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ダリダ村へ

今回はだいぶ短めです。話のキリがここしかなかったのと、諸々の理由で……すみません!


 大騒動ですっかり疲れていたからかその夜はとてもよく眠れて、翌日起きたのは朝日が窓から差し込んでくる頃だった。


「ん……あ――……」


 寝ぼけた体をうーんと伸ばす。元の世界ではベッドだったけれど布団も全然眠れるなぁ。やっぱりダン様の隣は落ち着く……大きないびきも、まるで電車に揺られる音みたいで……。


 ラルドがリビングの方からバタバタと足音を立てて走ってきた。


「ハナメ! 大変だ! 事件だぞ!!」


 え、もしやまた猛吹雪!?

 私は瞬時に窓に張り付く。……いや、吹雪どころか雪一粒も降ってない。

 なるほど。これはミーニャさん直伝の冗談だな?


「ラルド、そういうイタズラはよくないなぁ」


 両腕を組んで凄んでやると案の定、ラルドは舌をペロッと出した。


「てへへ、バレたか。でも、事件は本当!」

「え?」

「ミナトのおかげで超スーパーウルトラ大漁だっ!!」


 ラルドが指さした方には……クーラーボックスに収まりきらずに網ごと揚げられた魚がドッサリ!

 リビングの床を埋め尽くすほどの量だ。


「困ったねぇ、冷蔵庫に入りきらないよ!」


 頭を抱えるミーニャさんはとっても嬉しそう。少しでもかさを減らすために魚をさばいてしまうつもりみたい、まな板の上に3匹、足元に7匹が控えている。


 バーン! と豪快にドアが開いた。

 ダン様だ。


「母ちゃん、追加の追加の追加だ!」

「またかい!? もうさすがに勘弁しとくれよ!」

「ダッハッハ、安心しろ、これで最後だ! あとはミナトに食えるだけ食ってもらうぜ!」


 ベチャッ! と音を立てて揚がったばかりの魚を玄関へ置いたダン様は、私を見てニカッと歯を見せて笑った。


「おう、ハナメ! ようやく起きたか! ありがとよ、おかげで俺史上一番の大漁だ!!」

「いえ、ダン様のお役に立てて何よりです……! ミナトも喜んでいると思います」

「浜で一羽丸飲みパーティしてるぜ、そりゃもう夢中で! 食い過ぎて動けなくなっちゃいけねぇから後で止めに行ってやらないとな」


 いたずらっぽくウインクするダン様、少年のようですさまじくチャーミング……朝から胸キュンですっ♡

 こんなにウインクの似合うドワーフなんて私の脳内友達に一人もいなかった、本当に私この世界に来て良かったなぁ……。


 なんてしみじみ感動に浸っていたら突然ダン様がそうだ! と大声をあげたから、思わず飛び上がってしまった。


「ハナメ! こんだけ魚が獲れたのはおめぇのおかげだ。仲間に自慢するから、今日一緒に市場まで行くぞ!」

「え!?」


 ちょっと待って、さすがに待ってダン様!

 市場って言ったらたくさん人がごった返してて、しかもダン様のお仲間とはみんな初めましてで……いきなり心の準備もせずに挨拶回りなんてしたら私、緊張しすぎて途中で倒れちゃう! 絶対、間違いなく!

 っていうかその前に、確か村までは歩いて3日かかるんじゃなかったっけ!? その体力が私にはないよダン様……!!


 めまいですでに倒れそうな私をよそにラルドも横からわぁっと声をあげ、どんどん話は進んでいく。


「俺も久しぶりに市場行きたい!」

「おう、んじゃ来るか! あいつら喜ぶしな!」

「ハナメ網持てるのか? 貴族のお嬢様だよな?」

「テント背負って旅してんだから当然持てるだろうよ! おっし、そうと決まりゃ市場行きの船に積むぞ! あと20分もすりゃ来るはずだ」

「ハナメ船酔いしないか?」

「船でここまで来たんだろ、大丈夫だ!」


 待ってぇダン様、全部間違ってるぅ……。

 全くついていけてないけれど強引に成り行きに流され、私はダリダ村の市場へ行くことになった―――。

次回は話が一気に展開します!がっつりと読める内容になりますのでお楽しみに!

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