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アドバイスしてみた

 朝早く目が覚めた。知らない天井に、一瞬驚いた。いやあ、一日で色々色々あったでござるな。さっさと身支度を整える。昨日着たやつは浄化で綺麗にした。

 こっちの世界もよほど田舎でなければ上下水道完備なのがありがたいでござる。ちょーっと贅沢して、風呂つき個室に移動したでござるよ。貧弱なぽっちゃりボディを見られるのも嫌でござるしな。風呂つき個室は一泊一万。倍ではあるけどベッドもフカフカで快適でござる。


 厨房で朝食の支度をしていたシルヴァ殿の奥方であるアカネさんに会った。


「おはようございます」


「おはようございます。ちょっと借りますね」


 アカネさんは小柄で可愛らしい感じの女性でござる。現在妊娠中なんだとか。まだお腹は目立ってないでござるな。さて、今朝はフレンチトーストが食べたいでござるなぁ。


「ふんふんふ~ん」


 ついつい大好きな魔法少女モフモフモフルンのテーマソングを口ずさむ。卵に牛乳、お砂糖を入れて、まぜまぜ。卵液を魔法で一気に染み込ませ、バターで焼く。今日のスープは…さっぱりトマトスープにしよう。

 魔法で食材を取り出して…………んん?


「…………………(じ~)」


「うひゃっほぉい!??」


 気がついたら、アカネさんにめっっちゃ見られていたでござる!つうか、よだれ!可愛い顔が台無し!


「あ、ごめんなさい。あまりにも美味しそうだったから……じゅるり」


「………食べるでござるか?」

「いいの!?」


 やはり食べたかったのでござるな。自分の分をアカネさんにあげて、もう一回作った。匂いにひかれて、お客さん達が来てしまった。


「今日はメシがうまそうだな!」


 結局、アカネさんの無言の訴えに負けて拙者が朝食を作ったでござる。シルヴァ殿がおつかいに出され、使った食材より多めに返却していただいた。朝食は大好評でござった。


「いや、マジうめぇわ!」


 ありがとうございます。


「いい料理人雇ったんだな!」


 いや、拙者もお客さんでござる。




 朝食は終了した。後片づけを申し出たでござるが、さすがにそこまで手伝わせられないと言われたでござる。魔法でちょちょいのちょいなのでござるがなぁ、と思いつつ自分の朝食を食べる。


「ねぇ、タカさん」


「なんでござるかな」


 皿洗いはシルヴァ殿の仕事であるらしく、アカネさんが目の前にいた。


「その…お客さん目線でうちの宿屋に足りないもの、あるかな?先代がいた頃はそれなりに繁盛してたんだけど、最近お客さん…減る一方なんだ」


「……オブラートは?」


「無しで!」


「まず、食事」


「…やっぱり」


「あと、立地でござるな。客層が冒険者狙いなら、ギルドから遠いと不便でござるよ」


「……うん」


「食事は改善の余地があるゆえ、微力ながら力になるでござる。立地については、そのハンデを埋めるようなウリがあればいいのでござる」


 アカネさんが期待に満ちた瞳で拙者を見る。いや、そんなスゲー事は言えぬでござるよ?


「…せっかくアカネさんが主人なのだから、女性向けの宿屋にするとか」


「女性向け?」


「女性冒険者も少なくないでござるからな。女性が喜ぶサービスをするのでござる」


 紙とペンをアイテムボックスから取り出して、サラサラと絵を描く。拙者、絵には自信ありでござるよ。


「部屋をこんな感じで可愛くするとか…」


 リボンとレースの部屋、ぬいぐるみの部屋、パッチワークキルトのカントリー風、お姫様風……等々。


「す、素敵!」


「こんな部屋なら泊まりたいでござろう?男性でも隠れ可愛いもの好きはいるでござるよ。あとは、ここ限定のマスコットなんかもいいでござるなぁ……」


 魔法少女モフモフモフルンのマスコット、ラビルビを思い出す。兎のような長い耳、真ん丸なフォルムと、小さな手足につぶらな瞳。


「あら、ラウビウね。白いのは珍しいわ」


「え」


 ラビルビそっくりの魔物がいるらしい。


「美味しいのよね……じゅるり」






 ま さ か の 食 用ぅぉぉい!!






 アカネさんによれば、元々はか弱い魔物だったが、家畜化されて普通に食べられているそうな……。食べちゃダンメええええい!!


「……タカさん?」


 異世界は、驚きで満ちているでござるよ…拙者とて可愛いヒヨコの親を食っている…仕方ないのでござるよ。仕方ないのでござるよ…仕方ないのよぅおおおい!!


「…な、なんでもナッシングぅ!」


 後で、市場を見に行こう!


「…アカネ、なんで坊主が泣いてるんだ」


「い、いや!悪いことは言ってない!多分!言ってないよね!?」


「…アカネさんは悪くないでござる。カルチャーショックだっただけでござるよ」


 ラウビウ……今度市場で見てみよう。さらにアカネさんと話をして、女性向け宿についてアイディアを出した。化粧水等のアメニティ充実や女性用のいい匂い石鹸など。ぬいぐるみやマスコット等の記念品を売る案も出たでござる。


 拙者、暑き夏の宴用によく友人のコスプレ衣装を作っていたでござる。妹が大袈裟なぐらいに喜んでくれていたから裁縫や小物作りに自信があるし、精油や石鹸にポプリも作れるでござるよ。リンスも作ったでござる。

 小物の簡単な作り方をアカネさんに書いて渡したら、とても喜ばれたでござる。いやぁ、いいことしたでござるよ。

 ベッドカバーなんかの大物は拙者が作ることになったでござる。すごいやつ、作るでござるよ!

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