情報過多
明後日から、社会復帰できるのかな。
そんな気がしている。
社会の動きを確認しようとニュースを見る。
画像からして意味不明な情報があった。
どっちが本体かわからない人と対談している着ぐるみきた、歌い手。
情報量が多過ぎるを超えて、もう産業従事者550万人のうちの数%は常識を揺らがされただろう。
俺が「彼ら」を知ったのは、大学一年生。
最初の大学にあった工房。土曜日の昼下がり。
当時一年生は各クラスでボートを作れ、という課題があった。
俺は無関心だった。勝手にやってろ、と思っていた課題。バイト帰りに通りかかった工房前。「彼」は1人で何故か土曜日まで、クラスの課題を進めていた。
「何故、こんな時までしているんだ?」
「あぁ!?そりゃ課題だからだよ」
「クラスの課題であって、終わらなかったら連帯責任だ。君だけが頑張る必要はないだろ?」
「あ!?だからだろうが?」
意味がわからない。
「彼」は俺と同じぐらいの身長だったか。
短髪に金髪。小柄で痩せていたが、口調が完全にローリング族であった。
オタクばっかなクラスの中で、結構浮いていた記憶がある。議論する時はかなりはっきり意志表示をしていたが、決まったことには素直に従っていた。
なんとなく「彼」と会話を続けた。
趣味はバイク。大学に進んだのは機械が好きだから。金髪は染めてはいるが始めから明るい髪色らしい。そんな「彼」が流していた「音楽」。
「何て曲なんだ?」
「あ?知らんのか?「青い心」」
「知らない。好きなのか?」
「ああ。なんか、さ。聴くと元気って、感じじゃねえけど、応援してくれてる気になるつーか」
興が乗ったんだろうか。いくつかの工具の使用方法を教えてくれた。しかし、サンダーを掛けようとしたがうまくいかない。
「もう、お前、危ないから見てろ!!」
結局、最後は取り上げられた。
「彼」は真面目に勉強をして、最終的な席次は一桁だったはず。また、いわゆるハンディキャップがある人との作業についても、垣間見える「嫌な顔」や「面倒」という気持ちを見せなかった。特別扱いもしなかったが、何事もなかったように支援していた。
そんな「彼」が好きだった「彼ら」。
バイク屋や自動車整備工場、カレーが名物な技術研究会社のイメージソングなど比較的、製造業と親和性が高い「彼ら」の歌い手は新年から着ぐるみ。
まあ、とりあえず中身を読む。大変真面目な話をされている。知らないことを知ること、物事の受け止め方など普通に考えさせられる。
そういえば「彼」は、当時かっこいいからと廃材から勝手に鉄製のオールを作って、みんなに呆れられながら、しかもそれを使ったがために船が沈んだんだが、みんなと一緒に笑っていたのを思い出した。
「彼」は案外、勝ち負けとか単位とかを気にしていなかったのかもしれない。楽しかったから、やっていたのかもな。
衝撃的な写真を見ながら、そんな風に思い出した。




