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巻き込まれ召喚されたオタク氏の異世界珍道中  作者: 明。


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感謝されまくってみた

 拙者が謎の声にビックリしていた間に、治った病人達が拙者を囲んでいた。まず声をかけてきたのは、応急処置をした子だった。


「おにちゃー、ありがとわん」


「元気になってよかったでござるなぁ」


 さりげな~く耳をモフモフ。ちょっと毛がパサついてるけど、いいモフモフでござるよ。


「うん!どこも苦しくない!」


 子供は笑顔が一番でござる。拙者、いい仕事したね!他の人達からもたくさんお礼を言われたでござる。


「あ、あの……お代は……」


「勝手にやったんだし、いらんでござる。ツケといてくだされ。あ、特産品とかあったら分けてほしいでござる」


 犬獣人さん達は、薬草を持ってきた。


「これ、珍しいらしいんですが……」


 これ、特級回復薬とかエリクサーに使うやつ。確か……月日草!超欲しい!!


「じゃ、お礼はこれで。ちょっとまけてほしいでござる。エドく~ん」


「はいはい。通常価格の八割でどうです?そっちが生活に困窮しない程度で買い取りますよ~」


 値段交渉はエド君のお仕事。エド君もアッサリとバトンタッチしてくれた。ん?なんだかエド君の様子が………??


「安すぎる!」


 エド君がキレた。安すぎてキレるって、珍しい。月日草はレアな薬草で、犬獣人さん達しか見つけられないんだって。彼らは人がいいからか騙されていたからか、定価の半額以下で売っていたらしい。


「いいですか?商売はあくまでも対等が基本です!」


 ついにエド君が説教を始めた。彼らは定価を知らなかったのだから仕方ない、とエド君をいさめた。


「……すいません。熱くなりました。これなら手間でしょうが最寄りの冒険者ギルドに行くべきです。ちなみに適正価格はこれです。これ以下を提示されたら、冒険者ギルドに行くと言ってください。向こうも折れるでしょう」


 なんだかんだで、エド君はいい子でござるな。説明も丁寧だし。


「ごしゅじん、さま。さっきのぴかぴか~、すごかったね~」


 そういや、あの魔法の効果を調べておこうかな?そうでござるね~、と返事をしながらステータスを開く。


 やっぱり職業が『聖なるオタク』になっとる。地味にへこみつつ、目当ての魔法……(ゴッド)聖域(サンクチュアリ)を調べてみた。


〈神の聖域〉

・清浄化の上位魔法。その光は、万物を浄化する。カビや菌だけでなく、ゴーストやアンデット・悪意ある魔法も消し去る。稀に悪人の悪意も根こそぎ浄化する。

・浄化された土地には、魔物や悪意ある者、邪神の信徒が近寄れなくなる。

・効果は術者の力量による。タカ=レイターの場合は五十年程度。


「………………………おうふ」


 とんだチート魔法でござ………これを使えば、マナシ周辺が安全になるではござらぬか!


「ごしゅじん、さま、うれしそう」


「うん!すっごく嬉しいでござる!さっきの魔法、五十年も効果が続くんでござるよ!あの魔法を使うと、悪意ある者や邪神の信徒や魔物も入れなくなるんでござる!これならマナシの町も安泰でござる!」


 笑顔でフェリチータたんに話していたら、なんかゾクッとした。慌ててエド君を見たら、超笑顔だった。目線で人を殺ってしまいそうな笑顔だった。


 怖かった。エド君に叱られる。永遠の五歳なんか目じゃないぐらい叱られる。


 結局、それ以外にも回復薬で治療したりもしたので、月日草はかなり安く売ってもらった。


「このご恩、我らは絶対に忘れません。何かあれば、いつでも馳せ参じます!」


「では、いつか会ったらここの名物料理をごちそうしてくだされ」





 それからいくつかの村を回ったのだが、どこも同じような状況だった。共通するのは、そこが村で辺鄙な場所にあり、薬師または医師が一人しかいないこと。村で希少な素材を扱っていることだ。

 とりあえず、すべての村で神の聖域を使ってきた。なんか拝まれてたけど、気にしない!


「この材料で作れるのは……」


 素材が集まったのは嬉しいが、喜んでもいられない。


「霊薬……エリクサー、ですかね」


「………うん」


 ここまでしているのだ。悪用されているのは間違いないだろう。霊薬……魔力も体調も万全にする奇跡の薬だ。


「実は、俺の姉は獣人なんです」


「うん?」


「姉っつっても、義理のですが。しかも、あいつは変異種で魔力が異常に高いんです。体力もすごくて、蹴りとかあり得ない威力で頭もよくて……何やっても勝てなくて、嫌いでした」


「………うん」


 ぽつり、ぽつりとエド君は語った。そして、多分そこに目をつけられて、誘拐された。エド君も、エド君の父も義姉の誘拐事件を追っていたが力及ばず…逆に捕らえられてしまった。家族を人質にされ、逆らえなかった。いや、人質がいなくても、エド君達だけではどうにもならなかっただろう。

 父や家族はどうにか知人が買ってくれたからひどい目にはあっていないはずだが、その後どうなったかはわからない。エド君だけがあの店主に買われてしまった。

 そして、拙者に買われた。


「あの馬鹿、自分が家族の分まで協力するから、自分の魔力は百人の魂より価値があるから、百人分以上働いてやるから、俺達を助けろって………!あいつだけなら逃げられたのに!俺は助けてくれなんて頼んでなかった!見捨てろって言ったのに!!おね、お願いします、ご主人様!!貴方ならきっと、義姉を助けられる!助けてください!!あいつはきっと、霊薬で無理矢理回復されて命を削りながら賢者の石を作らされているんだ!!お願いします!!」


 地面に額を擦り付けて懇願するエド君。


「もちろんでござるよ。ようやく、話してくれたね」


「フェルも、てつだう!」


「巻き込んで……ごめんなさい」


「いや、どーせ次はエド君の故郷に行く予定でござったから」


「…………………………は?」


「エド君が奴隷落ちしたのは『真の魔王の剣』のせいでござろうなぁって思ってた。だから、シメに行く気でござったのよ」


「は、はああああああああああ!??」


「ほら、拙者がスローライフを満喫するために邪魔でござるし……うちの奴隷を傷つけた阿呆は全身全霊で滅する所存でござる!」


 盛り上がる拙者に、節制(ソープロシュネー)が近寄ってきた。


【マスター、ワタクシにお任せください。先ずはワタクシの神殿へいらしてください。円滑に滅するため、至急マスターへ説明しなくてはならない事項がございます】


 こうして、拙者達は節制の神殿へ戻ることになった。エド君が俺の涙をかえせえええ!!とか叫んでいたのは、聞かなかったことにした。拙者がエド君の事情を放置するわけないじゃ~ん。雇い主として、エド君がなんの心配もなく働けるように頑張るのでござるよ!

そもそも、貴文が首を突っ込まないはずがなかったのであ~る。

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