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多分、ストレスは悪いものではない

こんばんは。

書くことが好きな人間が、ひたすら書いているファンタジーです。

お付き合いいただいている方、ありがとうございます。

シリーズものです。それなのにまだ、シリーズに連結する作業すらしていないズボラさんで、それなのに書いています。シリーズは後書きにコピペしています。

         ※


 美味しいと思う食事を味わえば、そのレシピは調理場を預かる調理人にとって宝となる。だから作り方を書き記して重宝してきた世界から、サナレスはここに来た。


 この世界も、外食という文化が盛んで、美味いものを作るシェフは評価され、彼らが作ったものは高額の金銭を支払われている仕組みを理解していた。


 だが食事のレシピは、美食家と言われる舌と、多くの調味料の効果を知っていれば再現できる。サナレスはそれを知っていた。


 顎やえらの張った人種は低俗だ。

 この世界でも若干、そういった風潮は感じられた。


 人類の見た目では西洋人の大半が美しいと評価され、顔が大きく、えらが張った顔立ちが多い東洋人は、およそ美しいとは言われないようだ。


 貴族の間では、手間をかけた食事が高級とされた。

 そして貴族は、顎という噛み砕く力を早くに失い、美食文化を気づいた類いに属していた。だから貴族は、見栄えがいい柔らかいものに感動したのだろう。


 手っ取り早く、噛まずにカロリーを摂取で切ればいい。

 この話を日本で説明すると、「お年寄り向けの流動食だね」と橙子は言った。


 違う……。

 これは文化だった。


 橙子が住む世界で見れば、フランスがその代表だ。咀嚼する煩わしさを考え、高級な食事はペースト状で味付けされている。

 この考え方に大きく共感しているサナレスは、料理の仕方で咀嚼そしゃく時間は短縮することができるし、必要な栄養素を得ることができると信じていた。


 さらにフランス料理は、味とバランスも良かったので、定期的にこれを食べたいと考えた。


「サナレスーー?」

 橙子が起きてくる時間になり、サナレスは用意した朝ごはんを彼女に出した。


「え? あなたのことだから……」

『期待を裏切って申し訳ないが、私は貴方と共有する身体にどうやったら効率的に栄養を供給できるかを考えた結論、朝ごはんはこれなんですよ』

「で、オートミール?」

『ですね。貴方の体を借りる時間にも限りがありますし、夕食のことも考えた結果、朝食は効率よく栄養を摂取できれば、それでいいかと思ったんです」

「そっか」


 橙子があっさり納得してくれたので、サナレスは胸を撫で下ろした。


 本心を言えば、もっとちゃんとした食事を用意したかった。

 ーーけれどやはり、意気込みとは裏腹に、サナレスは橙子の体をうまく動かすことはできなかったのだ。


 そんなこともあろうかと、買い物でオートミールと牛乳を橙子に買うように指示していた。そこにドライフルーツをぶち込めば、それだけで栄養素だけは足りている。


「いいわよ。これなら洗い物も少ないしね」

 橙子は満足しているようだった。


 だがサナレスは橙子に笑顔を向けながら、内心では舌打ちしていた。

 どうあっても、この世で体を動かすことはできないという無力さは、サナレスにとってストレスだった。


 ハンス・セリエ。

 この世界でスリレス学説を唱えた学者によれば、ストレスを抱えることは決して悪いことではない。Wikipediaによると彼は、ストレスを「外部環境からの刺激によって起こる歪みに対する非特異的反応」と考え、ストレッサーを「ストレスを引き起こす外部環境からの刺激」と定義した。


 アルス大陸暦では、ストレスという言葉自体がなかったので、サナレスとしては「解決できない課題の悩みによる不調」と考えていたが、それも橙子が生存する世界では学問にまでなり、全面的には否定されていない。


 確かに。

 サナレスはずっと王族としての不調和や、総帥ジウスとの親子関係内の反発を、ストレスと感じてきた。だからこそ頭を使い、アルス大陸に科学を取り入れていったのだ。

 理論上、悪い側面だけではないことは知っていた。


 それでも、サナレスはまだ最適解を見出せていない。異世界転生して、体の主人にもなれないまま半端な状態でこの世を生きている。このストレスをどう活かしていけばいいのか、これから探さなければならなかった。

偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「異世界で勝ち組になる取説」

シリーズの8作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

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