プロローグ
次回の投稿から間髪いれず、転生の道を選んだサナレスの話を書いていきます。
主人公が、章によって変動します。
しかも、一人称、三人称が変わります。
書きやすい方で展開しています。
何とぞご容赦ください、
ちなみに描き初めはかなりかたいし、一区切りがとても、とてもーー長いです、
相互いいねとか、相互何とかは一斎していません、
というか、そのようなテクニック持ち合わす年ではないです。
でも反応が励みになるので、感想や評価は木陰に隠れて待っています。
※
生まれ変わる。
それは初めての体験で、かなりワクワクした。
アセスが言っていた。
私にとって、数少ない親友と言っていい男だと思う。
ライバルかもしれない。
そんなアセスは全くの別人格に生まれ変わって、異世界で高校生という身分?
10代半ば過ぎまで生きたと言った。
そして未知の体験をしてきたらしい。
羨ましい(うらやましい)。
本気でそう思ってしまったので、私は冥府から自分の身体がグロテスクに溶けて、違う世界に転生しようろしている間中、とても楽しみに待っていた。
現世に遺恨が残っていなかったのかと言えば嘘になる。
心配しているだろうリンフィーナ、一緒にレテに飛び込んだはずのアセスは、今頃どうしているのだろうか?
異世界において時空軸はゆがむのだということは、アセスの体験からわかってしまった。
別人格として数十年生きたところで、冥府を介して、リンフィーナのいるところへ再び戻れば一件落着だ。
あまり待たせたくはないので、リンフィーナにとって2、3日後に再会できればベストタイミングだと鷹をくくった。
『そんな簡単な問題ではありません!』
アセスの慌てた顔が目に浮かびそうだったけれど、それが目標だと設定すれば、あとは一直線にゴールを目指すのみだ。どうなるかわからないことに思い悩んでも仕方がない。
その過程で寄り道だ。
楽しもう異世界♪
深く考えたって仕方がないんだったら、後は生まれ変わった別の人生を楽しめばいいじゃないか。
私は割り切りが早かった。
次はどんな人生が待っている?
父親と母親はどんなやつだ?
兄弟はいるのだろうか?
親も選択できない(ガチャ)なら、兄弟もガチャなんだよな。
それ以上に、おそらくは身分なんてない。
私はきっと神の氏族などではない、どんな身分に、どんな人種に生まれ変わるのだろうか?
ワクワクしていた。
すでに過去形。
ワクワクして、ーーいたんだけどなぁ……。
私は身体中が毛虫が這い回るほどの違和感に、寒いぼを立たせた。
「どうしてだよ……!!」
心の声がもれて、音声になってしまった。
「この声さ!」
自分の声に、さらに身震いする。
生まれ変わるとは聞いていたけど、まさか女!?
「こんな華奢な身体でどう生きろって!?」
ほぼ皆無な彼女の筋力では、剣すら持てそうにない。
私は頭を抱えていた。
冷静に自分の身体について分析すると、身長と体重が平凡、そして筋力ゼロ(この時代では筋肉ゼロでも平凡らしい)、知能平凡、見た目平凡。
生まれ変わるってさ。
別人格生きるってさ。
赤子からやり直せるってことじゃないの!?
いきなり、平凡の権化みたいな女子から始まって異世界転生ってなされるのだろうかと、考え込んでしまった。
アセスから聞いていた話とは違う。
確か赤子として物心ついた頃に、アセスの記憶を持ったまま赤子だったので、赤子の振りをするのに苦労したとか言っていたはずだ。
ーー私が転生した先は、女子か!?
しかもこいつ、すでに十数年は生きてきてる。
あっちの世界じゃ十分成人年齢なんだけどなっ……。
中野燈子。
名前の由来は、灯す光になるようにと、灯すの意味を込めて燈子となったらしいんだけど、彼女は何も灯す人ではなかった。
率直に彼女を表現すると、根暗。
日本人という国籍。その国の女子の平均をとったように何の特徴もない。彼女はいつも時間を持て余し、この世界独特のゲームという娯楽に興じたり、落書き程度の絵を描いているに過ぎない人だった。
生まれ変わった時、なぜか今まで中野燈子の生きてきた年数が、時代別にカテゴリ化されてサナレスに伝わってきた。
幼少期、他社と交わるのが嫌で、入園拒否。
スキル、極度の人見知りを発揮する。
学童期、極力目立たないように日陰を歩く。友人はいない。
そして青年期なのだが、本という趣味趣向に囚われて、視力が壊滅的に悪くなって、メガネがなければまともに生活も送れない有様になっている。
異世界転生ってさ。
誰か他人に人生を引き継ぐってことも、あるわけか!?
エラーなのか、これ!!?
この異世界転生はエラー?
アルス大陸の王族に生まれ、時代の総帥と言われ、その才は天賦のものだと賞賛されたサナレス・アルス・ラーディア、その名こそ元の世界の肩書きで、それが重荷として常にのしかかってきていたのに、今は全く違っている。
認識するには多少、私でも時間がかかった。
眉間に人差し指をあて、何度考える人のポーズになって硬直したことか。
だがさすが凡人。
硬直しても、何のアイディアも浮かばずに、ただ時間を無駄に過ごした。
おーい!
以前の世界では考えにふけっていると、叡智の時間にトリップできた。
今はただ、変にかっこつけて、固まっている凡人だ。
いや。
何も生み出さなくとも、この橙子という肉体、考えていてくれていればいいんだけど。
それも違う。
手指が勝手にテレビとかいう映像が映る箱とじっと向き合って、人生の時間を奪う端末に時間の浪費スイッチを押してしまうんだ。
この世界、まあまぁ古かった。
二千年を超える世界だ。
でも何だ?
この映像が映る箱??
時代は昭和だとか、何とか。
人と人はあまり会話しているようで、していない。
テレビとかパソコンとかってものに、かなり傾倒していて、なんかの宗教かって思うぐらい、人は熱心だった。
私は燈子に話しかける。
『あのさぁ。私が生まれてから数ヶ月経つけど、燈子ーー君はいったい何やっるんだ?』
私は燈子が眠っている時にしか、燈子に話しかけられなかった。
でも彼女の人生を知っている。
私にとっては平凡だけど、きっと燈子にとっては平凡じゃない。
『燈子、君を見ていると、……すまないが割とイライラする』
私は夢の中で燈子と交流するだけで、異世界を堪能することすらできなかった。
一つ思う。
この世界には、最初興味を惹かれるモノがいくらでも存在したけれど、それらは全て時間というものを浪費させる罠のようなものだ。
利用できる者は勝ち組。
利用できない者は負け組。
そして燈子は現状、負け組だった。
偽りの神々シリーズ紹介
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」
「歌声がつむぐ選択肢」
シリーズの10作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
異世界未来ストーリー
「十G都市」ーレシピが全てー