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色褪せたポートレート
知らない街並み。
週に一回、習い事に通っているが、相変わらず慣れない。
人は多いが、なんとなく違う気がする。
ゲームセンターの裏側。暗い通路。
というか、これは駐車場だろ。
通路兼駐車場。これがほんとうの路上駐車か。
日本で見るとは思わなかった。
まだ17時過ぎなのに、もう深夜みたいに暗い。
星空の下、通りすがりの人たち。
街の色は移りにけりな いたずらに
わが身世にふる ありせしままに
思わず、小野小町の嘆きを改変してしまった。
綺麗な夜なのに、どこか寂しい夜。
駅前に住宅街。
不思議な世界。薄暗い街灯が切り取る足早な人々。
住宅のあかりが映し出す真っ暗な道を歩く。
空き地の中の一軒家。習い事の場所に着く。
チャイムを鳴らして、ご訪問。
扉が開く。いつもの先生だ。
明るい。室内の灯りに人の明るさ。
つい、画面ばかりだと忘れてしまいそうになる。
この世界は、俺が思うより明るく、他の人が思うより暗いのだろう。
薄明かりの街。
少しだけ、好きになっている自分がいた。