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巻き込まれ召喚されたオタク氏の異世界珍道中  作者: 明。


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変身?したらしい

お待ちかね?の歩視点です。

 譲葉が来てから、異常なイライラ感はなくなった。変な夢も見なくなった。鉄パイプは相変わらずへし折りたくなるが、まあいい。騎士達の荷物を譲葉が預かるようになったおかげで、進むスピードが早くなった。ちゃんと話したら、女達は納得して引き返した。貴文との仲を応援してくれるとまで言ってくれた。


 よくないのは、クソ王子だ。


「まったく、まだ町まで着かないのか?」


「申し訳ありません」


 お前がチンタラチンタラ歩いているからだよ。預かってみて判明したが、荷物の大半がこの馬鹿の持ち物だった。


「いたいの、いたいの、ないないでちゅ~」


 譲葉がクソ王子に回復魔法を使ってやったようだ。


「偉いぞ、譲葉。さっさと歩け」


「ヒッ!?」


 クソ王子は俺に怯えるようになった。慌てて早足でクソ王子は歩き……いや、走った。譲葉を撫でてやると、甘えてすり寄ってきた。


「えへへでちゅ~」


 フカフカな譲葉のおかげでイラつきはだいぶ軽減しているが、奴が足手まといなのは明らかだ。あいつが足を引っ張っているせいでまだドラゴンがいる山に到着しないのだ。


 奴をどうやって闇に葬るか思案していたら、風に乗って僅かに血の匂いがした。近いな。


「隊長、タルトン!俺は先に行く!血の匂いがする!!」


 言ったと同時にタルトンを担いだ。


「え!?ちょ!なんで担ぐんですか?」


「説明が苦手だから」


 タルトンは穏やかだし、服も見るからに騎士だから、信用されやすいんだよ。俺と違って。そーゆーわけだから、担いで連れてく。


「は!?ちょ、ぎゃあああああああああああああいああ!??」


 タルトンを担いだまま、全力で走る。このままタルトンだけ連れて、ドラゴンを倒しに行きたいなぁ。流石にそんな勝手が許されないことぐらいは理解しているけどさ。クソ王子は置き去りにしたいけど、そうしたら隊長さん達に迷惑がかかるからできないんだよなぁ。






 あっという間に到着予定の町についたが、やはり様子がおかしい。それなりの規模の町なのに、門番が……死んでいた。

 さっき感じた血の匂いは、ゴブリン達が集団で町に襲撃したせいだったようだ。ゴブリンな……数が多いし人型を食べるのはちょっとなあ……。テンションは上がらないが、こいつらをどうにかしないとうまいメシにありつけない。しかし、スゲー数だな。とりあえず鉄パイプでひたすら殴る。


「ごちゅじんちゃま、へんちんでちゅ!」


 ヘンチン?……変身か?なんだよ変身って。無茶言うなよ。俺はちょっと力が強いだけの一般人だっての。


「へーんちん!ちゅるのでちゅ!」


「へーんしん?」


 譲葉の動きを真似て両手を回した瞬間、俺は光に包まれた。これは、あれだ。水溜まりにうつった自分を見て理解した。仮面なライダー的姿になったようだ。力が………力が湧いてくる!こりゃいいや!!


「ふふ…………ふはははははは!!オラァ!!」


 ブッ飛ばしたゴブリンが複数のゴブリンをぶっ飛ばす。そこからはシンプルだ。テンションが上がった俺は、ひたすらに暴れた。


「しゃ、オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」


 ゴブリンを片っ端から殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴って殴った。でかい奴がなんか言っていたが、無視した。だって、あいつは子供を食おうとしていた。生きるためだ、仕方ない。だから、お前だって俺に殺されても仕方がないよな。この世界は弱肉強食。弱いやつは食い物になるしかないのだ。片手が無くなった子供に止血してやるが……俺の魔法では応急処置しかできない。


「ごちゅじんちゃま、おくちゅりつかってあげていいでちゅ?」


 なんと貴文の薬は失った手も生やすらしい。貴文、スゲー!!そして、気がついた子供に魔物と間違われた。まあ、走って逃げるぐらい元気なら、よし!


「よし、タルトンと譲葉は怪我人に薬を使ってやれ!俺は殴る!!」


 俺は魔物と間違われそうだから、一人と一匹に救助役を任せることにした。俺は殴る役だ。俺はひたすらゴブリンを殴って殴って殴った。ゴブリンが逃げようとしたので、それも殴った。あいつら、敵討ちとかしに来るからな。


「おにいちゃん、さっきはありがとう!」


「おー、さっきのガキか。うまく逃げたんだな、偉いぞ」


 手を食われた子供は律儀にも礼を言いに来たらしい。


「おにいちゃん、だあれ?」


「え?んー?正義の味方、勇者マンだ!!」


 ヤベ、適当に名乗ったら、予想以上にダセェの出た!!


「ゆーしゃまん?ゆーしゃまん、ありがとう!!」


 流石は子供。素直だな!もういいや、勇者マンで。


「おー。勇者マンはヒーローだから、困った奴を助けるんだぞ。だから、気にすんな」


「そうなの?どうやったらゆーしゃまんみたくつよくなれる?」


「んー?」


 俺、なんか強くなるためにやったっけ??


「とりあえず、全力で棒を振る。上手く振れるようになったら、実戦だな」


「じっせん」


「ケンカでもいい。俺、無駄によく絡まれてたからなあ……」


「からまれる?」


「ま、とにかく棒を振るこった。ああ、身近な強いやつに習うのもいいな」


「わかった!」


 うん、俺多分いいことした。物陰で変身を解除し、合流したタルトンに話したら、なんか叱られた。なんで?なんか悪いことした??

叱られたのは、テンションが上がりすぎて無駄に色々壊しすぎたから、だそうです。

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