出港してみた
潜水艇の修理は完了した。試運転してみたけど、浸水もなく、大丈夫そう。ベッドも買ったし、いざ出航
!!
「おーい!ありがとうな!!」
「またきてね!」
「タコうめぇ!!」
「タカタコ!」
「タカタコ!!」
タカタコールやめてくださらんか?!町の人達がお見送りにきてくれたのはいいけど、ちょっと微妙なんだけどぉ!?タカかタコかどっちかに……いや、タコだと悪口かな?
「やあやあ、我が愛し子………約束を守ってくれたのだね。トリトンは今、猛烈に感動している…!愛が溢れて止まらない!!」
なんかトリトンがピンクに輝いていたがスルーして目的地へと向かう。
【おめでとうございます。『海神の(一方的な)ビッグ・ラブ』をゲットしました。称号『海に溺愛されし者』をゲットしました。これより、海は貴方を死なせません。海での呼吸が可能になります。また、貴方の周囲では嵐が起きません。貴方が乗った船はけして沈まず、迷うこともありません。海の眷族に愛されます】
なんて………?拙者肺呼吸ぞ?なんで海で呼吸ができるの??しかも(一方的な)って……?ビッグ・ラブ??んえ……?じょ、情報が多い………!
「ご主人様、どうしたんです?」
「大丈ブイッ☆」
「…………ご主人様、白状してください」
「わ、悪い話ではないでござる……拙者も何がなんだかわけわかめ……」
そして説明したところ、エド君が遠い目をした。
「海を渡る商人が血眼で欲しがる能力………!」
それは確かに………。
「でも、今の手段は潜水艇だから嵐とか関係ないけどね」
「確かに!無駄ですね!」
そこまでは言ってないじゃないか……。まあその通りなんだけど………。でも、そっかあ。そしたら船で世界中旅するとかもいいかなぁ……船酔い大丈夫かが不安だけど……。
潜水艇は特にトラブルなく進んでいる。
「ふな〜……おさかにゃが泳いでますにゃ〜」
最初はビクビクしていたシーザ君もすっかりくつろぎにゃん語がでている。
アジに似てるけどでかい魚がすれ違った。
「今夜はお刺身かな……」
なめろうとか……アジっぽい魚のタタキ……絶対美味しいやつ……。
「………生きてる魚を見ながら生魚ですか……?」
「あ、煮魚がいい?」
「塩釜焼きがいいです!」
フェルはすっかり塩釜焼きにハマった模様。
「それは潜水艇から降りてからやろうね」
潜水艇だとスペースも資源も限られてるからなぁ……。
「は〜い」
フェルは素直に頷いた。ぐうかわなのでナデナデしてあげたら尻尾をブンブンしてた。ホント可愛い。
「ハイハイハイハイ!刺身には日本酒!」
元気に挙手するアイリス殿。なんとなくゴルダ殿をチラ見する。悲壮な表情で頷いた。任せろってことね。ホント、アイリス殿に甘いなぁ。
「アイリス殿、潜水艇で暴れたら当面禁酒だからね?嗜む程度にしてよね。こないだゴルダ殿、肋骨折れてたからね?!」
「はぁい……ゴルダごめんね……」
そんな感じで夕ご飯の話をしていたら、異変が起きた。窓に人がおる………?え、ここ深海やぞ?!
「きぃぃやぁぁぁぁぁぁぁ?!」
水死体かと思ってガチビビって悲鳴を上げた瞬間、エド君とフェルが即座に戦闘態勢になり拙者を後ろに移動させた。
「……あれは……人魚ですか?!」
一瞬遅れたが前に出たシーザ君が気がついた。そして外から何かがぶつかる音。なんか人魚が体当りしまくってるんだが?!
『キシャーーーーーー!!』
「あれは……トリリン殿?!」
「いつ人魚と知り合ったのですが?」
トリリン殿が体当りしてきた人魚を蹴散らしてくれた。このチャンスを逃さない!!
「全員姿勢を低くして何かにつかまって!オートパイロットモードから音声入力運転に切り替え!!全速前進!!あ〜んど!ウォーターブラスト!!」
水流で一気に人魚達を吹き飛ばしつつ、全速前進!!これならさすがに追いつけな…………後部カメラで確認したら、追いかけてきてるううう!!想定より速いな人魚!!
「怖ーーー!!」
「どうしたんです?!」
後部カメラの映像を皆に見せる。
『怖っ!!』
髪を振り乱して鬼気迫る形相で追ってくる人魚はホラーでしかなかった。
「曽根くん!補助!!」
【了解。モード【魔法補助】兵装選択【星見の賢者】さらに【武装最適化】を実施」
曽根くんの卵も羽根も、まるで針金のようにバラけて、黒陽と月白ごと包み込む。拙者の両腕も針金が包み込み…………やっぱり安藤くん巻き込み事故してるわ。わざとなのかなんなのか。
優美なローブと機械でできた赤い星の杖。杖に魔力を集中。
「ウォーターボルテックス!!」
洗濯機の如き渦に人魚たちが巻き込まれ、ぐるぐる回って飛ばされていった。
「ふう………」
後部カメラ確認。人魚はどっか行った。
「…………今、気がついたんですが」
「うん?」
「人魚が寄ってきたのって……もしかしなくてもトリトンのせいでは………?」
「…………うん??」
そういえば、海の眷族に愛されるとか………?その、せい??
「………ご主人様が人魚にさらわれる危険があるから今後は海を避けようか………」
「異議なし!!!!」
オタクは海の男になれませんでしたとさ……。もうコレ祝福じゃなくて呪じゃないの?!勘弁してよ!!
とあるゲームの有名な狩人、超人Оさんが『祝福なんて呪いみたいなもんだぞ〜』と申していたのを思い出しつつ書きました。
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