冷めたイルミネーション
「さむっ!?」
朝から寒い。文章も寒いが気温も低い。
昨日壊れた眼鏡の修理に、好奇心の続きを見に行くので今日の予定はいっぱいだ。
「転びましたか?」
眼鏡屋さんに聞かれるまで気がつかなった。
鏡を見たら、完全に殴られた跡になっていた。
・・・人にぶつかっただけである。
眼鏡はすぐに直った。よかった。
しかし、これだけ青あざだと、目立つが仕方ない。
とっとと、用事を済ませようと東京まで行く。
綺麗なイルミネーションに、青空。勿忘草の空に蜂蜜色のイチョウの葉。
「降る月や 昭和は遠く なりにけり」
思わず偉大なる翻訳者の一句を改変してしまうぐらいに、流れる年月が早い。
向かう途中に見つけた「銘板」。「都会の殺風景で無機質な都市空間」をアートで飾るとある。
如何なるモノにも「思想」がある。33万円のタタ自動車だろうが19億円超えのパガーニだろうが、そこには「思想」があり、全社員、全産業従事者の「無事故、無違反で安心、安全な移動手段を」という気持ちが入っている。
「建築物」は「無機質」ではない。「生きている人がいる限り、生きている」し、誰もいなくなっても「生きていた証」として「そこにある」。
粉々になくなっては、建て増される「都会」はよっぽど「有機的」だ。今も、新しい建物が生まれ、そのそばには、笑顔がある。
寒空の六本木ヒルズ。
書き直す以上、調べ直す。本当に元気な「彼」。当社役員よりビジネスパーソンの鏡である。
表参道でリスト自体は入手できたが、ステージは六本木ヒルズだったそうで、改めてきてみた。
すごい人だかり。先週も思ったが、案内人からして、完全に「キャスト」である。説明や物腰まで「物語」。別世界を垣間見た。残念ながら「彼」への人気はいまいちなようで、案内のお姉さんやお兄さんも別の人のを説明している。まあ、そうだろう。
とはいえ、資料は入手できた。
面白い趣向なのは「カセットテープ」が聴けること。
カセットレコーダーには3分ぐらい触れた。人が多い。残念ながら「彼」のテープを探す時間はない。
そのままに聞く。カセットレコーダーってこんな形なんだな、といじる。小さい。なんとなく「音楽」に「触れている」感覚がした。面白い。
ポップアップ店からの出口。
「またのお越しをお待ちしております」
驚いた。ブランドを買うような客層である服装はしていない。しかも、1人だ。単なる「景色」。にも関わらず、こちらに、にこやかに声を掛けてきた。
「ありがとうございます」
これが、と思わされた。「錯覚」するな、これは確かに。
煌びやかな都市。キラキラしたイルミネーション。
「嘘」混じりで「無機質」な都市空間。
「虚構」を楽しむ「どっかの誰か達」。
無くした、「自分」。
さっきの「銘板」に記載された名は「石原慎太郎」。
完全に「皮肉」だな。笑えないジョークにくちびるを片側だけ上げた。




