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イイモノに見つけてられてみた

 上層階にはエド君達の脅威になりそうな敵はいないみたいなので、盗んだデータをチェックする方に集中していた。


「……………おや?」


 プロテクトがかかったプログラムを見つけた。今まで、こんなデータはなかった。機密であろうアントマッシュを使った薬のデータや、収支報告書にすらプロテクトなんてなかったのに。


「わふ、わふん?(主、どうした?)」


「いや、妙なプログラムが……」


 そのプログラムは勝手に起動した。勝手に画面が変わって、質問が並ぶ。入力式で答えるものだ。ウイルスソフトが反応していないのが気になる。


〈貴方の名前は?〉


〈タカ=レイター〉


 そう入力したら、ブッブーと不正解っぽいブザー音がした。え?ナニコレ怖い。強制シャットダウンして削除したろうかと思ったら、メッセージが出た。


〈入力には本名をお願いします。何らかの事情から偽名が必要な方は、偽名欄に記載してください〉


〈名前・小田群貴文〉

〈偽名・タカ=レイター〉


 それから生年月日、血液型、趣味、特技、食べ物の好き嫌いに、異性の好み……質問の意図がわからないし、面倒になってきたのでやっぱり強制シャットダウン……と思ったら、ディスプレイが変化した。


『これが最後の質問デス』


 ディスプレイの色が変化し、電子音声が出た。


『もし世界が滅ぼせるほどの力を得たら、貴方は何をしまスカ?魔王を倒し英雄になりまスカ?人類を滅ぼしまスカ?敵対勢力を殲滅しまスカ?』




「なにもしない……と思う」




「ぶふっ」


 ラッキーに独り言を笑われた。いや、そんなもん確実にもて余すでござるよ。


「いやいや!または、いらないから封印する…………こっちでござるな!」


 とってもしっくり来た!うん、これだな!


「はっはっは!流石は我が主!愉快だ!」


 人型になったラッキーが爆笑している。そんなに珍解答だっただろうか。


「いや、自力で得たものなら使い方も熟知しているでござろうが、他者を滅ぼすような力はいらぬ。人を癒したり、助けたりする力なら欲しいでござるが、拙者は壊す力を使いこなせる気がしないでござる。拙者の武器も護身のため。壊すためではござらぬ」


 基本は真面目でおとなしい日本人だからね、拙者!手出しされなきゃ、暴れないよ!


〈長らくお待ちしておりました。貴方様は、日本人ですね?〉


 ディスプレイに浮かび上がった日本語に、固まった。さっきまで、ディスプレイにはこっちの国の言語が書かれていた。字を見ると、不思議と内容が理解できるのでござるよ。パソコンはカナかアルファベットしかないから解答は日本語だったのにもかかわらず、認識されていた。そうだ。最初から、おかしかったのだ。


「何故、それを?どちらさまでござるか?」


 間抜けにも、ディスプレイに問いかけてしまった。しかし、返事は来た。


【ワタクシは、節制(ソープロシュネー)です。ワタクシは、管理AIです】


 それは、銀色の卵に機械の羽根。細い金属を幾重にも重ねた、鳥の骨格を模したような羽根を持っていた。卵の中央部には機械のセンサーというか、目らしきものがついている。


「この施設の管理AIでござるか?」


肯定(ポジティブ)。ここは節制の神殿。かつて、神話の時代に召喚された勇者……ワタクシ達の父と神により造られました。ワタクシが最後のマスターを喪い、眠っている間にずいぶん時間が経過したようですね】


 なんだか節制(ソープロシュネー)はションボリしているように見えた。


「えっと……」


【しかし、ワタクシは新たなマスターを得ました!マスター、ご命令を!】


「……………は?」


 マスター?マスターって、まさか……?


節制(ソープロシュネー)のマスターになりました】


 あの謎の声が聞こえてきた。うおおおい!?


「あ、あの……さっきまでの質問は……まさか……」


【マスター登録のために必要なデータと、マスター登録に必須な答えをいただきました。手始めに、神殿に巣食うネズミを皆殺しにいたしますか?】

「んのぉうううううう!!絶対ノー!拙者の仲間に怪我をさせたら、嫌いになるでござる!破壊してやるでござる!スクラップにしてやるでござるううううう!!」


【ほんの、ジョークです】


 卵中央の一つしかない目らしきものがニコッと笑った。


「いや、本気だったでござろう」


【よくおわかりで。流石はマスター。しかし、マスターは運がいい。一番最初にワタクシを見つけたのですから】


「!?」


 パソコンがアップデートを開始した。膨大なデータがパソ子さんに流れている。


【ワタクシは、節制。特技は『最適化』です】


 パソ子さんには、敵が見つけられなかったこの遺跡のデータが入っていた。さっき見た建物とは別物で、神殿本体はさらに地下にあるらしい。ここはあくまでもダミーなんだとか。


【ようこそ、ワタクシの神殿へ。歓迎いたしますよ、マスター】


 とりあえず拙者の頭に浮かんだのは『エド君に叱られる』という事でござった。今回、拙者は悪くない……よね?悪くないよね!?

これのラストを書いていて、浮かんだフレーズ


貴文、アウトー


でしたwww

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― 新着の感想 ―
[一言] ででーん!絶対に叱られるような「やらかし」をしてはいけない24時間!
[一言] ここでも来るか? どうしてこうなったwww
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