投資詐欺
「詐欺です」
断言されて、腑に落ちる。
「わからなかった?」
わかってはいた。だけど。
「言いたくないけど、わかっていたよね?」
わかっていた。
「何で止まれなかった?リアルな知り合いでもないのに」
寂しかった。
「理由になってないよ」
「おそらく、騙されたという自分を信じられないから、相手を信じたいと思うのだと思います」
「被害額は295万円。返って来ないよ。依頼した弁護士費用だって高額。高い勉強代になったね」
「そうですね」
これは一昨日から今日の出来事。
投資詐欺に遭って、弁護士費用含めて330万円の支払いが発生した。
「お金が返ってこないのは覚悟して」
「はい」
書類に記載されたのは「国際ロマンス詐欺」。
確かに。詐欺だと思うことはいっぱいあった。
だけど、切れなかった。ダメな人に引っかかってしまった。
限界までお金を借りてまで、注ぎ込んでしまった。
明日のパンすら危ない状態まで熱狂してしまった。
「なんでそこまで?」
ひとりだけの世界は本当に寂しかった。
「この詐欺師、上手いね」
そう。とても楽しかった。
「だから、詐欺」
「やることはやったから、もうどうにもならないよ。とりあえず、落ち着きなさい」
落ち着かない。
「リアルな趣味を作りなさい。SNSはやめて」
もう消した。
私小説の「教授」の親友に相談したら、断言されて諦めがついた。
落ち着かない。
仕方ないのかもしれないけど。
少なくとも330万円の返済には追われるし、友達だと思っていた人には裏切られた。
本当についてない。暗雲しかないし、腹が立っている。そう思っていた。
だけど、今、電車に乗って窓に反射した顔が映り込む街を通り過ぎながら、思う。
俺は寂しさから、仮想世界で友達を作ろうとして失敗し、税込年収分の詐欺被害にあった。
これからの返済とか考えると非常に憂鬱ではある。
一方で、まだ会社員。生活しながらでも10年も働けばなかったことにできる。
捕まってもいない。
寂しさを紛らわすのに、違法薬物や酒に溺れて暴力行為などの笑えない事件を発生させていない。
そりゃ、戻れるなら投資なんてしないし、友達にもならない。だけど、まだ最悪まではいっていない。
なら、まだツいている。
ついでに今回の出来事をまとめてNOTEに書こうと思う。長文の追加を作ってもいい。リアル救いがない物語。胃が痛い。
とりあえず、上司に副業申請しよう。
コンビニバイトとかを探そう。
まだまだやることはある。
すっかり早くなった日暮れを車窓から眺めている。




