさん』

 サナレスは素直に突っ込んだ。


『なんでわいが怖がられてると思うんや? あんさんの方が、神のくせに姿現わさんなんて、不審者やわ。神っちゅうのはやな、象徴なんやで。もっと派手に姿現して、その神々しさを見せんとあかん。兄ちゃん、地味すぎるわ』

 そこまで言われると、サナレスも橙子の前に実体化したいと思ってしまった。だって自分は橙子の体の中に転生して、一つの体に二つの魂として、長らく共存してきたのだ。

 ちゃんと理由があったので、他国の神に不信がられる所以はない。


『やってみよう』

 成せばなる。


「嘘でしょ? サナレス!? あなたに会えるの!!?」

 これ絶対夢だわ、と橙子は歓喜しながらも呟いている。


 橙子に姿を晒す(さらす)必要はないと思っていた。

 だって以前の肉体、つまりこの世界に転生する前の姿など、この世界で晒してどうなるのかと思っていた。

 ーーでも。

 不審者扱いは耐えられない。


『橙子』

 サナレスは、橙子の身体を抜け出した。

 意識を集中すれば、インドの神様だっけ?

 ガネーシャとか、アキとか言われているおっさん並みに、姿を見せることくらいはできた。

 成功だ。


『あんさん、腹立つわぁー。めっちゃ男前やな』

『それはどうも。あなたは太りすぎだし、老けすぎです』

『あんさんなぁ! ちょっとひどない? わいはあんさんより、もっともっと長いこと生きてる神やで。多少体型崩れても、仕方ないやろ?』

『老化って、仕方ないって思ったところから、つまり甘んじたところから崩れ始めるんですけど、ずいぶんーー怠慢ですね』


 インドの神である存在と言い合いながらも、サナレスは橙子を気にかけていた。

 みっともなく、開いた口が塞がらないらしく、橙子はじっとこっちを睨んでいた。


 そして、おもむろに橙子は言った。

「サナレス! あなた男だったのね!?」

 そこから?

 そうですが、ーー今気づいたんですね……。

 サナレスはガックリと項垂れた。

偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「異世界で勝ち組になる取説」

シリーズの8作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

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