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報告してみた

 消耗が激しかったためか精神的なものか、助けたシルヴァ殿とグレイ殿もBランク冒険者達も、誰も目覚めなかった。

 町の門番も並んでいた人達も、拙者らの鬼気迫る様子にドン引き…ではなく理解を示してくれて、ほぼノーチェックで町に入れた。まっすぐ冒険者ギルドに駆け込み、拡声魔法も使って叫んだ。


「至急、ギルドマスター殿を呼んでくだされ!!それから、救助者が休めるよう、寝床を!!」


 冒険者達は素早く動き、手分けして担架を持ってきて救助者を併設の診療所に運んでくれた。明日は我が身。


「ありがとうな、あいつ……俺のダチなんだ」


 泣き叫んで診療所を蹴り出される者、無事を喜び、拙者にお礼を言ってくる知らない冒険者さんもいた。


「早かったなってか…………何の騒ぎ…………」


 ギルドマスター殿がラッキーを見て固まった。ラッキーは救助者運搬のため、かなり大きくなっていた。


「と、とにかく別室で!依頼の件だな?」







 というわけで、別室で話をすることに。


「倒せそうだから倒して、六人の冒険者を救助したでござるよ」


「………え?」


 要約しすぎたでござるかな?


「蜘蛛の魔物はたくさんいたでござるが、こちらには対蜘蛛用の秘密兵器があったので、殲滅したでござる」


「……………え??」


「冒険者達はまだ生きていたので、救助を優先した結果、邪魔だったので排除したでござる。倒した数は数えてないでござるが、死骸は全部回収したので後で数えればいいでござるよね?」


「は?え??六人??全員???」


 ギルドマスター殿が頭を抱えてしまった。何故かエド君があわれむような目で見ている。


「だから、あんなの送りつけたボケも殲滅してきます」


「………………へ?」


「………奴らはこの世で一番怒らせたらヤバい人の地雷を踏み抜きました。俺も他人事じゃなく、奴らに捕まったらアイアンアントかあの蜘蛛の餌だったでしょうね。一矢報いるチャンスですから、今回は盛大に煽ります。全力で協力しますよ、ご主人様」


「フェルも、あいつら、きらい!」


 ストッパーエド君からもゴーサインが出たし、もう誰にも拙者達は止められないでござるよ!!

 ふはははははは!泣け!喚け!!

 あーっはっはっはっは!!


「えっ?ちょ、え??」


「というわけで、殺ってきます!!」


「殺って………えええええ???」


 ギルドマスター殿が復活しないので、後始末はヨロシクゥ!と冒険者ギルドを飛び出した。






 町を出たら、ラッキーに乗って蜘蛛達が居たところを確認する。


「ふふ……隠蔽など、拙者にかかれば無駄無駄無駄無駄……」


 拙者のスタンド……げふん。病が再発するところでござった。転送の魔法陣をちょいちょいっと弄って逆に向こうへ送る魔法陣へと書き換える。


「うわ、スゲ……なんすか、これ」


「魔法陣を書き換えるのでござるよ」


「………普通、書き換え防止の魔法もありますよね?」


「あるでござるよ。昔、拙者ヤンチャな時代もあったでござる」


「へ?はい」


 いきなり始まった過去話に戸惑いつつも頷くエド君。


「拙者、ハッカーとして有名だった時期があったのでござるよ。つまり、この程度の防御魔法、拙者には簡単すぎるの」


 調子に乗りすぎて某政府の機密データベースに侵入できちゃった時は、本気で焦ったでござるなぁ。念入りに偽装とかしていたから、バレなかったらしいでござるが。そんな複雑なプロテクトに慣れ親しんだ拙者にとって、上書き禁止の魔法は稚拙すぎるの。昨夜あの完璧な魔法陣を見たせいか、子供の落書きを貼り付けた程度の陣でござるなぁ。


「は、はぁ……」


 完璧に上書きして、仲間達をふりかえった。


「敵の本拠地へ殴りこみでござるよ。準備はいいでござるかな?」


「もちろんです」

「おっけー」

「ばっちりみう!」

「わふふ(壊すのは得意だ)」

『にゃお~ん!!』


 全員大丈夫みたいでござるな。パーティの盾役ということで、エド君とラッキーが行き、ラビルビ、フェリチータたん、ラウビウ達が行き、最後に拙者も転移した。


「あ、ご主人様。誰もいないみたいですよ」


「そうでござるな」


 入り口は監視カメラ的な魔法具で監視しているみたいだが、ここは倉庫みたいなものなのだろう。他に魔法具はないようだ。テイムか何かで操っているとはいえ、魔物が暴れる可能性もあるから置かないようにしているのかもしれない。


「……しかしここ、近代的でござるな」


「恐らく、遺跡のロストアイテムなんかをそのまま使っているんだと思います」


 エド君によれば『真の魔王の剣』は失われた技術を使っているんだとか。そういや、アイアンアントクイーンは培養されていたでござるなぁ。潰した基地も、近代的だった。

 壁にあるケーブル的なものを調べてみた。まるで電線みたいなモノの間を魔力が行き来している。魔石を使っているな。電力の代用として魔力を使っているのか。


「なるほど……」


 それ、逆手に取れないかな?近代技術に近いのなら…………あれが使えちゃうかも!


「ご、ご主人様?」


「ぐふふ………エド君、ちょっと見張ってて!ちょちょいのちょいっと作っちゃうでござるよ!」


「はぁ……まあ、ご主人様の事だから、なんかスゲーの作るんでしょ?待ちますよ」


「たいき~」


 魔力を調べただけでもわかる。この施設は先日潰した施設など比べ物にならぬぐらい広いし、多数の奴隷がいる。

 やるなら徹底的に。効果は最大限に、被害は最小限に。拙者の友人に手を出した馬鹿を滅するために、拙者はひたすら手を動かした。

次回、タカ達が大暴れ!

ある意味タカ無双な次回を待て!!

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