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巻き込まれ召喚されたオタク氏の異世界珍道中  作者: 明。


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不思議な出会いをしてみた

 皆がわいわい休日について話ながら食事を終えてデザートをつついている。そんな中一人だけ俯いているのに気がついた。


「フェリス様、どうしたのでござるか?」


「………うむ。わらわだけ、このように……助かってしまってよかったのかと……兄上達は……」


「「………………」」


 そういや、それ説明してなかったよ。フェリチータたん……説明してないんだね?目と目で通じあったよ。色っぽくはないよ。


「下らない事をグチグチ考えている暇はないですよ、お姫様。あんたは逃げた訳じゃない。これから戦うために、ほんの少し休憩するだけだ」


「………ほんの少し、だけ……そうじゃな!わらわが女王となれば、兄上達も見つかるじゃろう!」


 エド君のおかげでフェリス様は浮上したようだが、隠し続けるわけにもいかないだろう。


「フェリス様、話があるでござる。ちょっとよろしいかな?」


「でぇとかや?」

「違います」


 あ、またションボリしてしまった。でも、こういう嘘はつきたくない。


「友達と遊びに行くんです」


「ともだち?」


 お姫様相手に友達は不敬だったろうか。でもフェリス様ぐらいの年齢なら、そんなもんだろう。ちょっと年齢が離れた友達だ。フェリス様はニッコリと笑った。


「わらわにそのような事を申したのは、タカ殿が初めてじゃ!うむ!参ろうか!!」





 もう夕方だから、街灯がほぼないこの世界の閉店時間は早い。ただ、それは一般的な店だ。それなりに栄えているアイアの町は、夜店や露店が並んでいた。


「あれはなんじゃ?」

「あれは?」

「あれは?」


 鑑定しながら答えていく。夜店なんて、お姫様は行ったことがないのだろう。初めて年齢相応にはしゃいでいた。せっかくだからおこずかいを渡して、初めてのお買い物を楽しんでもらうことにした。


「タカ殿!どれも可愛いのう!」


 やはり女の子だからか、アクセサリーの露店で足を止めていた。なかなかいい意匠なのだが、値段がない。お高いのかな?


「……あ」


 吸い寄せられた感覚があった。不思議な虹色の石。光を受けて、傾けると色が波打つ。これが欲しい。どうしても欲しい。これだけが欲しい。ストラップなのかな?鳥籠を模した入れ物に入った石に、すごく惹かれた。ネックレスになっている。石は原石なのか研磨もカットもされていないようだ。しかし他のきらびやかにカットされた石より美しく感じた。


「その石に選ばれるとはねえ」


 店主のおばあさんは楽しそうだ。店主というよりは魔女っぽいファッションだが、身につけた石はよく似合っていた。


「?」


 選ばれる、とはどういう意味だろうか。


「ま、今のあんたなら問題ないね。二千でいいよ」


「あ、はい………安くないですか?」


「あたしゃ、趣味でやってんだ。あたしが客を選んで、好きに値段をつけるのさ。あたしは縁を見るのが好きなのさ」


「……素敵な趣味ですね」


「だろう」


 おばあさんは得意気に笑った。


「しかし、変わった子だねえ。運命の歪曲、神への反逆……守護?ふふふ……」


 意味がよくわからない。わからないが……多分そういうのが視える人なのだろう。


「わらわはこれが欲しいのじゃ!いくらじゃ?」


 フェリス様は真っ赤なルビーがついた鳥の羽モチーフの髪飾りを選んだ。あかん、あれおこずかい程度じゃ買えないやつ。


「お嬢ちゃんはいくら持ってるんだい?」


 フェリス様はよほど気に入ったのだろう。渡したお金をすべてと、ペンダントを出した。


「このペンダントはわらわが昔、抜け出した時に買ったものだ。足りなければ……これも渡す」


 おばあさんはペンダントを調べると、フェリス様に返した。とても優しげな笑顔だった。


「このペンダントはお嬢ちゃんの側に居たいようだよ。大切にしてくれたんだねぇ。しかし、お嬢ちゃんは運も勘もいい。今必要なのは確かに、その髪飾りだろうねえ。いいよ、その額で売ろう。長生きはするもんだ。また会うとはねぇ。さ、お行き」


 気がついたら、市場を歩いていた。だけど、互いの手にはそれぞれ買った品があった。振り返っても、おばあさんの店はない。


「…………不思議なおばあさんでござったなぁ」


「うむ」


 フェリス様が落ち着いたようなので、帰ることにした。立ち直った所に酷だけど、伝えておかなければいけないことがある。フェリチータたんとエド君も呼んで、話をすることにした。


「フェリス姫、実は……」


 かくかくしかじか四角い△ーヴ。フェリス姫はキレるかと思いきや、深く頭を下げた。


「申し訳なかった…!」


 なんで?首をかしげるしかできない。


「恩を仇で返すなど、モフルンダ王家の一人として恥ずかしい!」


 兄と違い、フェリス姫はまっとうな感性の持ち主であるらしい。まあ、確かにそうだよね。拙者はモフルンダの国民じゃない。たまたまフェリチータたんを買った、無関係の人間なのだ。さらに言えば、フェリチータたんだって騎士身分を剥奪されているから、無関係の人間なのだ。それをさも当然と言わんばかりに王子としてふるまおうとした男がおかしいのだ。とはいえ、身内からしたら拙者は非道かもしれぬな。


「フェリス姫は悪くないでござるよ。こちらとしても……正直見捨てるような形になって申し訳ない」


「いや、タカ殿を襲った時点で返り討ちにあってもおかしくない。我が兄の非礼を詫び、寛大な措置に感謝する」


 そう言って再び頭を下げた。


「兄だけでなく、わらわも救出してくれたのじゃ。なんでも望むものを言うがいい」


 欲しい、もの。


 一瞬だけ頭をよぎったものを否定した。ものなんかじゃない。でも、願っていいなら欲しいのは………。


「………いい国を、つくってくだされ」


 一番の望みは隠して、フェリス様に笑いかけた。それはきっと、フェリス様に願ってはいけないことだから。

大分難産でしたよ、この回。風邪をひき、仕事が本業副業忙しく、ゲームにはまってしまった(おい)など、重なりまくって遅れに遅れてすいません。

ちまちま頑張って更新します。

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― 新着の感想 ―
[一言] モフルンダ王国…女性陣はまともな考えの人達で良かった… そうだよね!王族だろうが襲ったやつが悪いよね! しかも助けてくれたのに、仇で返しやがったんだもんね!自業自得だよね! だからいい子なフ…
[一言] アクセサリー……ってか石って呼ぶよね?? めっさお高い天然石なブレスレットが呼んだんでござる…ワタシを!鍵付きディスプレイに飾られてたヤツの影に居た翡翠ちゃん……前面のヤツを店員さんは猛プッ…
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