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研修

「先輩がそんな人だとは思わなかった」


この言葉は2つの意味があったと、思い至ったのはLGBTに関する研修における「アウティング」に関する説明だった。


なるほど。確かに「あの子」からすれば、俺を信頼してくれていたから話をしてくれたのか。


いや、崖から落ちたら上司に上げないとダメだろう。事象は話をしたが、実質の相談内容は話していない。書いてもいない。しかし「外観」上は、何を話したかわからない以上、俺は「アウティング」をしてしまったのだろう。


全く思い至らなかった。該当事件から一年後、会社を辞めてから気がついた。これではあまりに遅すぎる。


気が付かなかった、と言い訳は出来るけど、傷つけられた側からしたらたまったものではないだろう。それぐらいはわかる。


考えれば考えるほど、話をするのも、聞くのも怖くなる。研修を受ける中で、情報との接し方はまるで「dance」のようだと感じた。


ドレスコードを理解し、一定のルールに従って、決まった動きをしながら、自己を開示する。所定時間で回答をしなければならない。間違えると大怪我。更に早ければせっかちで、遅ければかったるい。タイミングが必要。


「いい人」になるには、これらに加えて、更にどのように見られているのかを理解してないと最後まで踊りきれない。


少なくとも新型Zは俺には向いていないとわかった。「淑女」へ手を差し伸べる前に「後輩」との接し方ですら「及第点」に至っていない。


研修中にも関わらず、すでにため息が止まらない。その他については「国外では」が入った時点でなんともなー、である。どこであれ、なんであれ、相手を尊重しましょうでおしまいである。


いい人にはなれそうにない。「多様性」を認めようというなら、俺のような「多様性」を理解できない人も許容してほしいと思うのはわがままなんだろうか。「多様性」ってなんだろう?一方的すぎないか?


つらつらと話を聞いている。前の人の鞄にうさぎのキーホルダーが見える。来年はうさぎ年。想起されるは泉鏡花。潔癖症のうさぎコレクター。


師の尾崎紅葉が色鮮やかな世界だとすると、勧善懲悪とか異国人嫌いとか後味悪い小説が多い。個人的に同じ門下なら徳田秋声の方が師に似てると思う。小説の色としてはだいぶ暗いが。


うさぎ、か。

あまり、うさぎとは相性が良くない。泉鏡花の「黒猫」では、最期に黒猫は主人公に殺されてしまう。反抗的だとして。


うさぎコレクターに文章中で殺されるくろねこ。暗喩的だ。年末年始に一生懸命、サンタクロースをしているくろねこやまとさんに謝れと言いたい。


来年はどんな年になるのだろう。

今年よりはマシな世界だといいんだが。


そのためにも、出来るところから直そう。

慌てても、出来ることしかできない。改めて、テキストに向き合った。

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