とんでもない情報をもらってみた
節制に案内され、節制の神殿へと移動した。侵入した倉庫らしき部分のさらに地下だ。
エレベーターに節制が接続し、どんどん降りていく。
「そーぷお…?………そーろす??」
フェリチータたんは節制と言えないらしい。かなり頑張っているが言えてない。可愛い。
【マスター。フェリチータ嬢はワタクシの名前を言うのが困難なようです。簡潔な愛称をつけてください】
「……ソーネ君?」
なぜか日本引きこもり協会……じゃなかった。某チャンネルの四角いマスコットキャラみたいなのが出てきた。あの茶色い彼、けっこう好きだ。
【ワタクシもソーネソーネと申し上げた方がよろしいですか?】
「いや、いい」
節制本人が気に入ってるみたいだから、いいか。というか、奴は茶色くて四角いマスコットを知っているのだろうか。謎だ。
そんな下らない会話をしていたら、エレベーターが停止した。
【マスター、到着いたしました。ようこそ、ワタクシの神殿へ】
ファンタジーな神殿より、SFを彷彿とさせる建築物だった。
【マスター、これからするお話はかなり重要なものとなります。彼らはどういたしますか?】
「彼らは拙者がこの世界で最も信頼している者達でござる。拙者はかまわぬ。話を聞きたくないなら、待っていてもよいでござるが……」
「聞かせてください」
「フェル、ごしゅじん、さまと、いっしょ!」
「わふ(主と共に)」
「ラビルビもいっしょみう!」
全員が聞くことになった。節制が連れてきたのは、コントロールルーム。ここにあるコンピューターが節制本体なのだろう。
【先ず、悪い知らせです。事態は一刻を争うでしょう】
モニターに地図が映し出された。四つの大きな緑の点と、小さな赤い点がたくさん。それから、紫の粒。
【こちらが、現在ワタクシが調査した世界地図です。緑の点はワタクシの神殿を含む『枢要徳の神殿』です。見ておわかりになると思いますが、敵はワタクシ達の神殿すべてに拠点を築いております。また、紫の粒は賢者の石の位置です。さらに勇気の騎士が一体解放されました。賢者の石は、騎士の動力にするため生産されていると思われます】
「…騎士の力が解放されたら、どの程度の被害が出る?」
【少しお待ちを。計算終了。この一帯が焦土になります。ただ、ワタクシがいないので、仮に賢者の石が千個あっても騎士は五分動いたら石を使いきります。ワタクシは節制。資源を有効活用し、最低限のコストで稼働させることができるのです。ワタクシがいれば、世界を救えるのです。マスターは運がいい】
節制がいなければ、勇気や他は役に立たない?いや、そんなことはない。五分しか稼働できなくとも、その時間で焦土にしてしまえばいいのだ。
逆に、節制を取られた場合のリスクが高すぎる。どうもこいつは、全て神殿を解放させたいらしく、ペラペラとよく喋る。
「節制、きちんと情報を開示しろ。拙者はお前を信用していない。今の話が本当なら、拙者はお前を封印するか破壊すべきだ」
【……ワタクシはマスターを見くびっていたようですね。ただ、いずれ封印は必要でしょうが、今すぐワタクシを封印または破壊するのは推奨しません。ワタクシ達がいれば、敵を早く鎮圧できます】
「……前のマスターに、それが真実だと誓えるか?」
【肯定。ワタクシは嘘をついておりません。ふふ、マスターは前マスターに似ていますね】
本当に、機械らしくないな。何が最善かを思案する。
「節制、君のプログラムをいじらせてくれ」
【了解。プロテクトを解除します】
膨大なデータベースをざっと読み、プロテクトに仕掛けを施した。今は時間がないから仕方ないでござるな。
ただ、節制の役目については理解した。拙者の目的とも合致する。
「これでよし。節制、こちらから勇気にアクセスできるか?」
【ガガ……起動……否定。敵が目覚めさせたのは騎士一体のみです。勇気本体は、まだ起動しておりません】
「なるほど」
「あの………勇気の神殿の近くにある町は、もしかして……」
【アイアの町です】
エド君が真っ青になった。言わなくてもわかる。ここからそんなに遠くはないな。転移せずともラッキーに乗れば、さほど時間をかけず到着するだろう。
「……エド君の故郷なんでござるな?さて、節制。作戦を聞こうか。わざわざこんな場所まで連れてきたんだ。有用な作戦があるのだろう?」
【肯定。そのために、仮ではなく正式なマスター登録を要請します。マスターを得れば、さらなる偵察・索敵が可能です」
あまり気が進まないのだが、節制は壊されるリスクを理解した上で拙者にプログラムをいじらせた。こちらも誠意を見せるべきだろう。
「許可しよう」
【では、こちらへ】
コントロールルームの奥が開いていく。そこにある豪奢な椅子。それは玉座のようだった。座ると、何かが魔力と引き換えに流れてきた。
『やあ、こんにちは。君が次のマスターだね?』
「貴方は……?」
ヒョロッとした青年?老人のようにも感じた。穏やかで優しそうだった。
『彼らの前マスター。極めし者とでも呼んでもらおうか。僕は節制に遺した、前マスターの人格コピーだよ。君が知りたいことにはある程度答えられると思う』
前マスターは、最期まで中二病に罹患していたらしい。すっごく親近感を感じる。前マスターの人格コピーから欲しい情報はもらえたが、これ勇者がどうにかする案件なんじゃないかな?でも、歩には向かないな。パソコンが苦手なんだもん。あいつ、メールも録画もできないからなぁ。あ、メールを読むのはできるか。
ちょっと歩のダメさにホッコリしつつ、皆に声をかけた。
「情報は得た!これより、我々はエド君の故郷を奪還する!休息した後、このまま敵陣に行くぞ!!」
『はい!!』
こうして、連戦することが決定した。もはやいつ敵が動いてもおかしくない。はやる気持ちを抑えながら、拙者はパソ子さんをいじったり、エド君の装備を作ったりして準備をするのだった。




