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巻き込まれ召喚されたオタク氏の異世界珍道中  作者: 明。


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見極めてみた

エド君のお祖父さん視点になります。

 ワシの孫であるエドアルド……エドの主人だという青年。あれは、とても不思議だ。レベルは低いのだろう。下手をすればラウビウと同じぐらい無害に見える。そう、無害に見えた。だが戦闘になると理解した途端、誰よりも冷静に動き、ワシを視た。見透かされた感覚があったので、鑑定系の能力を使ったのだろう。そして、ワシに『勝てる』と判断をした。そして、それを感覚的に理解したワシは、冷静さを失った。相手を侮っていたのは、ワシの方だったのだ。


 悔しかったが、惨敗だった。


 個としての力は、ワシが抜きん出ていたはずだ。エドや獣人の娘だけなら、確実に勝っていた。ひっくり返したのは、あの男。一番無害に見えた男は、勇者の盾のスキルを封じたあげくエドの能力を最大限に引き出した。

 盾の勇者は、守るものがある時その力を最大限に発揮する。ワシは盾の勇者でありながらソロ冒険者として過ごした時間が長かったから……そうだ、忘れていた。守るもののために戦うことが、盾の勇者の真髄なのだ。


「あの、大丈夫でござるか?」


 この穏やかで無害そうな男は、とてもワシを……ワシらを惹き付ける。


「坊主、ワシと戦え」


 見極めねばなるまい。この男が何であるかを。


「はい??」


「ワシと戦え」


「えええええええ!??」


 何故驚く?これも演技か?


「エド達の力は認めたが、お前の力は認めていない。エドの主を名乗るなら、ワシを倒してみせろ!!」


「んん……拙者、近接戦闘に不向きなんでござる。どうしてもと言うなら、テイムした魔物もありにしてほしいでござる」


「よかろう」


 流石に、不得手な戦いを強制して勝利しても嬉しくない。


「では、ラッキー!ラビルビ!頼むでござる!」

「待たんかい」


「?なんでござるか??」


 本気でわかってねぇのか?それともとぼけてやがるのか??


「それ、竜種じゃねぇか!ワシを殺す気か!?」


「あ、ブレスは使わないでもらうので大丈夫でござるよ?」


「そういう問題じゃねぇわ!シレッと生身の人間にドラゴンをけしかけようとすんなあああああ!!」


 男は心底不思議だ、と言わんばかりに首をかしげた。竜種は複数討伐が基本なんだよ!


「………うちの勇者な幼馴染は、多分ドラゴンも殴り倒すと思うでござる」


「そんな人外と一緒にすんじゃねえええ!!」


 こいつは俺をそんなに強いと思ってんのに、シールドブーメランを避けなかったのか?意味がわからねぇ。しかし、こいつの幼馴染も何者なんだ?知れば知るほどわけがわからねぇ。


「ええっと………すいません?」


「じいさん、うちのご主人様はもんっっのすごぉぉく世間知らずなだけだ。気にすんな。マジでただでさえ減ってる毛が丸禿げるぞ」


 確かに最近前髪が後退してきてヤバ……いや、そこは関係ない。失礼な(エド)を殴っておいた。


「ええっと…ではラウビウのみ参加させてほしいでござる」


 最弱の魔物と最強種……アンバランス過ぎる。こいつが何を考えているか、まったく理解できねえ。数は多いが、ラウビウは敵じゃない。


「ああ、それでかまわねぇ」





「それでは、始め!」


 息子の声が響いた。男は縄を取り出し、自分をラウビウに縛り付けた。いや、縄が男を縛ったように見えた。意味がわからない。


「ぬっ!?」


 男は見たこともない武器で攻撃してきた。矢のような遠隔専門の武器らしい。少ない動きで何かを射出している。


「おもしれぇ………」


「ひっ!?」


 本当にこの男は底が知れねぇ。無害そうに怯えをみせたくせに、その瞳は勝ちを諦めていない。

 そう、見た目こそ怯えているが、男は冷静に戦っている。今も、射撃の精度がどんどん上がっている。魔法なのだろうか、弾の威力も上がっている。いや、成長しているのか?一点集中させて盾を突破しようとしていやがる。

 しかも、こちらの攻撃が当たらない。ラウビウには確か危機察知スキルがあった。そのためか、奴を背負ったままでも回避するのだろう。つまり、最初からそのつもりで自分をラウビウにくくりつけたわけだ。自分は攻撃に専念し、完全に回避をラウビウ任せにしている。


「この一撃で、決める!」


 男から凄まじい魔力を感じる。これはまずい。しかし、これを受けきれば勝機はある。強い攻撃は、それだけ隙を生むはずだ。俺は盾に魔力を注ごうとして……すでに盾を持っていないことに気がついた。


「……………え?」


「しょ、勝負あり!」


 意識はハッキリしているが、身体が動かねぇ。


「はぁ~……よくやったでござる」


 黒い服を着たラウビウが男に駆け寄る。優しく笑う男は、無害にしか見えない。


「ラビルビもがんばったみう~!」


「ラビルビも重たい拙者をよく背負ったまま逃げてくれたでござるなぁ。ありがとう」


 つまり、男は自分を囮にして、ラウビウに毒針を持たせて攻撃させたのだ。普段ならば近寄れば気がつくが、ラウビウはそもそも無害だから気配がわかりにくい。さらに、男の強力な攻撃に、嫌でも意識を向けざるをえなかった。

 今回、俺に油断はなかった。こいつには、力ではない強さがある。


「………完敗だ。坊主、名前は?」


「タカ=レイターと申す。とりあえず、解毒しますぞ。【清浄化(クリーニング)!】」


 体内から瞬時に毒素がなくなり、動けるようになった。


「ありがとよ」


「いやいや。というわけで、レジスタンスの皆様にお願いするでござる。どうせなら『真の魔王の剣』を殲滅したいと思わぬでござるか?命を使わずとも、それを可能とする能力が拙者にあるでござる。最強の勇者を知恵で倒した拙者に、助力してはいただけぬでござろうか?」


 このやろう。


 コイツ、これを最初から狙ってやがったのか?確かに余所者が言ったところで意見は通らねえ。だが、ワシを倒した今なら違う。


 見てみてえ、と思ってしまった。この予想外の男が何をするのか。タカ=レイターに賭けてみたい。


「野郎共、こいつはワシを倒した!自爆する以外の道があるってんなら、賭けてみてえとは思わねえか?この絶望的な状況をひっくり返してくれるってんなら、大事な家族を救えるってんなら、こいつに命を預けてみねえか!?どうだ!?野郎共!!ワシはコイツに、この命を賭ける!!」


 自爆するしかねえと覚悟を決めた連中だ。皆、家族が救えるならと賛同した。


「いや、拙者……命まではちょっと……命は大事にしてほしいでござる」


 ノリの悪いやつだが、気に入った!コイツがどんな作戦を考えるか、楽しみだぜ!!

というわけで、次回!貴文達が無双します!!

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