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冒険者ギルドデビューしてみた

 図太い拙者はぐっすり寝てしまったようでござる。目覚めると、シルヴァ殿は眠たそうだが起きていた。


「シルヴァ殿、申し訳ない…」


「いや、あんたは一般人だから仕方ないだろう」


「否!本気を出せば五日は起きていられるでござる!」


 夏の熱き聖地に間に合わせるために、時間へ無謀な勝負を挑んだ高校生活を思い出したでござる。原稿?間に合ったでござるよ。


「そいつはスゲーが…まあ、俺は仕事だ。気にすんな」


 マジでシルヴァ殿、いい人!せめて朝食は美味しいものをとハムタマゴトーストにコーンスープ、果物を出すと、なんだかシルヴァ殿が渋い顔をしていた。


「口に合わなかったでござるか?」


「逆だ。うますぎる」


「…………は?」


「なんだこの…特にスープ!うますぎるだろ!つーか、準備万端過ぎねぇか!?」


 シルヴァ殿的に、何やら葛藤があるようだ。まあ、おいしいのは良いことでござる。


「シルヴァ殿…おかわりは?」


「おかわり!」


「拙者、いつかこんな日が来ると準備をしておいたのでござるよ。冒険に便利なアイテムは、勇者の助けにもなるであります。シルヴァ殿には万全の状態で護衛してもらわねばならぬのでたくさん食べていただきたい」


 スープをよそいながらそう告げると、シルヴァ殿は頷いてしっかり朝食を食べた。


「うあああ……」


 そして、万全なBランク冒険者はすさまじかった。次々と敵を一撃で斬る。しかも、無駄がない。頭や心臓に一撃。毛皮に傷があると価値が下がるからなんだそうだ。大変勉強になります。拙者、ひたすら倒した魔物をしまったでござる。たまーに来た奴は初級魔法で倒したでござるよ。この辺りは火が弱点の魔物が多いでござるな。


「シルヴァ殿、しばらく魔物は出ませんぞ。半径五百メートル以内に敵影はありませぬ」


「…お前、勇者についていった方がよかったんじゃないか?」


「…………何故?」


 何故いきなりそんな話になったのでござるかな?


「森や洞窟なんかで怖いのは、挟み撃ちや奇襲だ。どんなに強くても囲まれたり、不意をつかれたり、何かを庇いながらじゃ実力を発揮できない。そういう意味でお前の力はとてつもなく有用だ。敵の位置をつかめるのは、素晴らしい。収納魔法も、荷物がないぶん勇者は動けるようになる。しかも、お前看破系か知識かわからんが、敵の弱点がわかるんだろ?それもスゲー特技だぞ」


「………拙者が………助けに?」


 歩の重りではなく………助けになれるかも、しれない??本当に??


「ああ。ただ、二人では厳しいだろうな。お前が最低限自衛できて、他にフォローできる仲間がいるなら可能だろう」


 そうか!ラノベで読んだじゃないか!たくさんたくさん読んだじゃないか!!冒険者の体調を管理したりする魔法使い!それに、ゲームでのサポート特化!あれならきっと、やれるでござる!海賊王…じゃなかった!サポート特化に、拙者はなる!!


「…拙者、新たなる目標を見つけたでござる。シルヴァ殿、本当にありがとうございます!」


「大袈裟だな。だが……悪い気はしねぇ。ほれ、着いたぞ。マナシの町だ」


 ぐるりと壁に囲まれた町が見えてきた。入り口では兵士らしき人が入る人をチェックしている。


「シルヴァ殿、お疲れ様です!そちらの方は…」


「ああ、俺のツレだ。ほい、入町料」


 大銅貨五枚…確か五百リン。大体日本円と同じだ。シルヴァ殿によれば、冒険者または商人ギルドカード持ちはお金がかからないが、一般人はお金がかかるそうだ。


「あの、お金…」


「いらんよ。メシの礼だ。まあ、ついでに依頼がないかを見に冒険者ギルドに行くが…お前も登録しに行くか?」


「お願いします!」


 シルヴァ殿、マジでいい人!そして、拙者は冒険者ギルドに行くことになった。



 冒険者ギルド、キタタタタタタタぁぁぁ!!



ふあああああ…生ギルド……強そうなお兄さんお姉さんがたくさん!カウンターに、向こうの掲示板に依頼が貼り出してあるのでござるな!?


「ほら、こっちで登録だ」


「はい!」


 登録申込書に名前、年齢を記載。属性…どうしよう。とりあえず、ありそうな火、水、風と書いておく。職業……オタクはない。無職…いや、学生……錬金術師と書いてみた。嘘ではない。錬金術や調剤スキルもあるでござる。錬金術が使えるオタク…錬金術師っぽいオタクでござる。


「錬金術師………ですか」


 何故だ。めちゃくちゃあわれんだ瞳で見られているでござる。

 ちなみに、ギルドランクは最高がSSS、SS、S、A~F。拙者は最低のFからスタートでござる。ギルドカードは魔法具に血をたらし、魔力を馴染ませれば出来上がり!面白い術式でござるなぁ。血から魔力を取り、カードに染み込ませているらしい。魔力は人によって違うのだそうだ。だから転売とかをしても、本人以外は使えない。ふむふむ、なるほど。


「あ、錬金術師向きの依頼がありますよ!初心者にも超オススメです!」

「悪いが、先に買取り頼むわ。タカ、しまったやつ出してくれ」


「御意!」


 シルヴァ殿がしとめたものを全て出した。


「馬鹿、お前さんが倒した方だよ。まあ、こっちも売るつもりだったからいいけど」


 そりゃ、そうでござるな。拙者が登録していたわけだし。倒した魔物をカウンターに置いた。


「……え?ナニ………これ…………」


「?」


 普通に魔法で倒したのでござるが……何かおかしいのでござるか??


「し、失礼しました。とんでもなく状態がいいですね。ええと、ハウンドウルフ五体に、シークスパイダー七体…………しめて五万リンです。上位ランクの魔物ばかりですので、Eランクに昇格です。おめでとうございます!」


「え」


 そんなにあっさり昇格するものなのでござるか?


「ランクアップは貢献度と討伐数で上がる。C以上は試験がある。お前なら…すぐ俺に追いつくかもしれないな」


「無理ゲーですぞ」


 かよわいオタクを買いかぶりすぎですぞ。腕の立つ前衛がいたから戦えたのであって、拙者ひとりだったら瞬殺ですからな!オタクとは、ひ弱で儚い生き物なのですぞ!


 無事シルヴァ殿の買取りも終了。ここで解散…かと思いきや、シルヴァ殿が提案をしてきた。


「タカ、お前宿は決めてないよな」


「決めてないでござる」


「ウチはどうだ」


「………うち?」


 なんとシルヴァさんの奥方は宿屋を経営しているらしい。部屋が空いているから、定宿にしないかと誘われた。当然二つ返事でOKでござる。


 宿に行く途中、シルヴァさんは色々なオススメのお店を教えてくれた。シルヴァさん、本当に本当にいい人!!

 露店の串焼きもおごってくれた。シルヴァさん、いい人過ぎるでござる!!

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