Wolf Moon
『え、じゃあ、おやすみー』
なんと。普通に会話が聞けた。さっきまで、フォローした火山活動家がスペースで会話していた。
声が聞こえる。リスナーは約9万人。
下手な都市の人口より多い。
感覚的に火山活動家は管理者系であるインプレッション。言葉を選ぶし、周りが見ていること、求められていることなどを理解して的確に回答している。
どっかの渉外部とか知財部の役員が感覚的に似ている。にこにこしているし、仕事に真摯で部下どころか新入社員から一介の中途の話ですら聞こうとする方だが、絶対に近い確率で己で線引きしたラインは超えないし、超えさせない。
あー、この人、多分、頑固だ。
ただ、誠実ではありそう。
交渉の場には来るし「win-win」まで頑張ってくれるが、負けてくれる範囲は決まっているタイプ。ちょっと潔癖っぽい口調と相まって、交渉に来られると、負けてくれる範囲が噛み合わないと決裂するし、それを飲むタイプ。交渉相手には、あんまりしたくないな。
対する話し相手は、だいぶ取り繕っている感じがする。猫被り。ファンの方のそうあってほしいというのを、理解していて知らないフリをするタイプ。直感的には恋愛ホスト系。あまり負けそうな勝負はしそうにない。まだ、話し合いの余地は火山活動家より広い感じ。
人様の電話を盗聴してしまった気分である。
なんとなく、冒涜的だ。
今日は新年明けてからの初めての満月。
ウルフムーンというらしい。
「狼が遠吠えする月」
えらく綺麗に月が冷たく輝いている。
狼さんのコミュニケーションを、無関係な「景色」9万人が聞いていた、と。
随分と大迫力な遠吠えか、あまりに狼が美しいのか。
醒めた月を見ながら、好奇心が疼き出した。




