多様性
歩行者側は赤信号。交差点にばら撒かれる紙袋の中身。風が中身の入った紙袋を吸い込んで、綺麗に空に飛んでいった。
そして巻き散らかされる中身。
交通量も多いし、風も強い。交差点自体も広い。あーあ。中身ぐちゃぐちゃで戻らない。
そんなふうに思っていた。
だけど、周りの人達が急に動き出して、歩行者側青信号の間に荷物は集められた。
見るからにスーツな方から、どう見ても遊び優先な学生にくっちゃべっていた2人組まで、交差点の最前列付近にいた人達は、帽子と洋服が入っていた紙袋まで速やかに集めて、杖をついている老人とその服を着るであろう少年に渡した。
鮮やかすぎて、フラッシュモブかと思った。
たかだか、90秒。しかも全員信号渡りながら本来の持ち主に返していった。
まあ、おじいちゃんは普通に交差点渡りきれなかった。だから、クルマがクラクション鳴らして、とはならなかった。
対向3車線な大通りなのに、この少年と老人が渡り終わるのを待ってから動き始めた。
全体通してカップラーメンも出来上がらない時間で、出来事など何もなかったように進んだ。
空気読むのが、よい方向に進むとこうなるのか。振り返ってみると、笑顔なこの2人。関わった人達がこの2人の笑顔を作ったか、守ったのだろう。別にルールじゃない。だけど、発生した「善意」。
物事は一義的に決まらない、そんな昼下がり。




