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分隊長

北方部隊司令長官、長安秋吉。21歳という若さで四方守備の一方を任されるエリート中のエリートだ。

「待ってください!!私はここに着任するよう指示されています。これで追い返されたと内地に帰れば、私はどんな顔で教官や家族に会えばいいんですか!」

ここに来た以上、帰ることなんてあり得ない。しかも帰る理由が追い返されたとなれば、今までの五年の歳月はなんだったのだとなる。

「はぁ…。分かった、正直に言おう。」

司令はそういうと、椅子から立ち僕の方へ近づいてくる。

「我が北方部隊は優勢を保ち、敵軍は未だ津軽海峡を越えることはできていない」

「だが、東方、西方、南方はどうだ?」

「西方は石川を侵略され、その戦線も押されている。東方は小笠原群島を中心に、神奈川戦線も崩壊しかけている。南方は九州全てを侵略され、今や中四国までが危うい状況にある。」


部屋の中に緊張感が走る。

「もう一度言う。北方は未だ優勢である!では、今どこに人員を割くべきか軍学校卒業生の君ならわかるだろう?」

長安長官の言っていることは正しい。優勢な戦線に人員を増やすより、劣勢な戦線に増やすことの方が優先だ。

「了解、しました…。」

けして解せる訳ではない。しかし、少しでも今必要とされるなら。ここは長安長官の命令に従おう…。

「ちょっと待ちなよ、長安くーん」

そう長官をくん呼びしたのは…。

「あ、新人くんごめんねー。ちょっと長安くんと話させてねー。」

西方部隊司令長官、上野春馬。四方守備部隊最年長の司令官。なのだが…。なぜ今青森に…?

「上野さん…。なんですか?貴方は今ここにいるべきではないのではないですか?」

その通りだ。さっき長安長官が言ってたように、現在西方は石川を落とされ、劣勢状態にあるはずだ。

「もしかして君たち、私の部隊なめてるでしょ」

「はぁ、私悲しいよ…後輩の子たちに馬鹿にされるなんて…。でも逆に心配してくれてるってことかな?そうゆうことなのかい!?」

なんだこの人…。初対面でめちゃくちゃ上司だけど、すっごいめんどくさい…。

「はぁ、上野さんめんどくさいです。それで西方は大丈夫なんですか?」

「酷い!…ごほん。それで西方のことなのだが、まったくと言って良いほど問題はない。石川陥落は包囲作戦の一部だ。安心しろ、住民は作戦実行前に全員内地に移動させた。もちろん、衣食住も提供されている。もうすぐ作戦成功の吉報も届くだろう。」

西方は、優勢を保っていた…?凄い、あれほどふざけていた人なのに、指揮は一級品じゃないか。

「ああ、長安くんの心配している他の四方守備部隊も優勢を保っているようだよ?神奈川上陸も阻止できてるみたいだし、九州撤退も死者は出ていないみたいだし。」

「そうなんですか…。」

一瞬長安長官は笑みを浮かべた。僕も心から安心した。

「それで、上野さん。ここに来たのは他の用事があるんでしょう?」

「ああ、それならもうしてるよ。どうせ君のことだからね、新人を他の守備隊に移動させるんじゃないかと思ってね。可哀想じゃん、上からの命令で来てるのに追い返されちゃったら」

…ということは、僕の為に?

「なるほど、分かりました。移動は取り下げます。」

「長安長官、ということは…?」

「ああ、寺田分隊長君を歓迎する。」

「自分の責務を全う致します!!」

よかった!これで教官や家族に不甲斐ない顔で会うことはなくなった。これで、僕も正式に分隊長に…!

「それじゃあ私は西方戦線に戻るとするよ。じゃあね長安くん、寺田くん」

「ありがとうございました!!上野長官!!」

名一杯の感謝を込めて叫んだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「寺田分隊長、今から君の部隊に案内する。ついてきてくれ」

着任から一日。今日は僕の部隊に案内してもらえるようだ。

どんな部隊にしようか、どんな人達がいるんだろうか。想像は膨らみ続ける。

外にある大人四人ほどが入れる広さがあるテントの中に入る。

「全員集合!!敬礼!!」

中にいた一人がそう叫んだ。

「直れ!寺田曹長、ここが君の指揮する第一○三非能小隊だ。」

「おはようございます!寺田真曹長です!ここではみなさんの分隊の隊長となり、指揮をとります。よろしくおねがいします!!」

深々と礼をする。顔をあげ、一人一人の顔を見ていく。みんな強い意思を持つ覚悟を決めている顔だ。

「おはようございます!自分は吉村信二一士です!よろしくおねがいします!」

「お、おはようございます…!わ、私は石原波二士です…よろしくおねがいします!」

「おはようございます。私は神代大地士長です。よろしくお願いします。」

テントの中にいた三人が一人ずつあいさつをする。僕も彼らの気迫に押され、頭を下げる。

「寺田分隊長、君はこれから第一○○非能小隊から第一○九非能小隊、まとめて《第三北方非能大隊》の総指揮をとってもらう。この第一○三非能分隊は君が自由に動かしてもらってかまわない」

「はっ!」

「通常の任務は隊長として、大規模作戦の際は分隊長官として任務を遂行してくれ」

「了解しました」

僕もこれで一人の司令官。そして、今いる三人、作戦時に指揮する人たちの命を握っているのが僕なんだ。

「それじゃあ寺田分隊長、最初の任務だ。最近、外ヶ浜での敵目撃情報が出ている。外ヶ浜の索敵を行ってもらう」

僕の初任務。全身全霊で挑もうじゃないか!!





久しぶりに書きました

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