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巻き込まれ召喚されたオタク氏の異世界珍道中  作者: 明。


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おつかいしてみた

きっと禿げるエド君視点になります

 うちのご主人様はおかしい。普通、奴隷の主人は奴隷を使い勝手のいい道具としてしか見ない。だが、ご主人様は俺達をまるで対等かのように扱う。それ以外にも、色々規格外すぎる。綺麗な手と異常なカルマ値から、てっきり無実の罪で国を追われた世間知らずの貴族辺りだと思っていたが……多分違う。貴族にしては、人をまったく使いなれていない。

 うちのご主人様、何者なんだろう。下手につつくとやぶ蛇どころかやぶドラゴンが出そうな気がして……聞けないというか聞きたくない。


「………おい、ここに入るぞ」


 庶民用の衣料品店で下着を適当に……一番安いものを選んだらラウビウが邪魔してきた。


「にゃん!にゃにゃん!」


 ご主人様はこいつが何を言っているかわかるようだが、俺にはサッパリわからない。


「したぎ、いいやつ、かう。やすい、すぐダメになる」


 フェリなんとかはラウビウの言葉がわかるらしく、通訳した。それはご主人様の意向なのだろうか。おい、それ最高級だよ。買わないぞ!そんな馬鹿みたいな値段の下着は履けない!おい!そっちはネタ下着……それは……まさか、ご主人様は俺狙い!?俺の(ケツ)ピンチ!??


「みーう」


「ごしゅじん、さま、おんなのこ、すき」


 俺の(ケツ)平和(ピース)は守られた。よかった。ご主人様がそっちじゃなくてよかった。いや、念には念をいれよう。俺はそれなりにいい値段の肌触りがよく丈夫な素材のシンプルというか地味な下着にした。

 そして、フェリなんとかにアドバイスして清楚綺麗めな下着を買わせた。フェリなんとかのはかなりいい値段だったが、ご主人様と俺の(ケツ)平和(ピース)のためだから仕方ない。尊い犠牲だ。かなり値切ったから許してもらおう。俺、多分いい仕事をしたよ。


 ラウビウが布やビーズ、糸をしこたま買いまくり魔法陣にしまった。まさかのレアスキルに店員も俺も驚愕した。ラウビウがおかしいのか、ご主人様がおかしいのか……戻ったら徹底討論したいところだ。


 旅支度、と言われたがさほど買いたいものはない。武器や防具はご主人様と買う予定だし……あ、メモかノートが欲しいな。相場なんかを書くのに使いたい。でも、紙は高級品だしなぁ……。


 雑貨店でラウビウが皿とフォークを買っていた。分厚いノートを見つけて欲しいと思ったが、諦めた。メモに紙を使うなんて贅沢、奴隷に許されるはずがない。フェリなんとかも髪留めが欲しかったようだが、諦めていた。

 その後武器屋で解体用のナイフを買い、一応武器の目星もつけておいた。フェリなんとかは弓を見ていた。ラウビウは……多分遊んでた。


「みう、みうう」


「えと、みすりる、はいってるの、さがしてだって」


 ジャンク屋の前でラウビウの言葉をフェリなんとかが通訳した。ジャンク屋ってのは、壊れた武器や日用品を売る店。がらくたがほとんどだが、ごく稀に掘り出し物があるので俺は好きだった。

 しかし、ミスリル?どうやらうちのご主人様は錬成スキルを持っているようだ。錬金術師なのか?なら、俺の役割は商人としての交渉と護衛か。


「わかった」


 そうと決まれば、がらくたを鑑定しまくる。微量でも可との事だったから、ミスリル入りのガラクタをどんどん積み上げていく。


「おい、こっちは買うやつ。買わないやつと混ぜるなよ」


「うん」


 ガラクタが山積みになろうが、ラウビウの収納魔法があるから問題ない。一応容量を確認したが、わからないとのこと。まぁ、ラウビウだし仕方ないな。


「熱っ!?」


 ガラクタをあさっていたら、銀色に輝く金属の塊を見つけた。鑑定によると浄化の聖銀と言うらしい。初めて実物を見た。ただの銀ではなく、柔らかに魔力を放っていた。


「それなぁ、誰も触れないんだよ。鍛冶師が欲しがって買うんだが、触れないから加工もできねぇ。そも、普通の火じゃ溶けもしねぇ。売っても売っても戻ってきやがる」


「………ラウビウ、これに触れるか?」


 カルマ値五十のご主人様でなければ触れないだろう。ちなみに俺はゼロ。一般的な値だ。


「みう」


 ラウビウも大丈夫らしい。こいつのカルマ値も五十!?ご主人様と連動しているんだろうか。ラウビウが持てるので、ご主人様も大丈夫だろう。フェリなんとかも大丈夫だった。ジャンク屋のおっさんは本気で困っていたらしく、かなり安く売ってくれた。


 いくつかジャンク屋を見てまわる。ミスリル入りのがらくた以外では、なんとオリハルコンの鍋(ただし底抜け)があった。即買った。それから、翡翠で作られた香水瓶。転売したら相当な額だろう。ジャンク屋は価値に気づいておらず、それも買った。


「あ~、疲れた!」


 埃まみれになったが、いい買い物をした。ご主人様に俺の有能さをアピールできるだろう。


「待ってよ、お兄ちゃん!」


 女の子が走り去っていく。先に走る少年を追いかけているようだ。ああ、びっくりした。妹がこんな遠い場所にいるわけない。

 どうか、無事で。そう祈るしか、今の俺にはできない。どうにかしてご主人様から信頼を得て……助けにいかなきゃ。ご主人様が冒険者でよかった。何か理由をつければ、あの町に戻れるかもしれない。


 決意を新たに、前に進む。そして宿の扉を開けたら、破裂音とともに紙吹雪が舞った。


「これから、よろしく!エド君、フェリチータ殿!!」


 笑顔のご主人様が出迎えてくれた。頭が真っ白になって、涙が出そうになった。

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