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襲われてみた

色々やらかす小田郡貴文視点になります。

 しかし、エド君は優秀でござるなぁ。今後、拙者がどうすべきかについてかなり真剣に考えてくれた。国宝のマスクを量産するなとか薬が劣化しない瓶二十万が安すぎるとか、ちょいちょい叱られたでござる。面目ない。


「とりあえず、冒険者ギルドか商人ギルドの庇護は受けておくべきですね」


 冒険者ギルドと商人ギルドは昔から仲が悪いそうでござる。どちらにするべきかな?


「すでに冒険者ギルドからは目をつけられているようですが……あちらは王家への忠誠もないですし、問題ないでしょう」


 明日以降、どちらかと交渉すべきだとエド君は話した。フェリチータたんは話の間、ずっと大人しく聞いていた。

 そして、エド君の話が終わってから口を開いた。


「ごしゅじん、さま。おうちに、かえり、たい?」


「…………そうでござるなぁ」


 やりたいゲームや読みたい本が山ほどある。両親や、妹に会いたい。ユーリフィアン殿の件も中途半端でござったし……ユーリフィアン殿と縁があったからこうなったんでござるかね?ユーリフィアン殿の名前を出したが、エド君によるとそんな名前の公爵令嬢はいないそうなので、別世界なのかもしれない。他国の可能性もあるかも。

 リアル異世界転移ヒュー!とか思っちゃって申し訳なかったでござるよ。身一つで異世界転移なんて、きっと心細かったでござろうなぁ。妹よ、ユーリフィアン殿を頼んだ!ユーリフィアン殿、いつか会えたら謝罪しますぞ!


「………ご主人様、何してんだ?」


「はっ!」


 いつの間にか明後日を向いて敬礼していたでござるよ!恥ずからすぃ!


「げふん!まぁ、帰りたいのは帰りたいでござるが、フェリチータ殿やエド君を放置したりしないでござる。ちゃんと二人が自活できるようになってから。方法についてもそのうち考えるでござる」


「…………そ、か」


 しゅんと垂れたお耳がきゃわゆいので頭を撫でたら(多分)喜ばれた。尻尾がパタパタしていて可愛い。


「くぅん」


 超可愛い。くぅんって何?超超超可愛い!超超超超超可愛い!!


 そんな拙者達を見て一つ頷くとエド君は部屋を出ようとした。


「ストップエド君!出て行かないでぇぇ!」


「いや、お邪魔かな~と」


「邪魔じゃないから是非、居て!間違い起こしたらシャレにならないの!!」


 必死の懇願に、エド君は渋々残ってくれた。フェリチータたんが可愛すぎて犯罪を犯しかねない。オタクもいつか狼になるかもしれぬ。


「まちがい?」

「別にご主人様の奴隷なんだから、したいようにすればいいじゃないっすか。こいつ、嫌がってないみたいだし」


「ダンメェェ!そもそも奴隷として扱う気がないの!えっと…そう!二人は契約社員なのでござるよ!」


「「?」」


 二人が同時に首をかしげた。そう、最初から考えていたことを一気に説明する。二人にはそれぞれ給金を出す。それで自分を買い戻すまでは契約が続く。当然、奴隷としては扱わない。雇用主として、生活は自分が保証する。


「……それ、俺らに都合がよすぎないですか?流石はカルマ値五十……お人好しにもほどがありますよ?」


「二人のためというか、自分のためでござる。拙者が二人を奴隷として扱いたくない。拙者のわがままなのでござる。だから、わがままを聞いてほしい」


「……ごしゅじん、さまが、したいなら、わたしは、それで、いい」


 フェリチータたん、天使!マジ可愛い!!


「あー、かしこまりました。俺も異論はないっす。むしろこっちの条件がよすぎるぐらいで、なんのデメリットもないですし」


 エド君も頷いてくれた。ちょっと態度が砕けてきた気がする。


「そういえば、二人に服を作りたいから採寸させてほしいでござる」


 ラウビウにフェリチータたんを採寸してもらい、拙者がエド君を採寸する。


「希望はあるでござるか?こんな感じにする予定なのでござるが」


 サラサラと絵を描いていく。フェリチータたんはモフリル様の衣装……ではなく動きやすさを重視しながらも要所にフリルやレースを仕込んだ大人可愛い服。エド君のは一般的な冒険者スタイル……タートルネックのシャツ、ジャケットとズボンに刺繍を施したもの。シンプルだからこそ、イケメンが引き立つ気がする。


「……かわ、いい」


「これ、作るんです?何日かかるんすか?」


 仕立屋に出したら……とか、いくら……とかエド君はデザインへの文句はないみたいだけどコストを気にしているようでござる。


「今から拙者達が作るんでござるよ」


 採寸をもとに型紙を作る。ちょっとした特技なのでござるが、拙者平面から立体を作るのが得意でござる。熱き夏の宴で着用する衣装を作成するのにとても役立った。

 ラウビウ達が型紙通りに布を裁断し、縫い合わせていく。刺繍に魔力を込めるので、刺繍は拙者が施した。全属性耐性、防御力向上、魔法防御力向上、快適温度保持……。


「ご主人様、ストップ!なんか仕込んでるな!?」


「隠蔽、偽装付きなら問題ないでござろう?」


「うあ、マジ読めない……ナニを付けたんです?」


 説明したらエド君に叱られた。国宝は量産するものではない!らしい。


「拙者が作りたいのは国宝ではなく、二人を守るものでござる。今後は拙者と冒険者をするんだから、常にリスクはつきもの。拙者に戦闘スキルはないから、せめてこういう装備で二人を守りたいのでござるよ………ダメでござるか?」


「こ、断りにくい。わかりました!なんでも着ますよ!」


 エド君が折れてくれた。しかし、完成した服数着を見て倒れた。


「一着じゃないのかよ!」


「いや、洗い替えは必須でござるよ」


 いくらいい服でも、臭いのは嫌だ。抗菌・防臭・防汚をつけているでござるが、洗いたい。それはそれ、でござる。


「非常識なくせに、常識を語るなよ!あああ、国宝級が一人五着…あんた、俺らを解放する気がないだろ!」


 なんか、理不尽に叱られている気がするのは気のせい?


「いや、必要装備だから請求はなしで」


「ありえねぇぇぇ!!これ、貸与していいモンじゃないってか、俺らしか着れないように認証ついてるじゃねぇか!」


「悪用防止措置でござる」


 戦争なんかに悪用されたら嫌だし。


「変なとこはしっかりしやがって!」


 やっぱり、理不尽に叱られている気がするでござるよ?さらに給金でもめまくり、日給五千リルになった。安すぎると思うのでござる。かわりに日用品や宿泊、食費は拙者もち。討伐報酬は山分けと約束した。

 これから、色々楽しみでござるな。

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