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香りを聞く

そのせいなのか、な。


電子香炉で刻み伽羅を焚きながら、空模様を見ている。日が長くなってきた。


本来なら今日は「カスタムカー」の祭典に行くつもりだった。チケットもあるし、目覚ましも掛けていた。だが、目覚ましより朝から「温かくも嫌な予感」で目が覚めた。


基本的に準備が8割と考える合理主義者だと自認しているが、咄嗟の判断と最終的な決断は直感任せな俺は、行くのを止めた。


酷く嫌な予感がした。確かに疫病は怖い。

だからサッと見て帰るつもりだったが、それすら嫌な予感が止まらなかった。


仕方ないのでカスタマイズされたクルマ達の写真などを見ていた。土曜日に行けばよかった。失敗した。


映像からは結構、人がいることがわかる。

今年は芸能人とかの愛車やキャンピングカーまで展示されているようだ。きっと人気なんだろう。過去にあったかな?興味無さすぎて覚えていない。完全に「お祭り」だ。


個人的にはコンセプトカーが見たかった。AE86。「既存車を愛する人を置いていかない」と言われたら、グッときてしまう。


あとはHKSとか無限のも見たかった。まあ、この疫病下でもそこに集まった「ガチ勢」は「最期の1人」になる覚悟がある方々も多いだろう。というか、最期の1人になることを誇る方々な気がしてならない。


俺はテールランプの形のみでメーカーと複数の型式がわかるとか、瞬時に各メーカーのカラーナンバーを当てるとか、そういうレベルではない。「彼ら」と比較すれば真っ当な一般人である。


まあ、俺はそんなに身体が丈夫ではないからよかったのかもしれない。来年は行きたい。


細々したことなどをしながら、ぼんやりと外を眺めている。こうして雨が降ったのは久しぶりな気がする。


伽羅の次はタニ産沈香。香りは気持ちを鎮静化させてくれる。


偽物も多い為、むかし名古屋でお世話になったお店で購入している。白檀も嫌いではないし、香水ベースなら白檀の方が好きなんだが、焚くとなると沈香の方が好きだと思う。


ああ、このまま、デジタル世界とはさようならしたい。散歩に出かけよう。


丁度、雨は止んだようだ。

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