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魚の骨は引っかかる

こんばんは。

楽しみで書いています。

とても長編です。


最近の異世界転生、全然ねらってない退屈な作品かもしれません。

でも反応は励みになります。

          ※


『サナレス! すごいよやっぱ!! 国内線と違って国際線の飛行機、ほんとおっきい!!』

 橙子はすっかり心の中で自分と会話するのがクセになっている。一身二魂なので、ほとんど二重人格レベルだ。


『おい橙子、私に念で話しかけるより、今隣にいるおっさんとちゃんと、口で会話しな』

『いいじゃない、独り言みたいなもんなんだから!』

 悪くはないけど、不自然すぎた。


『倹約家のおまえがさ、着飾ってまで旅行に来たのって、そのおっさんのためだろう?』

『おっさん、言うな。先生はすごい人なんだって』

 確かに彼の記憶した脳は、悪くはないさ。それからサナレスの実年齢でいえば、おっさんといえど、50年も生きていない。


 でも社会学者って、これまでの長い歴史を理解して、今後の未来をほんの少し切り開くだけの存在だ。しかも、まじてほんの少ししか社会を変えることしかできない。


 悲しいかな。

『人間って寿命が短いから、さほとの研究もできない。彼らはすぐ死ぬ』

 だから大した発見なんてできないんだよ。


 でも何処かで、それくらいがちょうどいい寿命かもしれないと、サナレスは思っていた。

『人の彼氏をおっさん扱いした後、すぐ死ぬとか言うデリカシーのなさ、さすがだわ』

『おまえもそのうちすぐ死ぬんだから、互いにそれでちょうどいい』


 好きな人と同じぐらい生きて、一緒の時期に死ねるのが、たぶんこの世の中の最上の幸せだと思う。

 そんなことを思う自分はずいぶん人間的になった、とサナレスは思った。


『サナレス、なんか食事が出てくるみたい!』

 トレーに乗せられて配膳される食事の何が珍しいのかはわからなかった。ただ飛行している間も腐らない方法や、保温できる設備というのが、飛行機には設置されているらしい。

『どんな仕組みだろ? 見てくるか?』

『そうじゃないでしょ!』

 橙子は吐息をついた。


「お、食事か」

 飛行機に乗るなり目を閉じて眠りについていたおっさん教授が目を覚ました。


「魚と肉どちらにします? 魚はライスで、肉はパスタになります」

 キャビンアテンダントが配膳しながら聞いてきた。

「どっちにする?」

 おっさんが橙子に聞いた。

「教授は?」

「僕は魚かな」

「じゃあ私は肉にする」


 そうしてくれ。

 サナレスは思った。


『サナレス、あなた魚嫌いとか、島国の日本にそもそも嗜好が合ってないんだけど』

『嫌いーーてわけじゃないさ。どちらにしても、橙子は両方見てみたかったんだろう?』

『そうだけど』

 飛行機の中は狭い。

 でも一つの身体に2つの人格でいる自分達は、いつも密着していた。おっさんが聞こえない心の会話をずっと続けている。


「橙子はほんと肉が好きだな」

 おっさんが起きてくると、橙子はおっさんとサナレス、2人と会話する器用さで話す。

「あはは……。肉の方が骨少ないし、食べやすいから』


「機内食の魚なんて、基本食べにくいのは出ないよ。アルコールは?」

「え? そんなのも飲めるの!?」

「だいたい、なんでもある」


 橙子は嬉しそうだった。

『どうする? サナレス、全部無料だって!』

『じゃぁ、銘柄指定しとけば?』


「ワインの銘柄、指定できるのかな?」

「ーーそれは、無理だな」

 おっさんは肩をすくめた。


『無理だってさ』

『説明しなくとも橙子が聞いていることは、私も聞いているからわかっている。銘柄指定できないなら、水でもワインでもなんでも同じだ』

 サナレスの吐息と同時に、橙子は肩をすくめた。


「じゃぁジュースにする」

「そう? 僕はビールを貰おうかな」

 キャビンアテンダントは、うっすらと笑って、飲み物を提供していた。


『何よサナレス。そんなにCAさんをじっと見ないで!』

 橙子に指摘された。

 けれど作り上げられたCAの薄笑いが、どうにもこうにもアセスを思い出させ、サナレスはキャビンアテンダントを見つめてしまった。


『何? 好みのタイプってわけ?』

『いや見事だなって』

『何よ、スタイル?』

『いや、見事な作り笑いだ。職業が人を育てるってのを、私は今実感している』

 橙子はわけがわからないとサナレストの会話を終わらせ、おっさんとイチャイチャしながら食事をしていた。


 勝手にしてくれ。

 サナレスは思った。

偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「異世界で勝ち組になる取説」

シリーズの8作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

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