分離する魂
こんばんは。
今日は今から勉強でして、少し不規則ですが、その前に全てすまして小説を書きました。
でももっと書いていたい!!
中断、って感じです。
※
一重瞼の橙子は、中肉中背だが化粧栄えして、私が夕刻どういうわけか気絶してしまう頃、鏡の前で身をやつしていると別人に変貌している。
『大丈夫なのか?』
「何が?」
『客の中にも、節操のない男もいるのでは?』
「平気よ。サナレスの方がおかしいんじゃない? この頃途切れることが多いけど……」
それはサナレスも気になるところだ。
そもそも生まれ損なっていることは感じていた。経験者のアセスの話によると、生まれ変わった身体を自らの身体として使用し、成長することができていたという話だが、サナレスは橙子という別人格と完全同居しており、自分の意思で指の一本ですら動かした経験がない。
生まれ変わったというよりは、間借りしている居候という感じなのだ。
『どうやら夜は意識がない。だから君の心配をしているんだが?』
「サナレスが、私の?」
ふふふ、と橙子が笑った。
「それならとても嬉しいし」
はぁ。
彼女の笑みに、サナレスは吐息をついた。
化粧して見栄えが良くなるということは、余計な虫が群がってくるということだ。
それを心配する義理はないが、義理とか以上の問題ーー、つまりサナレス自身の問題だった。
「おとなしく、大学だけ行っていればいいのにって思ってるのね?」
『そうだ』
「あなた、意外と亭主関白ね」
『亭主ーー??」
言葉の意味は理解していたが、自分がそう言われている状況が腑に落ちなくて、サナレスは引っかかっていた。
「あれ? だってあなた、女の人は守るものだって思い込んでいるようだから」
突然、ボディブローを喰らわされた気になった。
真理だったからだ。それがいけなかったのか?
弱い女性は守りたい。
自らそのように考え、行動してきたことをそもそも疑問視されるとは、思ってもいない。
「やっぱり自覚がないんだね。女は守るものだなんて風習、とても貧しい考え方だわ」
橙子の言葉の攻撃が、徐々に効いてくる。
黙って聞いていたけれど、橙子は仕方がないなと笑った。
「図星ついた? でも私が貴方の存在を感じながら、ずっと貴方を封印して無視してきたのは、そんな貴方だと知っていたからなんだけどなぁ」
!?
徐々に意識がなくなっていくけれど、彼女の言葉が気になりすぎた。
潰れていく感覚の中で、橙子に向かって手を伸ばすが、サナレスはどんどん落ちていった。
シリーズものです。




