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巻き込まれ召喚されたオタク氏の異世界珍道中  作者: 明。


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交渉してみた

 どうにかエド君とマカロン殿が落ち着いたので、交渉再開。エド君にお任せして、拙者はラビルビとラッキーをモフモフする。あれ?拙者、今すっごくご主人様っぽくない?


「く~ん」


 素敵なモフモフに変身したフェリチータたんが、拙者の足にスリスリしてきた。伸縮魔法が効果を発揮したらしく、脱げてない。安心してモフモフできるでござ……エド君の目が笑ってなかった。ごめんなさい。


「話を戻しましょう。我が主の望みは双方のギルドによる情報の秘匿です。それを守っていただけるなら、保持魔法を付与した瓶を供給してもいい」


「なんなら、製法を開示するでござるよ」


 やって見せたが、拙者以外には無理らしい。高レベルの時空間魔法が使える錬金術師なんていない。そもそも時空間属性がレアスキルなんだそうだ。うん、知ってた。それは知ってた。つまり、製法を知ってもできる人間がいないのでござるよ。

 明らかに落胆するギルドマスターとマカロン殿。エド君に紙の束を渡した。エド君が目を見開く。


「こ、これは……」


「このカードを上手く使ってくれると、信じているでござるよ」


「……はい!まったく、とんでもない隠し玉を持ってきますね!」


 エド君の様子に気がついた二人。


「ご主人様のやり方は常人にはできません。ですが、ご主人様の研究論文による方法を用いれば、時空間属性がなくとも回復薬の使用期限を伸ばせます。興味はありませんか?俺が奴隷ではなく商人だったら、これで一生遊んで暮らしますよ。俺なら製法を独占しますね。こいつにはそれだけの価値がある。見たいなら……対価はわかりますね?」


 さりげなく、拙者は普通じゃないと言われた気がするでござる。気のせいだと思いたい。


「対価は……タカ=レイターの情報の秘匿か」


「ついでに、ギルドカードのレベル表記も消してくだされ」


「……レベル?」


「そうですね。俺達の分もお願いします」


「それはさして難しくない。金さえ払えばできる事だから問題はないが……」


 そうだったんでござるか。知らなかった。


「アタシは乗るわ!でも、発案者は誰にするの?」


「お任せします。ご主人様は地位も名誉も求めておりません。ご主人様の望みは平穏とお金です」


 エド君、よくわかってる!その通りでござるよ!お金は大金じゃなくてもいいでござる。ほどよく稼ぎたいの。


「では、契約を」


「待った!契約前に内容を見せてちょうだい。内容も知らずに契約するなんてできないわ」


 それはそうだろう。しかし、エド君は不敵に微笑んだ。


「では、別の町のギルドへ行くだけです。見られたら価値は半減しますからね。工程さえ覚えてしまったなら、わざわざ契約する必要はありません。そもそも、貴方はご主人様に名も名乗らず契約を迫りました。そんな方を信用することはできませんし、商人ギルドのマスターは貴方だけではありません。内容の保証をせよとおっしゃるならば、誓約をいたしましょう。この研究は金の卵です。間違いない。商人としての誇りにかけて誓いますよ」


 おお、エド君賢い!やはりエド君を雇ったのは正解だったでござる!拙者だったら素直に渡しちゃってたよ!


「わかった!わかったわよ!」

「俺はそれでかまわないが……タカはそれでいいのか?結果として研究成果を横取りされるんだぞ?」


「拙者、名声はいらぬでござる。拙者が技術の占有をしなければ、回復薬の価格が下がり冒険者達が回復薬を買いやすくなる。さすれば、死亡率も下がる。回復薬不足を解消までいかなくとも、緩和はできるでござろう。お二人ならば上手く使ってくれると思うでござるよ」


 あや?拙者、何か変なことを言ったでござるかな??コミュ障とまではいかないけど、オタクはシャイな生き物なんでござるよ。注目されると逃げたくなるのでござる!


「……お前……すげぇな。なんつーか……器がでかい」


 横にボリュームがあるのは否定しないでござるが……器が大きい人は盛大に祟ってやるとか考えないと思うのでござるよ。


「ああ、そうだな。素晴らしい男だ。マジで惚れちまいそうだ。今夜、ウチに来ないか?」


「まにあって、ます。ごしゅじん、さまには、わたし、います」


 ムキムキなマカロン殿に顎クイされて思考停止していたら、フェリチータたんが助けてくれた。ラッキーとラビルビも威嚇している。はああああ、ビックリした!


「ラウビウが威嚇!?ちょ、どうやったらこんなに忠誠心が上がるんだよ!いや、どこから出てきた!?」


『ふしゃー!!』


 すっかり男性らしくなったマカロン殿は、うちのラビルビ達にビックリしていた。ラウビウ達も影から出て、威嚇している。


「拙者は大丈夫でござるよ~」


 ナデナデすると甘えた声で寄ってくる。ラビルビはフカモフ、ラッキーはサラモフでござる。


「周囲のガードが固いなぁ。くそ、いい男いねぇかなぁ」


「そのナリじゃ無理だろ」

「んだとゴルァ!やんのかゴルァ!!キャラじゃねぇのに努力している俺にいい度胸だ、ゴルァァァ!!」

「はいはい、さっさと契約してからじゃれてくださいね~」


 マカロン殿の素はこっちなのでござるな。ギルドマスター殿に殴りかかろうとするマカロン殿を止めるエド君。契約書にサインした二人。


「じゃ、契約成立ですね。どうぞ」


 拙者の研究結果を読む二人。マカロン殿が真っ青になっている。そんなにスゴいことは書いてないはずでござるが……どうしたのだろう。


「この表?について説明していただけますか?」


「いいでござ「お代はいかほどで?それも異世界の叡知ですからね。『商人とは、相応の対価を支払わねばならない』商人ギルドのマスターが知らないとは言わせませんよ」


「はぁ…『よき商人とは、適正な取引ができるもの。金の淀みは身の破滅と知れ』……ね。これに支払う対価……逆に難しいだろ!タカさん、欲しいモノないですか?」


 マカロン殿は化粧も落ちたのですっかり男らしくなってしまった。


 『商人とは何か』は商人が最初に習う教えなのだそうでござる。いい教えでござるな。


「拙者はレアメタルと、魔力電導率が高い糸がたくさん欲しいでござる」


「レアメタル?」


「オリハルコン、ミスリル、アダマンタイト辺りでござるかな」


「在庫を見てもらっていいですか?明日でしたら案内できますし、グラフについてうちの数学者も同席で話を聞きたいのですが。金属が欲しいということは、工房もいりますよね?最新鋭の鍛冶工房をご用意しますが、いかがですか?」


 最新鋭の工房が借りられる!?これは魅力的でござるな!


「是非「在庫の量によりますね」


「「……………………」」


「ご主人様、交渉は」

「エド君のお仕事です!」


 うちのエド君がしっかり者過ぎて辛い。のちほどお説教ですね?わかります。

すっかり尻に敷かれている貴文であります。

あれ?どっちがご主人様??

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